DX人材不足の今、フリーランスエンジニアに求められる3つの価値

📘 この記事でわかること
- 日本のDX推進人材が85.1%不足している現状と、それでも案件で「選ばれる理由」は別に必要な背景
- 日本のDXが内向き・部分最適に偏りやすいことと、その裏側で求められている外向き・全体最適の視点
- 全体最適の視点を実績として言語化する型と、フルリモートで自分の価値を活かす案件の選び方
DX推進の記事や統計を見るたびに、日本ではDX人材が不足しているという言葉ばかりが目に入ります。数字だけを追うと、案件は増えているはずなのに、自分がどう評価されるのかは見えてきません。人材の量が不足している事実と、フリーランスとして選ばれる理由は、別の話として整理しておく必要があります。IPA「DX動向2025」のデータをもとに、量の不足の先にある「求められる価値」を具体的に見ていきます。
1. DX人材が不足する中、案件が増えています
DX案件を探していると、「人材不足」という言葉に見飽きてくるかもしれません。ですが、この数字を軽く読み流すと、なぜ今フリーランスに声がかかるのかという理由も一緒に見失ってしまいます。人材不足という言葉の中身を分解してみると、量の不足と質の不足が混ざっていることが分かってきます。まずは、日本のDX人材がどれだけ不足しているのか、公的な調査の数字から確認しておきましょう。
日本はDX推進人材の量が85.1%不足しています
情報処理推進機構(IPA)の調査によると、日本でDXを推進する人材の量について「やや不足している」「大幅に不足している」と回答した企業の合計は85.1%に達しています1。8割を超える企業が、人材の量そのものに課題を抱えている状態です。この数字は、DXを推進する人材全体の不足を示すものであり、フリーランスの需要そのものを直接示す数字ではありません。ただし、企業が外部の人材を検討する動きが強まっている背景としては読み取ることができます。案件の掲載数が増えている実感がある場合、その裏側にはこの量の不足感が広がっている可能性があります。数字を自分ごととして受け止めるなら、「不足しているのだから声がかかりやすい」という受け身の見方ではなく、「不足している状況の中で、どの部分に自分の経験が生きるか」という向きで捉え直すことが出発点になります。
日米独比較で人材不足を感じているのは日本だけです
同じ調査では、米国とドイツの状況も比較されています。米国では「過不足はない」「やや過剰である」の合計が73.6%、ドイツでは52.5%にのぼり2、日本と対照的な結果になっています。米国やドイツでは人材の状況に落ち着きを感じている企業の割合が高く、日本だけが強い不足感を抱えている構図です。量の面での不足感は、日本市場に特有の課題であることが見えてきます。裏を返せば、同じスキルを持つ人材でも、日本の案件市場では相対的に評価される場面が多くなりやすいということです。海外の水準とそろえて一喜一憂するよりも、日本市場の特有の事情として受け止めておくほうが、案件選びの判断がぶれにくくなります。
DX実現に求められる5つの技術的取組
IPAの整理では、DXの技術利活用にはアジャイル開発、データ利活用、レガシーシステムの刷新、AI・生成AIの利活用、システム開発の内製化といった技術的な取組が必要です4。表1に整理すると、フリーランスが関わりやすい領域の幅広さが見えてきます。単一の技術に閉じず、複数の取組を横断できる経験が、案件で評価される土台になります。
| 技術的取組 | 内容の例 | フリーランスが関わりやすい領域 |
|---|---|---|
| アジャイル開発 | 短い周期で開発と検証を繰り返す進め方 | 要件整理から実装までの伴走 |
| データ利活用 | 蓄積したデータを意思決定に生かす仕組みづくり | 分析基盤の設計・運用 |
| レガシーシステムの刷新 | 古いシステムの構成を見直し、新しい仕組みに置き換える取り組み | 既存システムの構成把握と移行設計 |
