参画した最初の1か月で決めること3つ|離れた場所での案件の進め方を解説
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

📘 この記事でわかること
- 誰に何を聞くかを最初の週に決めることと、途中から聞き方を変えるとやり取りが増える理由
- どこまで自分で決めてよいかの範囲を早めに確かめることと、確かめないまま進めると後で手戻りが増えること
- 進み具合をどう見せるかで信頼のでき方が変わることと、見せ方を決めておくと後から説明の手間が減ること
離れた場所で働く案件に参画すると、最初の数週間は目の前の依頼をこなすだけで時間が過ぎていきます。ところが、その数週間で交わした確認の仕方や報告の間隔は、そのまま数か月先まで続く案件の進め方の土台になります。困ってから聞き方を変えようとすると、すでにできあがった型を崩すことになり、余計な調整が発生します。この記事では、参画した直後の1か月で決めておきたいことと、その決め方の手順を整理します。
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1. 最初の1か月で決めたことが最後まで続く
最初の数週間の型がその後の基準になる
離れた場所で働く案件では、顔を合わせる機会が少ない分、最初のやり取りが手本になります。最初に交わした聞き方や報告の間隔は、次からも同じやり方で続くという前提で扱われやすく、後から変えるには理由の説明が必要になります。
この時期に決めておきたいことは3つあります。誰に何を聞くか、どこまでを自分で決めてよいか、進み具合をどう見せるかです。意思決定を担う責任者を設置していない企業は約半数にのぼるという調査もあり10、誰に聞くかは自分から決めておく必要があります。
決めることを後回しにするより、最初の週に一度確かめておくほうが、後の手戻りは少なくなります。曖昧なままにするより、早めに言葉にしておくことのほうが、案件全体の進めやすさにつながります。
曖昧なまま進めると後から範囲が膨らむ
曖昧なまま案件を進めると、途中で「ここまでは自分で決めてよい範囲だったのか」という確認が増えます。確認のたびにやり取りが止まり、当初の想定より進み方が遅くなることがあります。
DXの役割分担や範囲が不明確だという課題を挙げる企業は27.4%にのぼります5。範囲があいまいなのは、参画する側だけでなく、受け入れる側にもよくある状況です。
次の章では、この前提の背景にある、離れて働く体制そのものの状況を見ていきます。
図の作成:Remogu編集部。最初の1か月で決めておきたい3つのことを整理したもので、統計データではありません
2. 離れて働く体制は減っているという前提
導入企業の割合は減少が続いている
離れた場所で働く案件を探すとき、相手先の体制がすでに整っていると考えがちです。ところが、テレワークを導入している企業の割合は47.3%となり、前年に続き減少しています1。環境が整っている企業ばかりではないことが、数字からも見えてきます。
割合が半数に届いていないという事実は、参画する側にとって重要な手がかりになります。体制が整っている前提で進めるより、最初に環境を確かめておくほうが、後の行き違いを防げます。
表1に、この前提を踏まえて参画する側が確認しておきたい観点をまとめました。
| 観点 | 内容 | 参画する側への意味 |
|---|---|---|
| テレワーク導入企業の割合 | 47.3%で、前年に続き減少1 | 体制が整っている前提では進めない |
| 新しい働き方の実現に向けた取組 | 全社的に行う企業が多い6 | 体制づくりの途中にある企業と組む場合がある |
| 参画する側が最初に確認したいこと | 環境が整っているかどうかは案件ごとに異なる | 誰に確認するかを自分から明確にする |
出典:総務省「通信利用動向調査の結果」(2025年5月)をもとに作成
一方で新しい働き方への取組は多い
導入企業の割合が減っている一方で、新しい働き方の実現に向けた取組そのものは、全社的に行う企業が多いという調査もあります6。体制としては後退していても、取組の意欲は失われていないと読み取れます。
この状況は、参画する案件によって環境の整い方に幅があることを示しています。整った体制を前提にするより、案件ごとに確かめる姿勢のほうが、実際の進め方に合っています。
次の章では、この前提のもとで最初に決めておきたい「誰に何を聞くか」を具体的に見ていきます。
3. 誰に何を聞くかを決める
聞く相手が決まっていないと止まる
デジタル化を進めるうえでの課題として、人材不足を挙げる企業の割合が48.7%と最も大きいという調査があります7。人手の確保を課題とする企業が多い環境では、誰が何を答えられるかが整理されていないまま案件が始まることがあります。
