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    循環経済の案件で押さえる動静脈連携とデータ活用

    「動静脈をデータでつなぐ」を示す図です。動脈産業/静脈産業/再生材/データ連携を並べています。強調しているのはデータ連携です。

    📘 この記事でわかること

    • 循環経済の案件がいま増えている政策的な背景と、動脈産業と静脈産業をつなぐ動静脈連携という考え方の全体像
    • 再生材の品質や量、来歴(トレーサビリティ)を事業者間で引き継ぐために必要になるデータ連携の視点
    • 循環経済の案件にエンジニアがどう関わり、これまでの経験をどう活かせるかを見極める手がかり

    海外からの資源調達を前提にしてきた生産計画ほど、供給網が乱れたときの影響を強く受けます。この課題を和らげる手段として、国内で資源を回し続ける仕組みづくりが動き出しており、そこでは環境政策の知識よりも先に、データを設計し事業者間でつなぐ力が求められています。この記事では、循環経済の案件がなぜ増えているのかという背景から、動静脈連携やデータ管理の仕組み、リモートでの関わり方までを整理します。

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    1. なぜいま循環経済の案件が増えているのか

    資源を握れないリスクが、経済安全保障の課題になっている

    海外からの資源調達を前提にしてきた生産ラインほど、供給網が乱れたときの影響を強く受けます。価格の急な上昇や、輸入の停止という場面は、これまでにも起きてきました。

    国内で使い終えた製品や部材を再生材として回収し、もう一度資源として使う仕組みを整えることは、この調達リスクを和らげる手段になります。循環経済への移行は、資源の循環利用を通じた経済安全保障の強化にもつながります2

    海外からの調達力を強めるよりも、国内で資源を回し続ける仕組みを整えるほうが、外部要因に振り回されにくくなります。ここに、システムを設計する技術者が関わる余地が生まれています。

    国の基本計画が、仕組みづくりを政策課題に押し上げた

    この動きは、企業ごとの自主的な取り組みだけに任されているわけではありません。国家戦略として、2024年8月に第五次循環型社会形成推進基本計画が策定されました3

    基本計画という後ろ盾ができたことで、事業者間のデータ連携や再生材の品質管理といった仕組みづくりに、予算と人手が向かいやすくなります。積み上げてきた業務システムの経験は、ここで新しい活躍の場になります。

    背景を整理すると、資源制約への対応と政策の後押しが重なって、循環経済に関わる案件が増えている構図が見えてきます。

    この流れは、特定の業界だけに限られた取り組みではありません。製造・小売・物流・素材加工など、資源を扱う産業の広い範囲にデータ整備の必要性が広がっていく性質を持っています。技術者にとっては、特定の言語やフレームワークの経験よりも、事業者をまたいでデータをやり取りする仕組みをどう設計するかという観点が問われる場面が増えていくと見ておくのが妥当です。

    経済安全保障という言葉は、報道では防衛や半導体の文脈で語られることが多い印象がありますが、資源循環はその一角を占める分野です。素材や部材を安定して確保できるかどうかは、製造業だけでなく、その先にあるサービスや事業の継続性にも関わってきます。だからこそ、資源循環を支えるデータ基盤への投資は、景気の波に左右されにくい、腰を据えて取り組める領域になりやすいといえます。

    図1:循環経済の案件が増えている背景
    資源調達の制約リスク 海外依存・価格変動・供給網の乱れ 国の基本計画 2024年策定の循環型社会の戦略 循環経済の案件が増加 データ連携・品質管理の仕組みづくり

    図の作成:Remogu編集部。環境省 令和7年版環境・循環型社会・生物多様性白書における循環経済の位置づけをもとに整理したもので、独自の統計データではありません

    2. 循環経済とは何か:移行の狙い

    「作って捨てる」から「価値を保ち続ける」への切り替え

    循環経済という言葉を、リサイクルの拡大版のように捉えている技術者もいます。ですが、範囲はもう少し広いものです。循環経済(サーキュラーエコノミー)は、資源や製品の価値を維持・回復・付加して循環的に利用する経済システムです1

    「維持」「回復」「付加」という3つの働きかけを、どの工程で誰が担うのかを整理すると、システム開発が関わる場所が具体的に見えてきます。製品の状態を記録して長く使える設計を支えるのは維持の領域、修理や部品交換の情報を管理するのは回復の領域、再生材に新しい機能を加えるための情報連携は付加の領域にあたります。