| AI・生成AIの利活用 | 業務プロセスへの組み込みと運用の設計 | 実装と精度検証 |
| システム開発の内製化 | 外部依存の開発体制を自社主導に整えていく取り組み | 体制構築期の技術支援と伴走 |
出典:IPA「DX動向2025」をもとに作成
ただし、「量が不足している」ことと、フリーランスとして自分が選ばれる理由とは、別の話です。
2. 「量が不足している」だけでは、選ばれる理由になりません
人材の量が不足しているという事実は、企業がフリーランスを検討する入口にはなります。ですが、量の不足だけを理由に選ばれるわけではありません。入口が開いていることと、実際に選ばれることの間には、もう一段階の条件があります。ここで大事なのは、日本のDXがどんな方向に偏りやすく、どちらの方向性が求められているのかを理解しておくことです。
日本のDXは内向き・部分最適に偏りやすい傾向があります
IPAの整理によると、日本のデータ利活用は業務効率化など内向きの目的に偏りやすく、企業間の連携が十分に進んでいない状況です3。目の前の業務を効率化すること自体は、決して間違った取り組みではありません。ですが、その効率化が担当領域の中だけで完結してしまうと、成果は社内にとどまり、事業全体や取引先には届きにくくなります。担当領域の中だけで効率化を完結させるやり方よりも、その先の関係者まで見渡すやり方のほうが、外向きの成果につながります。
求められる方向性は外向き・全体最適です
同じ整理の中で、DX動向2025は日米独3か国の比較を通じて、成果創出の方向性を内向き・部分最適から外向き・全体最適へと整理しています5。この整理は、技術的な難易度の話ではなく、成果をどこまで見渡すかという視野の話です。自分の担当を超えて、取引先や事業全体にどんな価値を届けられるかを語れる人材が、これからのDX案件で求められる方向性です。
図の作成:Remogu編集部。DX動向2025の整理をもとに方向性を図式化したもので、統計データではありません
では、外向き・全体最適の担い手として、具体的に何を示せばよいのでしょうか。
3. DX案件でフリーランスに求められる3つの価値
ここまでの整理から、量の不足ではなく、外向き・全体最適の担い手であることが評価の軸になることが見えてきました。この軸は抽象的なままだと使いにくいため、実際の案件で判断材料になる形まで分解しておく必要があります。ここでは、案件の現場で実際に評価されやすい3つの価値を整理します。
全体最適の視点と、横断的にやれる技術の幅
1つ目は、担当範囲の外まで見渡す全体最適の視点です。部分最適に偏りやすい現場だからこそ3、全体の流れを踏まえて提案できる人材が際立ちます。目の前の作業だけを正確にこなす人材と、その作業が全体にどうつながるかまで説明できる人材とでは、案件担当者から見た印象が変わってきます。2つ目は、アジャイル開発からシステム開発の内製化まで、複数の技術的取組を横断できる幅です4。単一の技術を深めるだけの関わり方よりも、複数の取組をつなげる関わり方のほうが、案件の中で頼られる場面が増えます。
外向きの成果につなげる姿勢
3つ目は、効率化にとどまらず、外向きの成果につなげる姿勢です5。社内の作業を減らすだけでなく、取引先や事業の外側にどんな価値が届いたかまで言葉にできると、全体最適の視点が伝わりやすくなります。この姿勢は特別な技術というより、成果を語るときの視点の持ち方に近いものです。この3つの価値は独立したものではなく、案件を重ねる中で少しずつ重なり合っていくものです。
図の作成:Remogu編集部。案件で評価されやすい3つの価値を整理したもので、統計データではありません
現場に多い姿と、求められる価値の対比
DX案件の現場では、目の前の業務を効率化する視点にとどまりやすい傾向があります。IPAの整理でも、日本のDXは内向きな目的に偏りやすいことが示されています3。現場にとどまりやすい姿そのものが悪いわけではなく、そこで止まってしまうと、案件担当者からは「作業を正確にこなす人材」という評価にとどまりやすくなります。ここで、現場にとどまりやすい姿と、外向き・全体最適の視点から求められる価値を、表2で対比しました。
