e-Govの電子申請API案件|行政手続の実装3ポイントと認証連携の進め方を解説

📘 この記事でわかること
- e-Govが24時間365日使える一つの窓口であることと、電子申請の利用が年々伸びている実態
- 申請フォームや電子署名、審査支援システムの実装で確かめる観点と、認証・API連携の仕組み
- これからの機能拡充で案件が続く見通しと、フルリモートで関われる案件を選ぶときの観点
行政のシステムに触れる案件と聞くと、紙の手続きを画面に置き換えるだけの仕事を思い浮かべる向きがあります。実際に触れてみると、申請フォームの設計から電子署名の組み込み、認証やAPI連携まで、Webアプリケーションの実装で積み上げてきた経験がそのまま生きる領域が広がっています。e-Govは、その入口にあたる行政の総合窓口です。この記事では、e-Govという基盤の中でエンジニアが何を作り、どう案件に関わっていくのかを整理します。
1. e-Govは、24時間365日いつでも申請できる一つの窓口です
一つの窓口から申請・届出ができる
複数の省庁に別々の手続きを出す場面では、宛先ごとに書式やログイン方法が変わり、手間がかさみやすいものです。e-Govは、その手間を一つの窓口に集約したインターネット上の総合窓口で、24時間365日いつでも申請・届出ができます1。窓口を分けて管理するより、窓口を一つにまとめるほうが、利用者にとっても開発する側にとっても見通しを立てやすい形になります。以前は複数の府省庁のサイトへ個別にアクセスし、それぞれ異なる操作方法を覚える必要がありましたが、この窓口に集約されたことで、迷わず手続きを進めやすくなっています。利用するのは、さまざまな届出を担う事業者だけでなく、個人で申請を行う国民も含まれ、窓口を訪れる曜日や時間を気にせず手続きを終えられる点は、行政のオンライン化が目指してきた形の一つです。エンジニアから見ると、この「一つの窓口」を支えるのが電子申請サービスや審査支援サービスといった機能群であり、そこに実装の入口があります。
出典:デジタル庁「e-Govの利用状況及び今後予定している主な機能拡充について」(2025年10月)をもとに作成。数値ではなく仕組みを整理した概念図です。
利用は年々伸びている
e-Govの2024年度の総アクセス件数は約41億件に上ります2。電子申請の申請届出件数も伸びており、同年度は約3,043万件で初めて3,000万件を上回りました3。これだけの規模の基盤が動き続けている以上、機能追加や改修の案件が途切れることは考えにくく、行政のオンライン化に関わる開発は今後も続く見通しです。紙や個別の窓口での手続きが電子申請に置き換わるほど、フォームや連携の実装を担うエンジニアの出番も増えていくと考えられます。
【表1】e-Govの案件に加わる前に、押さえておきたい基本用語です。e-Gov全体を指す名称と、その中にある電子申請サービスや審査支援サービスといった個別のサービス名、認証に使うアカウントの種類を混同すると、案件の会話の中で何を指しているのかがずれてしまいます。案件の説明文では「e-Govの案件」とひとまとめに書かれる場面もあるため、実際にはどの機能を担当するのかを事前に確認しておくと、参画後の認識のずれを防げます。以下では、代表的な用語とその内容、案件でどう関わるかを整理しました。
| 用語 | 内容 | 案件での関わり方 |
|---|---|---|
| e-Gov | 行政の手続をオンラインで行うための総合窓口 | 全体の位置づけを理解する土台になる |
| 電子申請サービス | 申請書の作成・エラーチェック・電子署名を扱う機能 | フォーム・署名の実装に関わる |
| 審査支援サービス | 受付から審査結果の通知までを管理する機能 | バックエンドの事務手続設計に関わる |
| e-Govアカウント | 利用者認証に使えるアカウントの一つ | 認証連携の実装に関わる |
| 府省連携API | e-Govと府省庁側の業務システムをつなぐ連携の仕組み | API設計・連携の実装に関わる |
次に押さえておきたいのは、この窓口の中で実際にどんな機能が動いているかという点です。エンジニアの入口は、この申請サービスの機能づくりにあります。
2. 申請サービスで作るもの(フォーム・電子署名・審査支援)
申請書の作成・エラーチェック・電子署名付与の基本機能
