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    アジャイル開発の案件で押さえるスクラムと契約・体制

    「短い反復で作り確かめる」を示す図です。計画/開発/レビュー/改善を並べています。強調しているのは開発です。

    📘 この記事でわかること

    • 公共調達でもアジャイル開発の導入が進んでいる背景と、フルリモート案件で実際に増えている理由
    • スクラムの反復がどう回るかという流れと、契約形態によって見積りや報酬の決まり方が変わる点
    • プロダクトオーナーや推進チームとの関わり方と、自分がアジャイル案件に向いているかを見極める視点

    フルリモートで参画したプロジェクトが、要件を一度に固めるより短い区切りで作って確かめる進め方でした。想定と違う進め方に戸惑いを覚えたエンジニアもいます。スクラムやアジャイル開発は、この数年で公共の調達現場にも広がりつつある進め方です。働き方は案件によって形が変わるため、契約や体制の違いを知らないまま参画すると、思っていた役割と実際の役割がずれることもあります。この記事では、アジャイル開発の案件が増えている背景から、契約の形、体制、向き不向きの見極め方までを整理します。

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    1. なぜいまアジャイル開発の案件が増えているのか

    公共の調達方針も導入の検討を進めている

    クライアントの現場で、要件を一度に固めてから作るのではなく、短い区切りで作って確かめる進め方を選ぶ企業が増えています。背景にあるのが、行政の調達方針の変化です。デジタル庁は、情報システムの調達において、アジャイル開発の導入を進めるための検討を有識者検討会で重ねています1。行政の調達がこの進め方に舵を切ることは、民間の取引先にも波及します。

    フルリモートで案件を探すエンジニアにとって、この動きは他人事ではありません。行政の調達方針が変われば、そこに関わる開発会社の体制も変わり、業務委託で参画するエンジニアに求められる進め方も変わっていきます。ウォーターフォール前提の経験だけでなく、短い反復に慣れているかどうかが、案件を選ぶときの新しい判断材料になりつつあります。ウォーターフォール一本足の経験よりも、要件が変わることを前提にした進め方の経験のほうが、これからの案件では見え方が変わっていきます。

    図1:公共でも進むアジャイル開発の導入推進
    図1:公共でも進むアジャイル開発の導入推進 従来の調達 要件を一括で固定 して進める 検討会での 論点整理 契約・体制・見極め アジャイル開発の 導入推進 公共調達での方針

    出典:デジタル庁「アジャイル開発に関する有識者検討会」資料(2025年10月)をもとに作成

    ウォーターフォールとの違いを整理する

    アジャイル開発とウォーターフォール開発は、決める順番と直す機会の位置が違います。ウォーターフォールは要件・設計・実装・試験の順に進み、後戻りをしにくい前提で計画します。アジャイル開発は短い期間の反復を繰り返し、各回の終わりに動く形を確かめてから次に進みます。どちらが優れているという話ではなく、要件がどれだけ変わりやすいか、後戻りの機会をどこに置きたいかで選び方が変わります。表にして違いを整理します。

    観点ウォーターフォール開発アジャイル開発リモート案件での関わり方
    要件の固め方開始前に一括で確定する反復ごとに見直す余地を残す要件変更の連絡がスプリント単位で届く
    進め方の単位工程ごとの一括進行短い期間の反復(スプリント)短い周期で成果物を提出する
    確認のタイミング工程完了時にまとめて確認反復の終わりに都度確認レビューへの参加機会が増える
    変更への対応計画変更の調整に時間がかかりやすい次の反復で調整しやすいクライアントとの協議の頻度が高まる

    一度に全部を決めてから作るより、小さく作って確かめるほうが、変化の速い要件には対応しやすくなります1。この流れは調達方針にとどまらず、フルリモートで参画するエンジニアの案件にも広がっています。次の章では、実際の進め方であるスクラムの流れを見ていきます。

    2. スクラムの進め方:短い反復で作り確かめる

    計画・開発・レビュー・改善を短い周期で回す

    スクラムは、数週間程度の短い期間を1つの区切り(スプリント)として、計画・開発・レビュー・改善を繰り返す進め方です。区切りの最初に、その期間で作る範囲を決め、期間の終わりには動く形にして関係者に見せます。見せたあとは、進め方自体を振り返り、次の区切りに反映します。一度に多くを作り込むより、小さく作って早く確かめるほうが、遠隔からでも軌道修正がしやすくなります。

    この進め方には、優先順位を決める役割と、進め方そのものを整える役割、実際に手を動かす役割が分かれています。誰が何を決める立場にあるかが曖昧なまま反復を重ねると、確認のやり取りばかりが増え、作る時間が削られてしまいます。役割分担がはっきりしている現場ほど、反復のリズムが安定します。

    図2:スクラムの短い反復(計画・開発・レビュー・改善)
    図2:スクラムの短い反復 次のスプリントへ 計画 作る範囲を決める 開発 範囲を形にする レビュー 動く形を見せる 改善 進め方を振り返る

