【建設DX】BIM/CIM案件の属性情報とデータ連携|必要スキルと関わり方を徹底整理

📘 この記事でわかること
- BIM/CIMが目指す各段階の情報の一元化と、そこでエンジニアが解く属性情報の設計という課題
- 重複入力による不整合の防ぎ方と、単一情報源で工程を横断してデータをつなぐ設計の考え方
- 3次元データやデータ連携の経験を活かせる関わり方と、リモートを中心とした案件の探し方
3次元モデルを扱ってきた経験や、システム間のデータ連携を設計してきた経験は、建設・土木の現場でも生きています。国土交通省が進めるBIM/CIMでは、3次元の形だけでなく、そこに紐づく属性情報をどう設計し、どう連携させるかが問われています。専門知識よりも、データを構造化し、つなぐ技術そのものが評価されやすい領域です。この記事では、BIM/CIMの狙いとエンジニアが解く課題、そしてリモートを中心に関わる案件の探し方を整理します。
1. BIM/CIMは、建設のデータを機械判読できる形でつなぐ動きです
BIM/CIMという言葉を耳にする機会は増えていますが、案件の中で具体的に何を任されるのかは、意外と説明されていません。国土交通省が主導する形でこの取り組みが広がっている以上、建設・土木の案件でも、3次元データやデータ連携の技術を持つエンジニアが必要とされる場面は今後も増えていくと考えられます。まずは、BIM/CIMが目指しているものの中身から見ていきます。
各段階の情報を一元的にデジタルデータで共有・伝達する
建設・土木の現場では、調査・設計・施工・維持管理という工程ごとに、別々の図面や記録が積み上がりやすいものです。国土交通省が進めるBIM/CIMは、こうした各段階の情報を一元的にデジタルデータとして共有・伝達し、機械判読可能なデータを活用することで省人化や生産性向上を図る取り組みです1。図面を人が「見る」ためのデータから、システムがそのまま「読み取る」ためのデータへと役割が広がっている、と捉えると理解しやすくなります。
可視化そのものより機械判読可能なデータの活用が要点
BIM/CIMというと、精巧な3次元パースを思い浮かべやすいものですが、要領が重視しているのは見た目の再現度ではありません。むしろ、後工程のソフトウェアやシステムがそのデータを自動で読み取り、処理できるかどうかです1。過度に精密なモデルを目的化するよりも、機械判読できる構造として活用できる形を優先する視点のほうが、実務では評価されます。可視化はあくまで確認の一手段であり、データの構造そのものが本来の狙いになります。
出典:国土交通省「BIM/CIM取扱要領」をもとに作成
この一元化を支えているのは、目に見える3次元の形そのものではなく、その裏側にあるデータの持ち方です。BIM/CIMの案件でエンジニアが担う仕事は、モデリングという作業だけでなく、どの情報をどこに、どの形式で持たせるかという設計そのものに広がっています。
BIM/CIMで扱う主なデータ
BIM/CIMのプロジェクトでは、形状そのものだけでなく、複数の種類のデータを組み合わせて扱います。3次元形状データに加えて、位置情報と結びついたGISデータ、部材の仕様や施工履歴を記録した属性情報、工程間で引き継ぐ電子データなどが代表的です。どの種類のデータに深く関わるかによって、求められる技術も変わってきます。次の表に、主なデータの種類と役割を整理しました。
| データの種類 | 主な内容 | 何に使うか |
|---|---|---|
| 3次元形状データ | 構造物や地形の形状を数値で表現したデータ | 全体像の把握、干渉の確認 |
| 属性情報 | 材料や部材の仕様、施工履歴などの情報2 | 必要な時に必要な情報を引き出す |
| GISデータ | 位置情報と結びついた地理空間データ | 周辺環境との重ね合わせ |
| 電子データ | 各工程で作成された図面・記録の引き継ぎ用データ | プロセス間の橋渡し |
表にある属性情報や電子データは、単体では価値を生みません。工程をまたいで参照される前提で設計されて初めて、機械判読可能なデータとしての意味を持ちます。
3次元の形だけでなく、それに紐づく情報こそが価値になる、という見方をここで押さえておくと、次に見る属性情報の設計が理解しやすくなります。
2. 3次元モデルに、属性情報をひもづける