申請書のオンライン化では、まず入力項目をフォームに落とし込み、必須項目や書式の誤りをその場で検知するエラーチェックを組み込みます。次に加わるのが、書類の真正性を担保する電子署名の付与です。書式を画面に置き換えるだけでなく、記入ミスを未然に防ぐ設計や、なりすましを防ぐ署名の仕組みまで含めて考える、Webフォーム開発の延長線上にある実装です。入力補助にはよくある入力パターンの候補表示や自動整形の仕組みが使われ、エラーチェックは必須項目の抜けだけでなく、他の申請データとの整合性まで確かめる設計が求められます。スマートフォンやタブレットからの入力にも対応できるよう、フォームのレイアウトを調整する場面も出てきます。
出典:デジタル庁「e-Govの利用状況及び今後予定している主な機能拡充について」(2025年10月)をもとに作成。数値ではなく仕組みを整理した概念図です。
受付から審査・通知までを管理する審査支援
申請を受け付けた後の流れも、実装の対象です。e-Gov審査支援サービスは、申請データの収受・登録から審査結果の通知までの一連の事務手続を管理できる機能を提供しています4。フォームを作って終わりではなく、受付・審査・通知という後工程まで含めてシステムが動く点が、単純な入力画面の実装より一段深い設計力を求める部分です。受付から審査、通知までの各段階で申請の状態を追跡できるようにしておくと、利用者が今どの工程にいるかを把握しやすくなります。
【表2】申請サービスの案件に加わるときに確かめておきたい観点です。フォームの入力補助やエラーチェックの粒度、電子署名の組み込み方式、審査支援システムとの連携範囲など、案件によって求められる深さが異なります。同じ「フォーム実装」という言葉でも、単純な入力画面を作るだけの案件もあれば、審査支援システムとの連携やエラーチェックの精度まで踏み込んで設計する案件もあり、事前に確かめておかないと、参画後に想定していた作業内容と食い違うことがあります。以下の表は、実装で確かめておきたい観点と、案件で見る具体的なポイントを整理したものです。
| 確認する観点 | 具体的に見るところ | 関わり方の目安 |
|---|---|---|
| フォーム設計 | 入力項目・必須チェック・エラーメッセージの出し方 | フロントエンド実装の経験を生かしやすい |
| 電子署名 | 署名方式・証明書の扱い・改ざん検知の仕組み | セキュリティ実装の経験があると強みになる |
| 審査支援連携 | 受付・審査・通知の各段階のデータ連携 | バックエンド・API設計の経験が生きる |
| エラーチェック | 入力値の検証ロジック・不正データの扱い | 品質保証・テスト設計の視点が問われる |
| 状態管理 | 受付・審査・通知の各段階の進捗表示 | 状態遷移の設計経験が生きる |
こうしたフォームや署名の仕組みは単体で完結するわけではありません。むしろ、誰がその手続きを行っているのかを確かめる認証の仕組みや、他システムとの連携があって初めて機能します。次に見ていくのは、その認証とAPI連携の部分です。
3. 認証とAPI連携で、業務システムとつなぐ
利用者認証にe-GovアカウントやGビズID等
申請の前段では、誰が手続きを行っているのかを確かめる認証が必要です。e-Govの利用者認証には、e-Govアカウントに加えてGビズIDやMicrosoftアカウントが利用できます5。認証方式を一つに絞らず複数の入口を用意する設計は、外部のID連携を組み込んだ経験があるエンジニアにとって、見慣れた構成に近いものです。法人としてすでにGビズIDを取得している事業者であれば、新たにアカウントを作らずにそのまま申請へ進める点も、認証設計の考え方の一つです。認証を通過した後は、セッションやアクセス権限の管理を通じて、どの申請にどこまで操作できるかを制御する設計も欠かせません。
府省連携API・REPS連携APIで業務システムと連携
申請フォームや電子署名で受け付けた情報は、府省庁側の業務システムに届いて初めて意味を持ちます。この橋渡しを担うのが府省連携APIやREPS連携APIといった連携の仕組みで、システム間でデータを受け渡す設計が求められます。単発の画面を作るだけでなく、複数のシステムをまたいでデータの整合性を保つ視点が問われる部分です。連携するデータの形式や送受信のタイミングは連携先によって異なるため、仕様書を読み解きながら設計をすり合わせていく工程も発生します。連携先ごとに用意されたテスト環境で疎通確認を重ねながら実装を進めるため、単体テストだけでなく結合テストの設計にも時間を割くことになります。
出典:デジタル庁「e-Govの利用状況及び今後予定している主な機能拡充について」(2025年10月)をもとに作成。数値ではなく仕組みを整理した概念図です。