    図の作成:Remogu編集部。一般的なスクラムの進め方を整理したもので、統計データではありません

    フルリモートでの関わり方

    フルリモートで参画する場合も、この反復のリズムに合わせて動くことが求められます。区切りの最初のミーティングで担当範囲を確認し、期間の途中はクライアントとオンラインで進捗を協議し、期間の終わりのレビューで成果物を見せる。対面がなくても、この周期に沿って動ければ、進め方自体は変わりません。むしろ、確認のやり取りを文字と画面共有で残せる分、あとから経緯を追いやすくなる面もあります。

    契約や見積りの形は、この反復の単位と深く結びついています。次の章で見ていきます。

    3. 契約と見積り:準委任・T&M、ハイブリッドのリスク

    タイムアンドマテリアル契約という選び方

    要件が反復ごとに変わるアジャイル開発は、開始前に総額を固定する契約と相性が悪い場面があります。デジタル庁の検討でも、諸外国で主流となっているタイムアンドマテリアル契約を導入するうえでの留意点が論点になっています3。稼働した時間と使った工数に応じて報酬を決める契約は、反復ごとに範囲が変わる進め方と噛み合いやすい一方、見積りの前提や報酬の上限をどう協議するかが課題になります。

    ハイブリッド開発のリスクを知っておく

    現場によっては、計画の部分はウォーターフォールで固め、実装以降をアジャイルで進めるハイブリッドの形も見られます。デジタル庁の検討会では、アジャイルとウォーターフォールを組み合わせた開発実践のリスクとその対策も論点として挙げられています2。組み合わせ方によっては、どちらの進め方の前提が優先されるのか曖昧になりやすく、契約時にその点を確かめておくことが望まれます。総額を固定する契約のまま実装だけを反復にすると、範囲の変更が起きるたびに追加の協議が必要になり、進め方と契約の前提がずれていきます。

    契約形態によって、報酬の決まり方と、変更が起きたときの協議のしやすさが変わります。参画する前に、どの契約形態か、見積りの前提は何かを確認しておくと、進行中の認識のずれを防ぎやすくなります。以下に主な契約形態と留意点を整理します。

    契約形態報酬の決まり方留意点
    準委任契約稼働期間に応じた月額報酬業務の範囲と稼働時間の目安を事前に協議する
    タイムアンドマテリアル契約実際の工数と稼働時間に応じた報酬見積りの前提や上限をクライアントと協議する3
    ハイブリッド型の契約工程ごとに契約形態が変わる場合があるどちらの前提が優先されるかを事前に確認する2
    図3:契約と見積り(T&M・ハイブリッドのリスク)
    図3:契約と見積り 契約形態の比較 準委任・T&M契約 稼働時間と工数に応じて 報酬を決める契約です 反復ごとの範囲変更と 噛み合いやすい形です ハイブリッド型の契約 計画は固定・実装は反復で 進める組み合わせです 前提の優先順位が 曖昧になりやすい点に注意

    出典:デジタル庁「アジャイル開発に関する有識者検討会」資料(2025年10月)をもとに作成

    見積りは一度決めて終わりにするのではなく、反復のたびに実際の作業量と照らし合わせ、必要に応じて見直す前提で進めると、当初の想定とのずれを早い段階で解消しやすくなります。契約の形が決まっても、それを支える体制がなければ反復は回りません。次の章では、体制の面を見ていきます。

    4. 体制で支える:プロダクトオーナーと推進チーム

    各スクラムチームを支えるアジャイル推進チーム

    反復を重ねるスクラムチームが増えるほど、進め方のばらつきや、チームをまたぐ調整の抜け漏れが起きやすくなります。デジタル庁の検討会では、各スクラムチームを支援するアジャイル推進チームを組成する必要性が論点として示されています4。推進チームが進め方の基準を揃え、チーム間の調整を担うことで、反復の質を保ちやすくなります。

    図4:アジャイルを支える体制(プロダクトオーナー・推進チーム)
    図4:アジャイルを支える体制 プロダクトオーナー 優先順位を決定 アジャイル推進チーム 進め方の基準をそろえる チームA 反復して開発を進める チームB 反復して開発を進める チームC 反復して開発を進める

    出典:デジタル庁「アジャイル開発に関する有識者検討会」資料(2025年10月)をもとに作成

    現場での役割分担

    フルリモートで参画するエンジニアから見ると、プロダクトオーナーが優先順位を決め、推進チームが進め方の基準を整える、という役割分担が見えてきます。この体制が整っている現場のほうが、遠隔からでも次に何を作ればよいかが分かりやすくなります。逆に、体制が薄い現場では、優先順位の確認そのものに時間を割かれることになります。参画を検討するときは、この役割分担が誰の目にも見える形になっているかを確かめておくと安心です。体制が整っているかどうかは、案件の技術内容そのものよりも、参画したあとの働きやすさを左右する要素です。

    体制が整っているかどうかは、参画する前に見極めたいポイントの一つです。次の章で、その見極め方を具体的に見ていきます。

    5. 案件での関わり方と向くかの見極め

    意思決定権と利用者参加を確かめる

    アジャイル開発の案件に参画する前に確かめておきたいのが、意思決定の権限がどこにあるかです。デジタル庁の検討会では、見極め項目として、開発の優先順位についての意思決定権をプロダクトオーナーに委譲できる見込みがあるかが挙げられています5。あわせて、スプリントレビューにプロダクトの利用者を招待できる見込みがあるかも見極め項目に挙げられています6。優先順位を決める人が明確で、レビューに実際の利用者が関わる現場ほど、反復の効果を実感しやすくなります。