BIM/CIMの案件で最初に向き合うことになるのが、3次元モデルに何の情報を、どう持たせるかという設計です。形を作るだけで終わる仕事ではなく、その形に情報を積み重ねていく工程だと捉えると、エンジニアとして関わる意味が見えてきます。
材料・部材の仕様や施工履歴を属性情報として統合する
3次元形状データやGISなどに、材料や部材の仕様、施工履歴といった情報を属性情報として統合しておくと、必要な時に必要な情報を引き出せるようになります2。単に形を再現するだけのモデルと比べると、属性情報を伴うモデルは、後から「この部材はいつ施工されたのか」「仕様はどうなっているのか」を照会できる点が違います。形そのものよりも、その形に紐づく情報の設計こそが、エンジニアの腕の見せどころになります。
必要な時に必要な情報を引き出す設計にする
属性情報の統合は、ただ項目を増やせばよいわけではありません。維持管理の担当者が何を、どのタイミングで参照したいかを想定し、検索や抽出がしやすい形でデータを構造化しておくことが要点です。項目を羅列するだけの設計よりも、使う場面から逆算して組み立てた設計のほうが、後工程の負担を軽くします。これまでシステム間のデータ連携や属性設計に携わってきた経験は、そのままこの領域で活かせます。
例えば、部材の種類や点検の周期といった項目をあらかじめ整理し、検索の手がかりとして扱いやすい形に落とし込んでおくと、後工程からの照会がスムーズになります。こうした設計の積み重ねが、図に示す属性情報のつながりを支えています。
出典:国土交通省「BIM/CIM取扱要領」をもとに作成
ただし、同じ属性情報を複数のツールにそれぞれ入力するような運用では、思わぬ形で情報がずれていくことがあります。次に、その不整合がなぜ起きるのかを見ていきます。
3. 重複入力による不整合を、どう防ぐか
属性情報の設計が整っていても、運用の仕方によっては新たな問題が生まれます。複数のツールに同じ情報をそれぞれ入力する進め方は、その代表例です。
複数ツールへの重複入力が修正漏れによる不整合を生む
同じ属性情報を複数のツールへそれぞれ入力する運用では、片方だけを修正して、もう片方の更新を忘れるといった修正漏れによる不整合が生じることがあります3。図面上は正しく見えても、参照するツールによって仕様や履歴の内容が食い違う、という状態です。この不整合はモデルの見た目からは気づきにくく、後工程になって初めて表面化しやすい問題です。
単一情報源・機械判読の設計で防ぐ
防ぎ方の基本は、同じ情報を複数の場所に持たせず、一つの情報源から必要なツールが読み取る形にすることです。人が都度そろえる入力の運用よりも、機械判読できる形式で一元管理し、そこから各システムが参照する設計のほうが、修正漏れの起きる余地そのものを小さくできます。データをあちこちに書き込む発想から、一か所に置いて、そこから読ませる発想へ切り替えることが要点です。
こうした食い違いに気づかないまま工程が進むと、後から手戻りが発生し、確認や修正に余計な時間を割くことになります。設計の初期段階で情報の持ち方を決めておくことが、結果的に効率的な進め方につながります。
出典:国土交通省「BIM/CIM取扱要領」をもとに作成
連携で確かめる観点
属性情報の連携が正しく機能しているかは、見た目のモデルだけでは判断できません。情報の置き場所が重複していないか、修正が一か所で反映される経路になっているか、特定のソフトウェアに依存しない形式でデータが持たれているかといった観点を、実際の案件では一つずつ確かめていくことになります。次の表に、その確認観点を整理しました。
| 確認する観点 | 見るポイント |
|---|---|
| 情報の置き場所 | 同じ属性情報が複数の場所に重複していないか3 |
| 更新の経路 | 修正が一か所で反映される設計になっているか |
| 形式の依存度 | 特定のソフトウェアに依存しない形式か5 |
| 対応ソフトウェア | データ連携に対応したソフトウェアを使っているか6 |
これらの観点は、モデルの完成度を見るよりも先に、案件に途中から加わる場合でも確認しておきたい土台です。まずこの観点で現状を確認すると、どこに手を入れるとよいかが把握しやすくなります。
こうした不整合を防ぐ鍵は、一つのツールの中だけでなく、工程をまたいだデータ連携の設計にあります。次に、その連携の設計を見ていきます。