| 観点 | 現場にとどまりやすい姿 | 求められる価値 |
|---|---|---|
| 視野 | 担当領域の効率化にとどまる | 全体の流れを見て提案する |
| 技術の使い方 | 単一の技術を深める | 複数の取組を横断してつなぐ |
| 成果の向け先 | 社内の作業を減らす方向 | 社外・取引先へ価値を広げる方向 |
この3つの価値は、案件の現場で「示せて」初めて評価されるものです。
4. その価値を、案件でどう示すか
3つの価値を持っていても、伝え方次第で評価は大きく変わります。せっかく全体最適の視点で仕事を進めていても、それが言葉になっていなければ、案件担当者には作業の記録としてしか伝わりません。ここでは、積み上げてきた実績を案件の評価に結びつける、具体的な示し方を整理します。
実績を全体最適・外向きの言葉で言語化する
実績を振り返るとき、多くの場面で「何を作ったか」だけを語りがちです。しかし評価される言葉は、その先の「誰に、どんな変化を届けたか」まで含んだ言い方です。全体最適の視点で語り直すと、同じ実績でも案件担当者に伝わる重みが変わります。作業の記録よりも、成果につながった経緯を語るほうが、選ばれる理由になります。言い換える作業は難しく感じられるかもしれませんが、表3のようなチェックの型を1つ持っておくだけで、次の案件から実践できるようになります。
内製化に伴走する立場での関わり方
システム開発の内製化を進める現場では4、外部の専門家がすべてを巻き取るのではなく、体制づくりに伴走する関わり方が求められます。技術を渡すだけでなく、なぜその判断をしたのかを言語化して残すことが、内製化を支える価値になります。判断の理由を残しておけば、その現場を離れた後も、体制の中に価値が残り続けます。効率化どまりの支援よりも、体制が育つ支援のほうが、次の案件にもつながります。
図の作成:Remogu編集部。実績の示し方を3段階で整理したもので、統計データではありません
実績の示し方チェック
積み上げてきた実績があっても、「作業をしました」で終わる言い方では、全体最適や外向きの価値として伝わりにくくなります。同じ経験でも、どこを切り取って語るかで、案件担当者に残る印象は変わります。表3のチェック項目に沿って言葉を選び直すと、同じ実績でも評価される伝わり方に変わります。
| 言い換え前 | 言い換え後 |
|---|---|
| 分析しました | 分析の結果を意思決定に反映しました |
| システムを改修しました | 全体の流れを踏まえてシステムを見直しました |
| 効率化しました | 社内外の関係者に価値が伝わる形に整えました |
全体最適の視点を活かせるDX案件を見る →
示せる価値が明確になるほど、働き方そのものの選択肢も広がっていきます。
5. リモート中心のDX案件で、価値を活かす
全体最適の視点を示せるようになったら、次に考えたいのが働き方です。示せる価値が明確になっているなら、それを発揮する場所を自分で選べるようになっていきます。ここでは、リモート中心の環境でその価値をどう活かせるかを見ていきます。
全体最適はリモートでも示せます
全体最適の視点は、常駐して初めて示せるものではありません。むしろ複数の案件・複数の現場を横断してきた経験があるからこそ、外部の立場から全体を見る視点を持ちやすくなります。1つの現場に染まりきらない立場のほうが、部分最適に偏った判断に気づきやすいという面もあります。場所に縛られない働き方は、全体最適の視点を磨いてきた経験と相性が良いといえます。
条件を見比べて自分に合う案件を選びます
Remogu(株式会社LASSIC運営)は、リモートワーク案件に特化したエンジニアマッチングです。案件の90%以上がフルリモート可能です6。ただし案件の種類や条件は時期によって変わるため、実際の一覧を確認しながら、これまで積み上げてきた実績を最も活かせる条件を見比べていくのが近道になります。
