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    FinOpsの案件で、コストを下げた成果に値段をつける3つの材料

    「値がつくのは維持の側」を示す図です。削減額/再現性/維持/説明を並べています。強調しているのは維持です。

    📘 この記事でわかること

    • コストを下げる仕事になぜ需要があるのかという背景と、費用の中身がソフトウェアに大きく寄っている理由
    • 削減額だけでは値段がつかない理由と、成果の説明そのものが仕事の一部に含まれるようになる背景
    • 一度下げた状態を保つ仕組みに価値がつくことと、リモートで費用の仕事を担うための前提条件

    クラウドの月額請求を大きく下げた実績があっても、その成果がそのまま次の契約の話につながるとは限りません。下げた金額は説明できても、それが報酬にどう跳ね返るのかが見えてこない。一度下げてしまえば、次に求められる仕事もなくなるのではないか。そんな戸惑いを抱えながら案件を探しているエンジニアもいます。

    FinOpsに関わる案件では、下げた金額そのものよりも、その金額をどう説明し、どう続けていくかが評価の分かれ目になります。ここでは、成果に値段をつけるための3つの材料と、その材料をリモートの案件でどう活かすかを整理します。

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    1. コストを下げる仕事の需要は、投資の大きさの裏返しです

    情報化投資の規模が、下げる対象の大きさを物語ります

    クラウド費用の削減案件が本当にあるのか、案件を探しはじめる前に不安になる場面があります。

    総務省の調査によると、2024年の民間企業による情報化投資は2020年価格で25.7兆円にのぼり、前年より1.9%増加しました1。さらに、民間企業設備投資に占める情報化投資の比率は24.7%で、前年差0.5ポイント増加しています3。設備投資の4分の1近くがICTに向かっているということです。

    案件の件数を数えるよりも、投資がどれだけ大きな塊として動いているかを知るほうが、仕事の位置づけをつかむ近道になります。投資が大きいほど、その一部を見直す仕事にも値段がつきやすくなるからです。

    図1:投資の規模がコストを下げる仕事の土台になっています
    情報化投資 25.7兆円 前年比+1.9% 設備投資に占める比率 24.7% 前年差+0.5pt

    出典:総務省「令和7年度 ICTの経済分析に関する調査」(2026年7月24日)をもとに作成

    投資の大きさを、実績を語る背景に使います

    投資の規模を知ると、コストを下げる仕事を「経費を減らす作業」ではなく「大きな投資の使われ方を整える仕事」として説明しやすくなります。同じ実績でも、背景に置く数字が変わるだけで、相手に伝わる重みが変わってきます。

    案件を探す段階では、削減した金額の大小よりも、どれだけ大きな投資の中の、どの部分に手を入れたのかを一緒に伝えるほうが、実績の意味が伝わります。設備投資の4分の1近くがICTに向かっている状況では、費用を整える仕事の重要度も自然と高まっていきます3

    件数の多さを強調するよりも、投資全体のどの位置に自分の実績が当てはまるのかを説明できると、初めて話すクライアントにも仕事の意味が伝わりやすくなります。

    投資の比率が前年から上昇し続けている状況は、単発の需要ではなく、継続して費用と向き合う仕事が積み重なっていることを示しています3。目の前の案件だけでなく、今後も同じ種類の仕事が続く前提で、実績の記録を残しておく価値があります。

    投資の規模を根拠に話を始めると、初めての相手にも「なぜ今この仕事が必要なのか」という前置きを省いて、実績の中身そのものに時間を使えるようになります。

    下げる対象が大きいとして、その中身は何に寄っているのでしょうか。

    2. 費用の中身は、ソフトウェアに寄っています

    止めれば消える費用と、作った資産に払う費用は別物です

    投資の規模が分かっても、削減できる範囲がどこまでなのか、つかみにくいという声もあります。

    同じ総務省の調査では、情報化投資の種類別でソフトウェア(受託開発及びパッケージソフト)が20.2兆円と、全体の約78%を占めています2。契約を止めればすぐに消える費用と、作り込んで使い続けている資産に払う費用が、同じ「クラウドコスト」という言葉の中に混ざっているということです。

    この2つを分けて見るところから、削減の提案は具体的になります。止めるだけで済む費用なのか、作り替えが要る資産なのかを分けて示すと、提案の中身が変わってきます。

    費用の分類で、コストを下げる仕事の進め方は変わります

    情報化投資の中身をソフトウェアとそれ以外に分けると、コストを下げる仕事の進め方も変わります。ソフトウェアに紐づく費用は、使い方や設計を見直すことで下げられますが、資産そのものを壊さない配慮が要ります。一方でハードウェアや通信などの費用は、契約や更新のタイミングで見直しやすく、意思決定も早く進みます。どちらに強みがあるかを整理しておくと、案件で求められる役割を説明しやすくなります。