聞く相手が決まっていないと、小さな疑問でもやり取りが止まります。最初の週に、方針を聞く相手と、技術的な判断を聞く相手を分けて確認しておくと、その後の停滞を防げます。
意思決定を担う責任者を設置していない企業が約半数にのぼるという調査もあります10。責任の所在が明確でない場合は、契約の窓口になっている担当者に、まず確認先を尋ねる動きが有効です。
聞く内容を先に洗い出しておく
聞く内容は、案件が始まる前に洗い出しておくと動きやすくなります。表2に、確認したいことと、聞く相手の目安をまとめました。
| 確認したいこと | 誰に聞くか | 聞けないときの代わりの動き |
|---|---|---|
| 進め方の方針 | 契約の窓口になっている担当者 | 過去のやり取りやドキュメントを確認する |
| 技術的な判断 | 実際に手を動かしている担当者 | 近い役割の人に聞く |
| 責任の所在 | 契約の窓口になっている担当者 | 明確でない場合は自分から確認先を尋ねる |
聞けないときの代わりの動きも決めておくと安心です。近い役割の人に聞く、過去のやり取りを確認するといった代わりの手段を、最初から用意しておくと、止まる時間を短くできます。
誰に聞くかが決まると、次はどこまでを自分の判断で進めてよいかという範囲の話になります。
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4. どこまでを自分で決めてよいか
範囲があいまいだと聞く回数が増える
DXの役割分担や範囲が不明確だという課題を挙げる企業は27.4%にのぼります5。範囲があいまいなのは、参画する側だけの悩みではなく、受け入れる側にもよくある状況です。
範囲が決まっていないと、小さな作業のたびに「ここまで進めてよいか」を確認することになります。確認そのものは悪いことではありませんが、毎回止まっていては進み方が遅くなります。
意思決定を担う責任者を設置していない企業が約半数という調査は10、この課題ともつながっています。判断できる人が定まっていない体制では、範囲を自分から言葉にして確認しておくほうが、話が前に進みます。
決めてよい範囲を先に確認しておく
決めてよい範囲は、最初の打ち合わせで具体的に確認しておきたい項目です。図3は、範囲を決めてある場合と、決めないまま進めた場合の1か月後の違いを整理したものです。
決めてある場合は、小さな判断を自分で進められるため、確認の回数が絞られます。決めていない場合は、確認のたびにやり取りが増え、当初の想定より時間がかかります。
範囲が決まったら、次に考えたいのは、その進み具合をどう相手に見せるかという点です。
図の作成:Remogu編集部。範囲を決めておくことの違いを整理したもので、統計データではありません
5. 進み具合をどう見せるか
見せ方が決まっていないと信頼が伝わりにくい
技術情報の収集について、体系的な仕組みを持たず、個人に任されている企業が多いという調査があります8。情報の集め方が仕組み化されていない環境では、進み具合も個人の見せ方次第になりやすくなります。
見せ方が決まっていないと、相手はどのタイミングで確認すればよいか分からず、信頼の材料が不足しがちです。決まった間隔で共有するほうが、都度求められて答えるより、相手の安心につながります。
要件定義と設計は、いまもドキュメントを中心に行われているという調査もあります9。進み具合の共有も、口頭のやり取りだけでなく、文書として残る形に合わせておくと伝わりやすくなります。
ドキュメントを中心にした進め方に合わせる
表3に、進み具合の見せ方の型と、向いている場面をまとめました。案件の性質に合わせて、共有の間隔や単位を選ぶ材料にしてください。
| 進み具合の見せ方 | 向いている場面 | 気をつけたいこと |
|---|---|---|
| 決まった間隔で共有する | 長めの作業が続く場面 | 間隔を最初に決めておく |
| 区切りごとに共有する | 検討や設計が中心の場面 | 区切りの単位を先に合わせる |
| 求められたときに答える | 相手が細かく確認したい場面 | 聞かれる前に止まらないよう備える |
ドキュメントを中心にした進め方に合わせるなら、区切りごとに文書へ残す形が扱いやすくなります。口頭で伝えるだけより、後から見返せる状態にしておくほうが、認識のずれを防げます。
見せ方が決まると、日々のやり取りに使う道具の話に移ります。
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6. やり取りの道具は身近にある
使われている道具はスマートフォンが中心