4. プロセスを横断したデータ連携と、ソフトに依存しない形式
単一情報源の考え方を実現するには、一つのツールの中だけで完結させるのではなく、工程をまたいでデータをやり取りする仕組みそのものを設計することになります。
調査から維持管理までプロセスを横断した連携
BIM/CIMでは、調査から設計、施工、維持管理までのプロセスを横断したデータ連携が求められます4。工程が変わるたびにデータを作り直すのではなく、前工程で整えた属性情報を後工程がそのまま引き継げる状態にしておくことが目的です。この橋渡しの設計を担えるかどうかが、案件の中でエンジニアに求められる技術になります。
この橋渡しは、単発の作業ではなく、案件全体を通じて意識し続ける方針です。工程が進むごとに、前段階のデータがそのまま次の工程で使える状態かどうかを確認しながら整えていくことになります。
特定ソフトに依存しない形式と、連携対応ソフトウェアの活用
工程をまたいでデータを引き継ぐには、特定のソフトウェアに依存しない形式でデータを扱うことが前提になります5。J-LandXMLやIFCといった、特定ソフトに依存しない形式は、その代表的な例です。あわせて、データ連携に対応したソフトウェアを実務で使えることも前提となります6。特定のソフトの操作だけに閉じた経験よりも、形式を理解し、複数のソフトウェアをまたいでデータを扱ってきた経験のほうが、この領域では評価されやすくなります。
こうした形式やソフトウェアの知識は、現場に足を運ばなくても、手元の環境で検証や設計を進められる技術です。データの受け渡しさえ整えば、どの工程の橋渡しにも関わることができます。
出典:国土交通省「BIM/CIM取扱要領」をもとに作成
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特定のソフトに依存しない形式でデータを扱う技術や、工程をまたいだ連携を設計する経験は、現場に常駐しなくても発揮できる技術です。次に、この経験をどう活かし、どのような関わり方があるのかを見ていきます。
5. 経験を活かす関わり方と、案件を選ぶ
ここまで見てきたBIM/CIMの技術は、案件の中でどう活かせるのでしょうか。最後に、経験を活かせる関わり方と、案件を選ぶときの視点を整理します。
3次元データ・データ連携・標準化の経験が効く
BIM/CIMの案件で評価されやすいのは、3次元データの取り扱いだけでなく、属性情報の設計、複数システム間のデータ連携、そして形式の標準化に携わってきた経験です。建設・土木の専門知識が乏しい状態からでも、データ設計やシステム連携の技術を積み上げてきたエンジニアであれば、関われる余地は十分にあります。建設の細部の工法よりも、データをどう構造化し、どうつなぐかという技術のほうが、この領域では軸になります。
例えば、命名規則の統一や変更履歴の残し方など、他の業界のシステム開発で培ってきた設計の作法も、属性情報の管理に応用できます。案件によっては、こうした周辺の設計力が評価の分かれ目になることもあります。
リモートを中心とした関わり方ができる
Remoguが扱う案件の90%以上がフルリモート可能です7。データ連携や属性情報の設計といった技術は、現場に張り付いていなくても、リモートを中心に進めやすい性質を持っています。とはいえ、案件によって求められる稼働の形は異なるため、実際の条件は案件ごとに確かめていくことになります。
案件で確かめる観点
BIM/CIMに関わる案件と一口に言っても、3次元形状の作成だけを担うものから、属性情報の設計やシステム間の連携まで踏み込むものまで幅があります。案件の内容を見るときは、扱うデータの範囲や、どの工程を橋渡しするか、使用する形式やソフトウェアが特定ベンダーに閉じていないかを確かめると、経験との相性が見えやすくなります。次の表に、案件を見るときの観点をまとめました。
| 確認する項目 | 内容 |
|---|---|
| 扱うデータの範囲 | 3次元形状だけか、属性情報の設計まで関わるか2 |
| 連携の対象工程 | 調査・設計・施工・維持管理のどこを橋渡しするか4 |
| 使用する形式 | 特定のソフトウェアに依存しない形式かどうか5 |
| 働き方の条件 | リモートで進められる範囲、報酬など案件ごとの条件 |
表の項目は、案件の説明文だけでは分かりにくいこともあります。気になる案件があれば、詳細を確認しながら、自分の経験とどこが重なるかを照らし合わせてみましょう。
