建設DXの案件|i-Constructionとデータ連携の進め方

📘 この記事でわかること
- 生産年齢人口の減少と、建設後50年以上を経過する社会資本の増加が重なり、現場の省人化が急務になっている背景
- i-Construction2.0が掲げる施工とデータ連携、施工管理という3本柱の全体像と、それぞれで生きる技術の視点
- 設計から施工、維持管理までをつなぐデータ連携の勘所と、リモート・フリーランスとしての関わり方の広がり
建設現場の仕事は、図面の確認も進捗の共有も、人が動いて埋めてきた部分が大きい仕事です。国土交通省はi-Construction 2.0で、2040年度までに建設現場のオートメーション化を実現しようとする取り組みを掲げています1。人手に頼ってきた工程を、データでつなぎ直す動きが広がっています。この記事では、建設DXの中でソフトウェアエンジニアが担える役割と、リモート・フリーランスとしての関わり方を整理します。
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1. なぜいま建設DXの案件が増えているのか
少ない人数で現場を支える時代が来ている
現場に十分な人手が回っていると感じる場面は、年々減っています。図面の確認も、進捗の共有も、人が動いて埋めてきた部分が大きいためです。国土交通省の資料によれば、生産年齢人口は2040年度に2020年度比で約2割減少すると見込まれています2。人を増やす方向に頼るよりも、少ない人数で現場を回す仕組みそのものを変える動きのほうが、現実的な打ち手になっています。この変化は、建設業界だけの事情ではありません。少ない人数で成果を出す仕組みづくりは、データを扱う力を持つ人材への期待が高まる場面でもあります。
老朽化するインフラが呼ぶ「記録」の仕事
建設後50年以上を経過する社会資本の割合も高まっており3、点検や補修の計画を効率よく回すことが求められています。紙の台帳や個別のファイルでは、どの施設がいつ点検されたのか、次の点検はいつなのかを追いきれなくなっていきます。ここに、データを整理し、次の判断につなげる力が生きる余地が生まれています。点検の記録を担当者の記憶や個人のメモに頼る運用では、担当が変わるたびに情報の一部が失われてしまいます。記録を仕組みとして残すことは、老朽化が進む社会資本を長く使い続けるための土台になります。
担い手の減少と施設の老朽化は、別々の課題に見えて、同じ現場に重なって現れています。人を増やせない以上、記録と判断の一部をソフトウェアに委ねる範囲を広げるほかありません。この2つの課題は、どちらも人を増やして解決する方向では立ち行きません。データを整え、記録を次の判断に届ける仕組みを持つことが、現場の負担を減らす現実的な道筋になります。次の章で、国が示す取り組みの全体像を整理します。
出典:国土交通省「i-Construction 2.0」(2024年)をもとに作成
2. i-Construction 2.0と全体像
オートメーション化を掲げる国の取り組み
i-Constructionは、2040年度までに建設現場のオートメーション化を実現しようとする、国土交通省の生産性向上の取り組みです1。個別の作業を速くするだけでなく、現場のあり方そのものを変える枠組みとして位置づけられています4。担い手が減っていく前提のもとで、少ない人数でも成り立つ現場をつくる方向に、施策全体が向いています。個別のシステムを入れ替えることよりも、現場全体の情報の流れを変えることのほうが、この取り組みの狙いに近いと言えます。国が示す枠組みであっても、実際に手を動かして仕組みを作るのは、一つひとつの現場に関わるエンジニアです。
3本柱をソフトウェアの視点で見る
この取り組みは、施工のオートメーション化5とデータ連携のオートメーション化6を柱として進められており、現場の情報を計画や記録に活かす施工管理の効率化も合わせて語られます。3つの柱に共通するのは、人の手作業を減らし、データが現場を橋渡しする点です。現場に常駐して手を動かすことよりも、データを整えて次の工程に渡す設計のほうが、ソフトウェアエンジニアの力が生きる場面になります。現場に足を運んで確認する回数を減らすことよりも、必要な情報がいつでもデータとして参照できる状態をつくることのほうが、この分野では長く効いてきます。この視点は、建設分野に限らず、記録と判断が分かれているあらゆる現場に共通します。