インターネットの利用目的では、SNSの利用が81.9%で最も高くなっています2。日々のやり取りに使われている道具は、すでに広く行き渡っていることが分かります。
端末別に見ると、スマートフォンがパソコンを27.6ポイント上回っています3。スマートフォンの利用は20〜59歳の各年齢階層で9割にのぼり4、年代を問わず身近な道具になっています。
つまり、やり取りに使う道具そのものは、すでに手元にそろっています。整っていないのは道具ではなく、誰が何をどの間隔で確認するかという取り決めのほうです。
道具より先に決めておくことがある
道具が広く使われているからこそ、連絡はいつでも取れるという油断が生まれやすくなります。いつでも連絡できることと、必要なときにすぐ答えが返ってくることは、別の話です。
道具を選ぶより先に、何をどの間隔で共有するかを決めておくほうが、実際のやり取りは安定します。道具はあとから合わせられますが、間隔の取り決めは最初に決めておかないと崩れやすくなります。
Remoguは、案件の90%以上がフルリモート可能な、リモート案件に特化したエンジニアマッチングです。ここまで整理した3つの決めごとは、Remoguを通じて参画する案件でも同じように役立ちます。
ここまでの内容を踏まえて、最後に1か月の中で確かめる順番を整理します。
7. 1か月で確かめる順番
4つの順番で確かめる
ここまで見てきた内容を、確かめる順番として整理します。まず、誰に何を聞くかを決めます。契約の窓口になっている担当者と、技術的な判断を聞ける担当者を分けて確認しておきます。
次に、どこまでを自分で決めてよいかの範囲を確認します。DXの役割分担や範囲が不明確だという課題を挙げる企業は27.4%にのぼり5、範囲は自分から言葉にしないと定まらないことがあります。
続いて、進み具合をどう見せるかを決めます。要件定義と設計はいまもドキュメントを中心に行われているという調査があり9、共有の形も文書に残る方法に合わせておくと伝わりやすくなります。
最後に、最初の1か月を振り返り、決めたことが実際に機能しているかを確かめます。図4は、この4つの順番を整理したものです。
順番を守って進めるほうが、思いつきで確認するより、後戻りは少なくなります。最初の1か月で決めたことは、その後の進め方の基準として長く働き続けます。
図の作成:Remogu編集部。ここまでの内容をもとに、確かめる順番の目安を整理したもので、統計データではありません
最初に聞く相手が分からないときはどうすればよいですか
契約の窓口になっている担当者に、まず確認先を尋ねるところから始めます。役割分担や範囲が不明確だという課題を挙げる企業は27.4%にのぼり5、窓口となる担当者を介して確認先を探る動きは珍しくありません。
決めてよい範囲を確認しても答えがはっきりしないときは
その場合は、小さな判断から自分で進め、結果を都度共有する形にします。範囲がすぐに固まらないこと自体は珍しくないため、決まらない前提で進め方を組み立てておくと、そのあとの停滞を防げます。
進み具合の共有はどのくらいの間隔で行うのがよいですか
案件の区切りや性質によって異なりますが、決まった間隔で共有するほうが、都度求められて答えるより相手の安心につながります。要件定義と設計はドキュメントを中心に行われているという調査もあり9、文書に残る形で共有しておくと後から見返しやすくなります。
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※公開中の案件数は時期によって変わります。記事中の案件の傾向は執筆時点のものです。
出典・参考情報
*1 総務省「通信利用動向調査の結果」受け入れ側の事情(2025年5月・2026年8月確認)
*2 総務省「通信利用動向調査の結果」使われ方(2025年5月・2026年8月確認)
*3 総務省「通信利用動向調査の結果」主戦場(2025年5月・2026年8月確認)
*4 総務省「通信利用動向調査の結果」働く層の利用(2025年5月・2026年8月確認)
*5 総務省「令和7年版 情報通信白書(デジタル活用の動向)」範囲の曖昧さ(2025年7月・2026年8月確認)
*6 総務省「令和7年版 情報通信白書(デジタル活用の動向)」取組の中身(2025年7月・2026年8月確認)
*7 総務省「令和7年版 情報通信白書(デジタル活用の動向)」最大の課題(2025年7月・2026年8月確認)
*8 IPA「2024年度ソフトウェア動向調査 簡易分析レポート」知識の持ち方(2025年4月・2026年8月確認)
*9 IPA「2024年度ソフトウェア動向調査 簡易分析レポート」引き継ぎの材料(2025年4月・2026年8月確認)
*10 IPA「2024年度ソフトウェア動向調査 簡易分析レポート」決める人(2025年4月・2026年8月確認)