【表3】認証やAPI連携が絡む案件で確かめておきたい観点です。どの認証方式に対応する必要があるか、連携先のシステムがいくつあるか、データの受け渡しにどのような形式を使うかによって、求められる設計力が変わってきます。認証とAPI連携は、フォーム実装よりもシステム間の取り決めに左右される部分が大きく、連携先の仕様を確認する工程そのものが実装の一部になります。以下の表は、案件を選ぶときに見ておきたい観点を整理したものです。
| 確認する観点 | 具体的に見るところ | 関わり方の目安 |
|---|---|---|
| 認証方式 | 対応するID連携の種類・シングルサインオンの範囲 | 外部ID連携の実装経験が生きる |
| API連携先 | 連携する業務システムの数・データ形式 | API設計・連携の経験が問われる |
| データ整合性 | 受付・審査・通知の各段階でのデータ突合 | バックエンド設計の経験を生かせる |
| 仕様のすり合わせ | 連携先ごとのデータ形式・送受信タイミングの違い | 仕様書を読み解く実務力が問われる |
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認証とAPI連携によって、e-Govという窓口は個々の業務システムとつながる基盤になっています。この基盤はこのままの形で完成しているわけではなく、この先も機能が広がっていく計画があります。
4. これからの機能拡充と、案件が続く見通し
複数組織による共同審査など機能拡充が予定
今後の機能拡充として、複数の組織で共同して審査することができる機能などが予定されており、開発の対象は広がっています6。一つの組織で完結する審査より、複数の組織にまたがる審査のほうが、確かめておく権限や手順が複雑になり、設計の難易度も上がります。共同審査が実現すれば、これまで一つの組織の中で完結していた承認の流れを、複数の組織をまたいで調整する仕組みに設計し直す必要が出てきます。
規模の大きい公共システムに関わる意味
e-Govの総アクセス件数が年間約41億件2、電子申請の届出件数も約3,043万件3という規模で動いている基盤に機能を加えるとなると、影響範囲の確認や移行手順の設計など、小さなアプリの改修とは異なる緊張感を伴います。これだけの規模で利用が積み重なっている基盤に関わる経験は、他の案件でも評価される実績になりやすいと言えます。大規模な基盤に関わった実績は、次の案件で自分の経験を説明する際の具体的な材料にもなります。一度の改修で終わらず、機能拡充のたびに関わる機会が生まれる点も、この領域で経験を積む利点の一つです。
出典:デジタル庁「e-Govの利用状況及び今後予定している主な機能拡充について」(2025年10月)をもとに作成。数値ではなく仕組みを整理した概念図です。
機能追加が続くということは、それだけ長く関わり続けられる案件領域があるということでもあります。ここまで見てきた申請フォームやAPI連携、認証の実装経験をどう案件につなげていくか、次に整理します。
5. 案件への関わり方と、選ぶ観点
Web・フォーム・電子署名・API連携の経験が効く
e-Govに関わる案件で評価されやすいのは、特別な行政知識よりも、Webアプリケーションのフォーム実装や電子署名、API連携といった積み上げてきた経験そのものです。行政特有の用語を覚えることより、認証やデータ連携の設計を丁寧に積み上げてきた実務のほうが、案件選びでは強みになります。複数のシステムをまたいでデータをやり取りするAPI連携の実装経験や、外部認証と連携した設計の経験は、e-Govに関わる案件でもそのまま評価の対象になります。たとえば、これまで携わってきたECサイトの決済連携や会員登録フォームの実装経験も、申請フォームや認証の設計に置き換えて語ることができます。
案件の粒度もさまざまで、申請フォーム単体の改修から、認証・API連携まで含む一連の機能拡充まで幅があります。参画前に、どの範囲を担当するのか、既存の実装にどこまで手を入れるのかを確認しておくと、稼働してから想定と違う作業に追われることを避けやすくなります。
リモート中心でも関われる
リモートでの参画を考える場合も、選択肢は狭くありません。Remoguが扱う案件の90%以上がフルリモート可能です7。場所に縛られずに、これまで積み上げてきたWeb開発やAPI連携の経験を生かせる環境が広がっています。行政のオンライン化に関わる案件は、地方在住であることや、常駐が難しい事情があっても、遠ざかる理由にはなりません。