3次元データ・BIM/CIMに関わるリモート案件の条件を見る →
3次元データやデータ連携の経験を、どの案件でどう活かせるかは、実際の案件の条件を見比べてみるとつかみやすくなります。まずは登録して、自分の経験に合う条件を確かめてみましょう。
6. まとめ
ここまでの内容を振り返ります。
- BIM/CIMは、各段階の情報を一元的にデジタルデータとして共有・伝達し、機械判読可能なデータを活用する取り組みです1。
- 3次元形状データに、部材の仕様や施工履歴といった属性情報を統合しておくことで、必要な時に情報を引き出せます2。
- 同じ情報を複数のツールに重複入力すると不整合が生じることがあるため、単一情報源での管理が有効です3。
- 調査から維持管理までのプロセスを横断したデータ連携と、特定のソフトウェアに依存しない形式の理解が求められます4。
- こうした3次元データ・データ連携・標準化の経験は、リモートを中心とした案件でも活かせます。
BIM/CIMの案件は、3次元モデルを作るだけでなく、属性情報の設計やデータ連携を担う技術まで幅広く求められます。積み上げてきたデータ設計の経験を、建設・土木という伸びていく領域で活かしてみたい場合は、まず登録して、自分の経験に合う条件を確かめてみることから始められます。条件は案件によって様々ですが、比較しながら自分に合う関わり方を見つけていくことができます。
7. よくある質問
BIM/CIMの案件で何を作るのですか
案件によって幅がありますが、3次元形状データの作成にとどまらず、材料や部材の仕様・施工履歴を属性情報として統合する設計や、複数のソフトウェア間でデータを連携させる仕組みづくりまで担うことがあります2。扱う範囲は案件ごとに異なるため、内容は個別に確かめていくことになります。モデリングの作業だけで完結する案件もあれば、属性情報の設計やデータ連携の仕組みづくりまで任される案件もあります。
どんなデータ経験が活きますか
3次元データの取り扱いはもちろん、属性情報の設計、複数システム間のデータ連携、特定のソフトウェアに依存しない形式でのデータ設計に携わってきた経験が活きやすい領域です5。建設・土木以外の業界でシステム連携やデータ設計を担ってきた経験も、活かせる余地があります。特定のBIMソフトの操作経験そのものよりも、データの構造や連携の考え方を理解していることのほうが重視されやすい傾向があります。
建設の専門知識は必要ですか
建設・土木の工法や現場運用の細部よりも、データをどう構造化し、どうつなぐかという技術のほうが軸になります。専門知識が乏しい状態からでも、データ設計やシステム連携の経験を積み上げてきたエンジニアであれば、関われる案件はあります。案件に参画してから、必要な建設・土木の知識を都度補っていくという進め方も可能です。
リモートで関わることはできますか
データ連携や属性情報の設計に関わる技術は、リモートを中心に進めやすい性質を持っています。具体的な条件は案件ごとに異なるため、実際に案件を見比べながら確かめていくことになります。打ち合わせや調整はオンラインで行い、成果物のデータをやり取りする形で進む案件が中心です。
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BIM/CIMの案件は、3次元モデルの整備から属性情報の設計、データ連携まで関わり方が幅広くあります。まずは3次元データやデータ連携のリモート案件が、いまどんな条件で並んでいるかを見てみてください。
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※公開中の案件数は時期によって変わります。記事中の案件の傾向は執筆時点のものです。
出典・参考情報
*1 国土交通省「BIM/CIM取扱要領」(2025年3月)
*2 国土交通省「BIM/CIM取扱要領」(2025年3月)
*3 国土交通省「BIM/CIM取扱要領」(2025年3月)
*4 国土交通省「BIM/CIM取扱要領」(2025年3月)
*5 国土交通省「BIM/CIM取扱要領」(2025年3月)
*6 国土交通省「BIM/CIM取扱要領」(2025年3月)
*7 Remogu(株式会社LASSIC運営)公開情報:扱う案件の90%以上がフルリモート可能