自分の実績を活かせるフルリモートのDX案件を見る →
量の不足ではなく質で選ばれる感覚は、実際に条件を見比べてみないと分かりません。まずは登録して、これまでの実績に合う条件を確かめてみましょう。
6. まとめ
ここまでの内容を振り返ります。日本ではDX推進人材の量が85.1%不足していますが1、この数字は人材全体の不足を示すものであり、フリーランスが選ばれる理由をそのまま説明するものではありません。日米独の比較からも、日本の不足感が突出していることが分かります2。日本のDXは内向き・部分最適に偏りやすく3、求められる方向性は外向き・全体最適です5。この転換の担い手として、全体最適の視点、横断的な技術の幅、外向きの成果につなげる姿勢という3つの価値が、案件で選ばれる土台になります。実績は作業の記録としてではなく、全体最適・外向きの言葉で言語化して初めて評価されます。言語化の型は一度身につければ、案件が変わっても繰り返し使える資産になります。場所に縛られない働き方は、全体最適の視点を育ててきた経験と相性が良好です。量の不足を追いかけるより、自分が示せる価値を言語化し、まずは条件を見比べるところから始めてみましょう。
7. よくある質問
ここまでの内容に関連して、読者からよく寄せられる質問をまとめました。
DX人材の不足は今後も続きますか
IPAの調査時点で、日本の人材不足感は米国やドイツと比べて高い水準です2。今後の推移そのものを示す数字は本記事の出典には含まれていませんが、量の不足という土台がすぐに解消しない限り、全体最適の視点を示せる人材への期待は続くと考えられます。時期を問わず言えるのは、量の不足に頼るだけでなく、示せる価値を自分の言葉で持っておくほうが、案件選びの選択肢は安定するということです。
全体最適の視点は、経験が浅くても示せますか
全体最適の視点は、担当した案件の範囲を問わず示すことができます。目の前の作業だけでなく、その先の関係者にどんな影響があったかを言葉にする習慣があれば、案件数や年数に関わらず伝えられます。まずは直近の実績を、表3のチェック項目に沿って言い換えてみることから始められます。
内製化が進むと、フリーランスの出番は減りますか
システム開発の内製化は、外部人材の出番を失くす取り組みではなく、DXに必要な技術的取組の一つとして位置づけられています4。体制が育つ過程に伴走する関わり方にこそ、フリーランスが持つ価値があります。
リモート中心でDX案件に関われますか
Remoguはリモートワーク案件に特化したエンジニアマッチングで、案件はフルリモート中心です6。実際の条件は案件によって異なるため、一覧で確認しながら、これまでの実績に合うものを探していくことができます。全体最適の視点や横断的な技術の幅は、常駐しているかどうかとは別の軸で評価される価値なので、リモート中心の環境でも十分に活かしていくことができます。
リモートワーク案件をお探しの方へ
Remoguは、株式会社LASSICが運営するITエンジニア・デザイナー専門のリモートワーク案件紹介サービスです。フルリモート・ハイブリッドの案件から、スキルに合うものを探せます。
求められる価値は案件によって変わります。まずはリモート中心のDX案件が、いまどんな条件で並んでいるかを見てみてください。
会員登録無料 / 案件閲覧・相談は無料
※公開中の案件数は時期によって変わります。記事中の案件の傾向は執筆時点のものです。
出典・参考情報
*1 情報処理推進機構「DX動向2025」(2025年6月26日)
*2 情報処理推進機構「DX動向2025」(2025年6月26日)
*3 情報処理推進機構「DX動向2025」(2025年6月26日)
*4 情報処理推進機構「DX動向2025」(2025年6月26日)
*5 情報処理推進機構「DX動向2025」(2025年6月26日)
*6 Remogu(株式会社LASSIC運営)公開情報:扱う案件の90%以上がフルリモート可能