自分の経験がどの案件にどう生きるのかは、実際の案件情報を見比べてみるとつかみやすくなります。まずは登録して、条件を確かめてみるのも一つの進め方です。
フルリモートで参画できる案件を見る →
6. まとめ
ここまで、e-Govという一つの窓口を軸に、申請フォームや電子署名、審査支援、認証、API連携という実装領域を見てきました。行政特有のシステムと聞くと身構えてしまう場面もありますが、実際に手を動かす部分は、Webアプリケーションの設計・実装で積み上げてきた経験の延長線上にあることがほとんどです。要点は次のとおりです。
- e-Govは24時間365日申請・届出ができる窓口で、利用は年々広がっています
- 申請サービスではフォーム入力・エラーチェック・電子署名までの実装が求められます
- 審査支援サービスは受付から通知までの事務手続を管理し、認証にはe-GovアカウントやGビズID等の複数の入口があります
- 今後も共同審査などの機能拡充が予定されており、開発の対象は広がり続けます
- フォーム実装やAPI連携、認証まわりの経験は、行政特有の知識よりも案件選びで強みになります
Webアプリケーションのフォーム実装やAPI連携で積み上げてきた経験は、行政という分野でもそのまま生きる力になります。特別な行政知識を一から覚えるより、これまでの設計・実装の経験を持ち込むほうが、案件への入り方としては近道です。まずは自分の経験に近い案件がどれだけあるか、登録して条件を確かめてみることが、次の一歩になります。
7. よくある質問
e-Govの案件では、具体的に何を作ることになりますか
申請フォームの実装やエラーチェックの組み込み、電子署名の付与、審査支援システムとの連携など、Webアプリケーション開発の延長線上にある機能を作ることになります。特定の製品を導入するだけの案件ではなく、業務の流れそのものを設計する案件が中心です。受付から審査、通知までを一続きの流れとして捉え、各段階でのデータの受け渡しを設計する場面も出てくる領域です。案件によっては、既存の申請フォームの改修だけを担当することもあれば、認証やAPI連携まで含めて一通り任されることもあります。
どんな技術経験が生きますか
フォーム開発やAPI連携、認証まわりの実装経験が生きます。行政特有の知識よりも、Webアプリケーションを一から設計してきた経験のほうが、案件選びでは重視されやすい傾向にあります。エラーチェックや状態管理の設計経験があると、審査支援サービスのような後工程を含む機能でも役割を任されやすくなります。
認証やAPI連携には、どのように関わりますか
利用者認証にe-GovアカウントやGビズID等が使われる仕組みを踏まえた上で5、府省連携APIなどを通じて業務システムとデータを受け渡す設計に関わります。単発の画面実装ではなく、システム間の整合性を保つ視点が求められます。認証を通過した後のアクセス権限の管理や、連携先ごとのデータ形式の違いをすり合わせる工程も含まれます。
リモートで関わることはできますか
行政システムに関わる案件でも、画面の前で完結する設計・実装が中心のため、フルリモートで進めやすい領域です。常駐が前提になりやすい案件と比べると、場所を問わずに参画できる点は、遠方在住のエンジニアにとっても選択肢を広げる材料になります。まずは登録して、自分の経験に合う条件を確かめてみることをおすすめします。
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※公開中の案件数は時期によって変わります。記事中の案件の傾向は執筆時点のものです。
出典・参考情報
*1 デジタル庁「e-Govの利用状況及び今後予定している主な機能拡充について」(2025年10月)
*2 デジタル庁「e-Govの利用状況及び今後予定している主な機能拡充について」(2025年10月)
*3 デジタル庁「e-Govの利用状況及び今後予定している主な機能拡充について」(2025年10月)
*4 デジタル庁「e-Govの利用状況及び今後予定している主な機能拡充について」(2025年10月)
*5 デジタル庁「e-Govの利用状況及び今後予定している主な機能拡充について」(2025年10月)
*6 デジタル庁「e-Govの利用状況及び今後予定している主な機能拡充について」(2025年10月)
*7 Remogu(株式会社LASSIC運営)公開情報:扱う案件の90%以上がフルリモート可能