3本柱と、案件で求められる具体的な行動
3本柱は、それぞれ現場で求められる作業の中身が異なります。次の表は、柱ごとにどのような変化が起きていて、案件でどのような作業に関わる場面が想定されるかを整理したものです。関わり方は案件によって幅があるため、あくまで傾向として参考にしてください。制度や資格の細目ではなく、データの扱い方に焦点をあてています。表の右側にある作業は、いずれも現場に常駐しなくても進められる性質のものが中心です。
| 柱 | 現場で起きている変化 | 案件で関わる作業の傾向 |
|---|---|---|
| 施工のオートメーション化 | 重機の自動制御や施工データの記録が広がる | 制御データの取り込み・可視化・記録の仕組みづくり |
| データ連携のオートメーション化 | 設計・施工・維持管理の情報が別々の形式で残りやすい | 3次元モデルやデータ形式を橋渡しする連携基盤の設計 |
| 施工管理のオートメーション化 | 進捗や検査の記録が紙や個別のファイルに分散する | 記録を一元化する管理画面・入力フローの整備 |
図の作成:Remogu編集部。国土交通省「i-Construction 2.0」(2024年)が掲げる枠組みを整理したもので、統計データではありません
3. ソフトウェアエンジニアが効く「データ連携」
3次元モデルを「使えるデータ」にする
データ連携のオートメーション化6が掲げるのは、3次元モデルを含む情報を機械判読可能な形式でやり取りし、工程をまたいで使い回すことです。設計図をそのまま画像として渡すよりも、モデルの中の数値や属性を構造化して渡すほうが、後工程で活きます。図面を都度読み合わせるよりも、データとして連携させるほうが、確認の手間そのものを減らせます。設計段階で整えたデータの粒度は、施工や維持管理の段階でどこまで活用できるかを大きく左右します。
プロセスを横断してつなぐ視点
設計・施工・維持管理は、担当する組織も使う道具も分かれています。情報が工程の切れ目で失われやすいのは、この分かれ目に理由があります。ソフトウェアエンジニアが担う役割は、切れ目そのものをなくすことではなく、切れ目があっても情報が失われない橋を架けることです。フォーマットの変換、属性の対応付け、更新履歴の管理といった地道な設計が、現場の判断を支えます。
この橋渡しの設計は、現場に常駐していなくても進められる仕事です。必要なのは、現場の言葉をデータの構造に翻訳し、次の工程が迷わず使える形に整える力です。積み上げてきた設計の経験があれば、建設分野が初めてでも取り組みの糸口はつかめます。
建設分野の言葉を、データの構造として理解する
建設分野には、工程ごとに独自の呼び方や書式が数多く存在します。これらをすべて覚えようとするよりも、それぞれの言葉がどのようなデータの単位に対応しているのかを、構造として捉え直すほうが効率的です。呼び方が違っていても、指している情報の役割が同じであれば、連携の設計では同じ扱いにできる場面があります。積み上げてきたデータモデリングの経験は、建設分野特有の言葉の壁を越える助けになります。分からない言葉に出会ったときは、意味を推測して進めるのではなく、クライアントと協議して定義を確かめることが、後の手戻りを防ぎます。
図の作成:Remogu編集部。国土交通省「i-Construction 2.0」(2024年)が示すデータ連携の考え方を整理したもので、統計データではありません
データ連携の設計経験が活きるリモート案件を見る →
4. 施工のオートメーション化と現場データの活かし方
現場で生まれるデータをそのままにしない
施工のオートメーション化5が進むと、重機の稼働記録や検査の結果など、現場発のデータが日々積み重なります。積み上げるだけで終わらせず、次の工程や維持管理の判断に使える形に整えることが、ソフトウェアの担う部分です。記録を残すことよりも、記録を次の判断に届ける設計のほうが、価値の差になります。記録が現場に留まったままでは、次に同じ判断をする人がまた一から確認をやり直すことになります。
3次元モデル・機械判読可能なデータ・プロセス横断という3つの観点
現場データを活かすときの観点は、大きく3つに整理できます。3次元モデルとして情報を持つこと、機械が読み取れる形式で残すこと、そして工程を横断して同じ情報を参照できるようにすることです6。この3つがそろって、はじめて記録が次の判断に使われます。どれか一つが欠けても、データは現場に留まったまま次の工程まで届きません。3つの観点は、それぞれ単独で満たすものではなく、設計の段階から意識してつなげておく必要があります。