    リサイクルだけを指す言葉として理解するよりも、価値を保ち続けるための情報の設計と捉えるほうが、エンジニアが担う役割ははっきりしてきます。

    システム開発が担う部分はどこにあるか

    循環的に利用するという考え方を実現するには、製品や部材の状態を記録し、事業者をまたいで参照できるようにする仕組みが土台になります。紙の記録や個社ごとの管理台帳では、維持・回復・付加のどの働きかけも次の工程に引き継がれません。

    この土台を用意する作業は、業務システムやデータ連携を組んできた経験と重なります。環境分野の専門用語は、案件を進めながら補っていける範囲です。

    維持の領域では、製品がいつ・どこで・どう使われてきたかを記録し、修理や部品交換の判断に使える形で残す作業が中心になります。回復の領域では、交換した部品や修理履歴を、次に同じ製品を扱う担当者が参照できるように整えることが求められます。

    付加の領域は、回収した再生材に新しい価値を足すための情報連携です。どの再生材が、どんな用途に転用できるかを、成分データと突き合わせて判断できるようにする仕組みづくりが含まれます。3つの領域は独立しているのではなく、同じデータを異なる角度から使い回す設計になっている点が特徴です。

    言い換えると、循環経済のシステム開発は、新しい種類のデータベースをゼロから作る仕事というより、製品や部材のライフサイクルという1本の軸に沿って、複数の部門・複数の事業者が同じ記録を参照できるように設計し直す仕事に近いものです。既存の在庫管理システムや保守管理システムに関わってきた経験があれば、その延長線上として理解しやすい領域といえます。

    図2:循環経済(維持・回復・付加)の考え方
    循環的に 利用する 維持 長く使える設計を支える 回復 修理・部品交換の情報を管理 付加 再生材に新しい機能を加える

    図の作成:Remogu編集部。環境省 令和7年版環境・循環型社会・生物多様性白書における循環経済の定義をもとに整理したもので、独自の統計データではありません

    3. 動静脈連携:作る側と回す側をつなぐ

    動脈産業と静脈産業は、これまで別の世界で動いてきた

    製造業や小売業といった動脈産業と、廃棄物処理やリサイクルを担う静脈産業は、これまでそれぞれ別の業界慣習の中で動いてきました。動脈産業が何を作り、静脈産業が何を回収したかという情報は、企業の外に出にくいものでした。

    この隔たりを埋める必要性が高まっています。製造・小売等の動脈産業と、廃棄物処理・リサイクル等の静脈産業との連携、いわゆる動静脈連携の重要性が増しています4

    動脈産業だけで完結させるよりも、静脈産業と情報を共有しながら設計するほうが、再生材として戻ってくる素材の質を高めやすくなります。

    両者の役割を情報の面から整理する

    動静脈連携を仕組みとして設計するには、まず動脈産業と静脈産業がそれぞれどんな情報を持ち、どこで手放しているのかを整理するところから始めます。動脈産業は製品を出荷した時点で、その先の使われ方や廃棄のタイミングを見失いがちです。一方の静脈産業は、回収した資源がもともとどんな製品だったのか、どんな成分でできているのかという情報を十分に持たないまま処理に入ることがあります。この情報の欠落を埋めるのが、システムに求められる役割です。次の表は、双方の担い手と、システムに関わる役割を整理したものです。

    区分主な担い手システムに関わる役割
    動脈産業メーカー・小売事業者製品設計情報・部材構成の記録、再生材利用の計画
    静脈産業廃棄物処理・リサイクル事業者回収した資源の選別・品質記録、動脈側への供給情報の連携
    連携基盤双方をつなぐ情報の窓口品質・量・供給時期のデータを両者が参照できる形で管理

    役割を分けて整理すると、動脈産業側のシステムと静脈産業側のシステムを別々に作るだけでは不足しており、両者をつなぐ連携基盤そのものが1つの案件になることが分かります。

    実務では、業界ごとに異なるデータ形式や品目コードをどう揃えるかという課題にぶつかります。動脈産業側は製品や部材の管理番号で情報を扱い、静脈産業側は回収物の分類コードで情報を扱っていることが多く、双方をそのままつなごうとすると読み替えの作業が積み重なります。ここに、データ変換やマスタ管理の設計経験が活きます。

    個別の企業システムを整えるよりも、業界横断で使える連携の型を先に決めておくほうが、後から参加する事業者にとっての負担は小さくなります。すでに複数の企業をまたぐEDIやマスタ連携の設計に携わった経験があれば、業界特有のコード体系を読み解く部分にだけ時間をかければよく、ゼロから連携の考え方を学び直す必要はありません。

    図3:動脈産業と静脈産業をつなぐ動静脈連携
    動脈産業 製造・小売 製品設計・部材構成の情報 静脈産業 廃棄物処理・リサイクル 回収・品質・数量の情報 動静脈連携(情報基盤)