    反対に、この2点がはっきりしない現場では、反復を重ねても「誰の承認を待てばよいのか」が分からないまま時間だけが過ぎることがあります。抽象的な進め方の説明よりも、こうした具体的な確認項目のほうが、参画の判断材料になります。面談の場でこの2点を質問すること自体が、現場の体制を見極める手がかりにもなります。

    どの案件でも同じ深さでアジャイル開発が機能するとは限りません。反復を重ねる意味があるかどうかは、参画前に確認できる項目からある程度見えてきます。次の観点を確認材料にしてください。

    確認項目見極めのポイント向いている場合の特徴
    意思決定権の所在プロダクトオーナーに優先順位の決定権が委譲されているか5都度の承認を待たずに次の作業を進めやすい
    利用者との距離スプリントレビューに実際の利用者が参加できるか6作った成果物への反応を早い段階で得られる
    体制の有無推進チームのような横断的な支援があるか進め方の基準に迷ったときに相談先がある
    契約形態準委任やタイムアンドマテリアル契約に対応しているか反復ごとの範囲変更を報酬に反映しやすい

    フルリモートで参画する選択肢

    こうした見極め項目は、現場に入ってからでは確かめにくいものばかりです。参画前の面談で意思決定権や利用者参加の有無を協議できるかどうかが、実際に働き始めてからの手応えを左右します。Remogu(株式会社LASSIC運営)が扱う案件は、90%以上がフルリモートで参画可能です7。場所に縛られず、こうした見極めができる案件を確認できます。

    6. まとめ

    アジャイル開発の案件が増えている背景には、公共調達の方針転換という後ろ盾があります1。契約の形は反復の単位に合わせて選ばれます3。体制が整っている現場ほど、遠隔からでも進めやすくなります4

    参画前に確かめたいのは、意思決定権が誰にあるかです5。もう一つは、レビューに利用者が関わるかどうかです6。この2点が見えている案件なら、フルリモートでも反復の手応えを得やすくなります。

    読み終えて「なるほど」で止めず、まず一歩を踏み出すなら、自分がこれまで積み上げてきた経験の中で、どの部分が反復に強みとして活きるかを整理してみてください。まずはRemoguで、自分の経験に合うアジャイル開発の案件を確認し、登録して条件を協議するところから始めてみましょう。

    7. よくある質問

    アジャイル開発とウォーターフォール開発の違いは何ですか

    決める順番と直す機会の位置が違います。ウォーターフォールは要件・設計・実装・試験を順番に固めて進めます。アジャイル開発は短い反復を繰り返し、反復ごとに動く形を確かめながら進めます。要件が変わりやすい案件では、アジャイル開発のほうが後戻りの機会を取り込みやすくなります。

    契約はどのような形になりますか

    準委任契約やタイムアンドマテリアル契約が中心です3。タイムアンドマテリアル契約は、稼働した時間と工数に応じて報酬が決まる契約で、反復ごとに範囲が変わる進め方と噛み合いやすい契約形態です。参画前に、見積りの前提と報酬の上限をクライアントと協議しておくと安心です。工程を分けてウォーターフォールと組み合わせる場合は、どちらの前提が優先されるかも確認しておきましょう2

    アジャイル開発が未経験でも参画できますか

    スクラムの進め方自体は、反復を重ねる中で覚えていける部分が多くあります。参画前に確認したいのは、これまでの経験の長さよりも、意思決定権の所在や体制が整っているかどうかです5。見極め項目が整っている現場であれば、反復を重ねながら役割に慣れていく余地があります。

    アジャイル開発に向くプロジェクトの特徴はありますか

    意思決定権がプロダクトオーナーに委譲されている案件は、反復の効果を実感しやすくなります5。スプリントレビューに利用者が参加できる案件も同様です6。逆に、決定権の所在が曖昧な現場では、反復を重ねても手応えを得にくくなります。

    案件はフルリモートでも進められますか

    契約形態や体制を確認しながら、自分に合うアジャイル開発の案件を探せます。まずは登録して、気になる案件の条件を確認してみてください。

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    ※公開中の案件数は時期によって変わります。記事中の案件の傾向は執筆時点のものです。

    出典・参考情報

    *1 デジタル庁「アジャイル開発に関する有識者検討会」(2025年10月)
    *2 デジタル庁「アジャイル開発に関する有識者検討会」(2025年10月)
    *3 デジタル庁「アジャイル開発に関する有識者検討会」(2025年10月)
    *4 デジタル庁「アジャイル開発に関する有識者検討会」(2025年10月)
    *5 デジタル庁「アジャイル開発に関する有識者検討会」(2025年10月)
    *6 デジタル庁「アジャイル開発に関する有識者検討会」(2025年10月)
    *7 Remogu(株式会社LASSIC運営)公開情報:扱う案件の90%以上がフルリモート可能