現場の課題と、ソフトウェアで届く打ち手
建設DXの現場では、人手を増やさずに記録と判断の質を上げることが課題になっています。次の表は、現場で起きやすい課題と、ソフトウェア側の打ち手を並べたものです。建設業法や技術者資格といった制度の細目には立ち入らず、データの扱い方に焦点をあてて整理しています。どの課題も、人手を増やして解決するのではなく、記録の残し方と伝え方を変えることで対応できる余地があります。
| 現場の課題 | 起きている背景 | ソフトウェアでの打ち手 |
|---|---|---|
| 記録が紙や個別ファイルに散らばる | 担当や工程ごとに管理の仕組みが分かれている | 入力・保存の窓口を一つにそろえる仕組みづくり |
| モデルの情報が後工程に伝わらない | データ形式や属性の粒度がそろっていない | 形式を橋渡しする変換・対応付けの設計 |
| 点検や補修の判断に時間がかかる | 過去の記録を探す手間が積み重なっている | 検索・可視化できる記録基盤の整備 |
現場によって記録の残し方や粒度は異なります。打ち手を一つの型にそのまま当てはめるのではなく、現場ごとの運用に合わせて調整する視点も欠かせません。既存の仕組みを大きく置き換えるよりも、今ある記録を少しずつつなぎ直していくほうが、現場の負担は小さく済みます。一度にすべての記録をデータ化しようとするより、判断に直結する記録から順に手をつけるほうが、効果を実感しやすくなります。
図の作成:Remogu編集部。国土交通省「i-Construction 2.0」(2024年)が示すデータ連携の考え方を整理したもので、統計データではありません
5. リモート・フリーランス案件でどう関わるか
現場に立つ知識より、データを整える視点
建設DXの案件で問われるのは、現場に精通した知識そのものよりも、現場から出てくるデータを整え、次の判断につなげる視点です。図面や記録の意味を理解しようとする姿勢があれば、建設業界での実務経験が無い立場からでも関わる糸口はあります。工程を覚えることよりも、データがどの判断に使われるかを追いかける姿勢のほうが、この分野では差になります。これまでの案件で積み上げてきたデータ設計や連携の経験は、業界が変わっても形を変えて活かせます。
ドメイン知識は、案件を選びながら育てる
建設分野の用語や工程の流れは、最初からすべてそろえておく必要はありません。案件の会話の中で少しずつ理解を深め、必要な範囲を見極めながら関わるほうが、無理なく続けられます。用語を先に詰め込むよりも、実際のデータや記録に触れながら意味をつかんでいくほうが、身につく速さも違います。分からない用語が出てきたときは、クライアントと協議しながら意味を確かめる進め方で十分に対応できます。分からないことを飛ばさずに確かめる姿勢は、建設分野に限らず、データを扱う仕事全般で信頼につながります。
関わり方の段階を、無理なく踏む
建設DXの案件への関わり方は、一足飛びに専門家になる必要はありません。次の表は、関わりの深さを段階で並べたものです。どの段階から始めても、記録を次の判断につなげる視点さえ持てれば、関わりを少しずつ深めていけます。入口の段階で積み上げた経験は、中間・深化の段階に進むときの土台として、そのまま活きてきます。
| 段階 | 主な関わり方 | 求められる視点 |
|---|---|---|
| 入口 | 既存システムのデータ入出力・可視化の実装 | 決められた仕様どおりに正確に扱う姿勢 |
| 中間 | データ形式の橋渡し・連携基盤の設計 | 工程をまたいで情報が失われない設計 |
| 深化 | 現場の判断につながる記録基盤の企画 | クライアントと協議しながら要件を見極める視点 |
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Remogu(株式会社LASSIC運営)は、リモートワーク案件に特化したエンジニアマッチングで、扱う案件の90%以上がフルリモート可能です7。場所に縛られず、これまで積み上げてきたデータ設計の力を建設DXの分野で活かしたいと考えているなら、まず登録して自分の経験に近い案件の条件を確かめてみることが、次の一歩になります。
6. まとめ