    図の作成:Remogu編集部。環境省 令和7年版環境・循環型社会・生物多様性白書における動静脈連携の考え方をもとに整理したもので、独自の統計データではありません

    4. データで資源循環を回す:再生材の品質・量・トレーサビリティ

    求められる品質と量を、事業者間で揃える

    再生材は、集めれば使えるという単純な話ではありません。動静脈連携では、求められる品質や量の再生材を安定して供給できる体制を整えることが重要です5。品質にばらつきがあれば、動脈産業側は再生材を使う設計に踏み切れません。

    品質・量・供給時期という3つの情報を、事業者をまたいで記録し参照できるようにする仕組みが必要になります。ロットごとの成分や来歴を追跡できるデータベース、事業者間でやり取りする際のデータ形式の統一、異常値が出たときに追跡できる仕組みなど、システム側で担う部分は多岐にわたります。

    紙の記録や個社ごとの管理台帳に頼るよりも、事業者間で共有できるデータ基盤を用意するほうが、品質保証にかかる手間を減らせます。

    具体的には、成分やグレードといった検査結果を一元的に記録するマスタ、ロットごとに数量と供給時期を突き合わせる仕組み、異常な数値が発生したときに関係する事業者へ知らせる仕組みが求められます。これらは、既存の業務システムで培われてきた在庫管理や品質管理の設計と、考え方の土台の部分で重なります。

    制度に基づく取り組みが、データ管理を後押しする

    資源循環の促進に向けて、再資源化事業等の高度化に関する法律に基づく取組が進められています6。制度が後ろ盾になっている分野は、事業者間の情報連携や再生材データの管理といったシステム投資が続きやすい傾向にあります。

    資源循環を支える情報連携は、闇雲にデータを集めれば成立するものではありません。何を、どの粒度で、誰と共有するのかを観点ごとに切り分けて設計することで、後から機能を足しやすい仕組みになります。品質だけを見て量を見落とす、量だけを見て来歴を見落とすといった抜けは、あとから発覚すると手戻りが大きくなりやすい部分です。次の表は、資源循環を支える情報連携を、観点ごとに整理したものです。品質・量・来歴という3つの軸で捉えると、システムに求められる要件が具体的になります。

    観点管理する情報システムに求められること
    品質再生材の成分・グレード検査結果や仕様書をひも付けて記録する仕組み
    供給できる数量と時期需給を突き合わせるためのデータ連携
    来歴(トレーサビリティ)回収元から供給先までの経路ロット単位で追跡できる識別と記録

    品質を担保する仕組みよりも、来歴まで追跡できる仕組みのほうが後回しにされがちです。ですが、供給元をたどれない再生材は、事業者間の信頼を積み上げにくく、結果として品質管理そのものの土台を弱くします。

    制度に基づく取組は、事業者の自主的な工夫だけに任せるのではなく、業界として共通の仕組みを整える方向に働きます。共通のデータ形式や識別ルールが定まれば、個々の事業者が独自に変換の仕組みを作り込む負担は軽くなり、システム開発の焦点は連携そのものの品質を高めることに移っていきます。制度の後ろ盾があるということは、単発の受託開発で終わらず、運用や改善が続く案件になりやすいという意味でもあります。

    図4:事業者をまたいだ再生材データの連携
    データ連携基盤 品質・量・来歴 メーカー 再生材の利用計画 再資源化事業者 品質検査・数量の記録 需要家 供給時期と量の照合

    図の作成:Remogu編集部。動静脈連携における品質・量の管理の重要性をもとに整理したもので、独自の統計データではありません

    5. リモート・フリーランス案件でどう関わるか

    環境の専門知識より先に問われるのは、データ連携の設計力

    循環経済の案件と聞くと、環境や法令の専門知識が要ると身構える技術者はいます。ですが、実際に求められているのは、事業者間でデータをやり取りする基盤を設計し、品質や量の情報を整合させる力です。業務システムやデータ連携で積み上げてきた経験があれば、環境分野の知識は案件を進めながら補っていける範囲です。

    環境の専門知識を先に固めるよりも、これまでのデータ設計の経験を棚卸しして案件に持ち込むほうが、参画までの距離は近くなります。

    棚卸しの視点は難しく考える必要はありません。事業者間でデータをやり取りする基盤に関わった経験、マスタ管理や識別コードの設計に携わった経験、品質や異常値を監視する仕組みを作った経験があれば、それをそのまま循環経済の案件に置き換えて語ることができます。畑違いに見える経歴でも、データ連携という軸で振り返ると重なる部分が見つかりやすくなります。