建設DXは、担い手の減少2と、施設の老朽化3という2つの課題に、データを使って向き合う取り組みです。i-Construction 2.0が掲げる3本柱1のうち、ソフトウェアエンジニアが最も力を発揮できるのは、データ連携の部分です。施工の現場に立たなくても、記録と判断をつなぐ設計の力は十分に求められています。
3次元モデルを機械判読可能な形式でつなぎ、工程を横断して情報を活かす設計は、現場に常駐しなくても担える仕事です。建設分野の実務経験を積み重ねてから関わるよりも、データを整える視点を持って早めに関わり始めるほうが、この分野では近道になります。用語や工程は、案件を進めながら少しずつ身につけていけば十分です。
現場の経験そのものよりも、データを整える視点を持てるかどうかが、この分野での関わり方を左右します。これまでの案件で培ってきたスキルが、建設DXという新しい領域でどう活きるのかは、実際の案件を見てみないと分かりません。まずはRemoguで、自分の経験に近い建設DXの案件がどのように公開されているか、見てみてはいかがでしょうか。
7. よくある質問
建設業界の実務経験がなくても案件に関われますか
案件によって求められる範囲は異なりますが、実務経験そのものよりも、データを整理し、次の判断につなげる視点を持っているかどうかを重視する場面があります。用語や工程は、案件を通じて少しずつ理解を深めていく関わり方も選べます。まずは自分の経験が近い作業内容を持つ案件から見てみることをおすすめします。分からない工程が出てきても、クライアントと協議しながら少しずつ理解を深めていく進め方で対応できます。データを整理し、伝わる形に整えてきた経験そのものが、業界を問わず評価される土台になります。
BIM/CIMの知識は必須ですか
BIM/CIMは、3次元モデルを扱う代表的な考え方の一つとして知られています。ただし、この記事で扱っているのは特定の手法の詳細ではなく、モデルや記録を機械判読可能な形式でつなぐという、データ連携の視点です6。特定の知識をあらかじめ持っていなければ関われない、というものではありません。案件の中で扱う情報の構造を確かめながら、必要な範囲を理解していく進め方で十分に対応できます。
どのような技術が使われていますか
3次元モデルを扱う仕組みや、異なる形式のデータをつなぐ連携基盤、記録を一元化する管理画面など、データを整えて活かすための技術が中心になります6。特定の言語やツールに限定されるものではなく、案件によって求められる技術は変わります。これまで積み上げてきた設計の経験を、どの部分に当てはめられるかを確かめる姿勢が役立ちます。特定の技術を知らないことよりも、データの流れを理解しようとする姿勢のほうが、案件を選ぶときの判断材料になります。
現場に足を運ぶ必要はありますか
案件によって異なります。現場のデータを整える作業や連携基盤の設計は、リモートで進めやすい領域です。一方で、現場との細かな確認が必要な場面では、稼働の条件をクライアントと協議しておくと、後々の行き違いを防ぎやすくなります。参画前に確認しておくことをおすすめします。稼働の詳細をクライアントと協議しておけば、現場に足を運ぶ頻度についても、後から行き違いが生まれにくくなります。
建設DXの案件はフルリモートで進められますか
案件ごとに条件は異なりますが、データを整える設計や連携基盤の実装は、リモートで進めやすい領域として扱われる傾向があります。先に触れたとおり、Remoguが扱う案件はリモートで進めやすいものが中心です。参画前に、稼働の詳細をクライアントと協議しておくことをおすすめします。場所に縛られずに関わりたいと考えている場合は、登録して自分の経験に近い案件を探してみることから始めてみましょう。
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出典・参考情報
*1 国土交通省「i-Construction 2.0」(2024年)
*2 国土交通省「i-Construction 2.0」(2024年)
*3 国土交通省「i-Construction 2.0」(2024年)
*4 国土交通省「i-Construction 2.0」(2024年)
*5 国土交通省「i-Construction 2.0」(2024年)
*6 国土交通省「i-Construction 2.0」(2024年)
*7 Remogu(株式会社LASSIC運営)公開情報:扱う案件の90%以上がフルリモート可能