    見極めのポイントと、関わり方の段階

    循環経済の案件は、参画のタイミングによって求められる作業が変わります。最初から連携基盤の全体設計を任されることもあれば、すでに動いている仕組みの一部を引き継ぎ、品質データの可視化や異常検知の改善から関わり始めることもあります。どちらの入り方であっても、事業者をまたいだデータの流れを俯瞰して理解する視点は共通して求められます。次の表は、段階ごとの主な作業と、活かせる経験を整理したものです。

    段階主な作業活かせる経験
    参画初期既存システムの構成・データ項目の把握業務システムの要件整理、API設計の経験
    設計・実装事業者間のデータ連携基盤の構築データ連携基盤・マスタ管理、外部連携の実装経験
    運用・改善品質データの可視化、異常検知の仕組み改善監視・ダッシュボード構築、データ品質管理の経験

    案件ごとに求められる経験の重なり方は異なります。まずは自分の経験がどの段階に近いかを確かめるところから始めるのが、遠回りに見えて近道です。運用・改善の段階から関わり始めた場合でも、データの流れを追ううちに設計の全体像が見えてくることは珍しくなく、途中から上流の設計に踏み込んでいく道も開かれています。

    6. まとめ

    循環経済の案件が増えている背景には、資源を確保する経済安全保障上の要請と、国の基本計画という後ろ盾があります。動脈産業と静脈産業をつなぐ動静脈連携では、品質・量・来歴のデータを事業者をまたいで管理する仕組みが要になります。

    環境政策の専門知識よりも先に、システムとデータの設計力が問われる領域です。これまで業務システムやデータ連携に携わってきた経験は、この分野で新しい活躍の場になります。特別な資格や環境分野の学び直しを済ませてから動くよりも、今の経験を棚卸しして案件に持ち込むほうが、動き出しは早くなります。

    自分の経験がどの段階の案件に近いかを確かめる一歩として、まずはRemoguに登録し、経験に合う条件を確認してみてはいかがでしょうか。

    7. よくある質問

    環境の専門知識は必要ですか

    深い専門知識が最初から必要になるわけではありません。求められるのは、事業者間でデータを連携させる設計力です。制度や用語は、案件を進めながら補っていける範囲です。分からない言葉が出てきたときに調べながら進める姿勢のほうが、最初から知識を完備していることよりも重視されます。

    動静脈連携で何を作るのですか

    動脈産業と静脈産業がそれぞれ持つ情報を、共有できる形にする仕組みづくりです。製品の設計情報や部材構成、回収後の品質・数量データを、事業者をまたいで参照できるようにする基盤が中心になります。企業ごとに異なるデータ形式やコード体系をどう揃えるかという調整作業も、大きな比重を占めます。

    再生材のデータは何を管理するのですか

    品質(成分やグレード)、量(供給できる数量と時期)、来歴(回収元から供給先までの経路)の3つが軸になります。ロット単位で追跡できる識別の仕組みも欠かせません。3つのうちどれか1つが欠けても、動脈産業側は再生材を安心して使う設計に踏み切りにくくなります。

    どんな技術が使われますか

    事業者間のデータ連携基盤やAPI、マスタ管理、データ品質の監視といった、業務システム開発で使われてきた技術が土台になります。特定の環境技術に限定される分野ではなく、これまで基幹システムやEC、物流領域で連携基盤を組んできた経験がそのまま活きる場面が多くあります。案件によっては、既存システムとの接続部分の設計や、データの正しさを検証する仕組みづくりに重点が置かれることもあります。

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    Remoguが扱う案件は、90%以上がフルリモート可能です7。データ連携基盤の設計や実装は、常駐を前提にしない進め方と相性の良い領域です。打ち合わせの頻度や資料の共有方法は案件によって異なるため、その点はクライアントと協議しながら決めていく形になります。まずは登録して、自分の経験に近い条件を確認してみることができます。

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    ※公開中の案件数は時期によって変わります。記事中の案件の傾向は執筆時点のものです。

    出典・参考情報

    *1 環境省「令和7年版環境・循環型社会・生物多様性白書」(2025年)
    *2 環境省「令和7年版環境・循環型社会・生物多様性白書」(2025年)
    *3 環境省「令和7年版環境・循環型社会・生物多様性白書」(2025年)
    *4 環境省「令和7年版環境・循環型社会・生物多様性白書」(2025年)
    *5 環境省「令和7年版環境・循環型社会・生物多様性白書」(2025年)
    *6 環境省「令和7年版環境・循環型社会・生物多様性白書」(2025年)
    *7 Remogu(株式会社LASSIC運営)公開情報:扱う案件の90%以上がフルリモート可能