    費用の分類特徴コストを下げる仕事での動き方
    ソフトウェア(受託開発・パッケージ)情報化投資の約78%を占める、使い続けている資産2設計や使い方を見直す。資産を壊さない配慮が要る
    ハードウェア・通信など契約や更新のタイミングで見直しやすい契約条件の比較や交渉が中心になる
    図2:費用の中身はソフトウェアに寄っています
    ソフトウェア 20.2兆円 情報化投資の約78% その他の 情報化投資

    出典:総務省「令和7年度 ICTの経済分析に関する調査」(2026年7月24日)をもとに作成

    費用の分類を意識して説明すると、削減の提案は「今すぐ止められるもの」と「時間をかけて設計を見直すもの」に分けて話せるようになります。時間軸をあわせて示すだけで、相手が抱く懸念も小さくなります。

    特にソフトウェアに紐づく費用は、使われ方を確認しないまま止めると、別の業務に影響が出ることもあります。止める前に確認する手順を持っていることも、説明資料に加えられる材料の一つです。

    ソフトウェアに寄った費用構造は、業種やチームが変わっても大きくは崩れません。だからこそ、一つの案件で身につけた「止めてよい費用の見分け方」は、次の案件でもそのまま使える強みになります。

    逆に言えば、ハードウェアや通信費の交渉だけを得意にしていても、費用全体に占める影響は限られます。ソフトウェアに手を入れられる立場のほうが、成果の規模も大きくなりやすいということです。

    中身が分かると、成果の出し方も変わります。

    3. 削減額だけでは、値段がつきません

    説明資料をつくる3つの材料

    月額の請求額を下げたという事実だけを見せても、次の契約の話が広がらないことがあります。

    削減額は成果を測る唯一の材料ではありません。むしろ、削減額・再現性・維持の仕組みという3つを揃えたときに、値段がつく説明資料になります。

    3つの材料は、それぞれ別の問いに答える道具です。削減額は「何をしたか」、再現性は「同じことをもう一度できるか」、維持の仕組みは「その状態が続くか」に答えます。

    3つの材料が答える問い

    3つの材料は、単体では説明しきれない部分を補い合う関係にあります。削減額だけでは「たまたま下がった」という印象を消せませんが、再現性を示せば別の環境でも同じ手順が使えることが伝わります。さらに維持の仕組みまで示せれば、下げた状態が仕組みとして続くことが分かり、一度きりの成果から仕事として続く土台に変わります。

    材料答える問い実績の言い換え方
    ①削減額何をしたか「◯月の請求をどれだけ下げたか」を時点付きで示す
    ②再現性同じことをもう一度できるか手順や設定変更の内容を記録として残す
    ③維持の仕組みその状態が続くか監視や定期的な見直しの流れとして仕組み化する
    図3:値段をつける3つの材料
    ①削減額 何をしたか ②再現性 もう一度できるか ③維持の仕組み 状態が続くか

    図の作成:Remogu編集部。削減額・再現性・維持の仕組みの関係を整理したもので、統計データではありません

    3つの材料は、そろえる順番にも意味があります。まず削減額で関心を引き、再現性で信頼を積み、維持の仕組みで次の契約につなげる。この順番で資料を組み立てると、説明の流れが自然になります。

    3つとも揃っていなくても構いません。不足している材料が分かれば、次の案件でどこを記録に残すべきかが見えてきます。資料は一度で完成させるものではなく、案件を重ねながら育てていくものです。

    3つの材料は、別々の資料に分けるよりも、1枚の説明資料にまとめておくほうが伝わりやすくなります。削減額を上段に、再現性と維持の仕組みをその下に並べる構成にすると、読み手は短い時間で全体を把握できます。

    面談で聞かれるのは、たいてい「その削減はどうやって続けるのか」という一点です。3つの材料をあらかじめ揃えておけば、その場で慌てて説明を組み立てる必要がなくなります。

    3つの材料は、参画中の案件だけでなく、次の案件を探すときの自己紹介にもそのまま使えます。削減額・再現性・維持の仕組みという型に沿って実績を並べておけば、初めて話す相手にも短時間で伝わります。

    材料が揃っても、聞く相手の前提を知らないと伝わりません。

    4. 「効果が実感されていない」という前提から話を始めます

    説明が仕事の一部になっている背景

    資料を用意しても、相手にうまく響かないと感じることがあります。

    総務省の白書が収録する各国比較の調査研究では、デジタル化の効果について、日本は複数の観点で「期待以上」という回答がもっとも少なく、「期待する効果を得られていない」という回答が4か国の中でもっとも多いという結果が出ています5

    この前提を知らずに説明するのと、知った上で説明するのとでは、伝わり方が変わります。効果を証明する話よりも、効果が実感されにくい理由を先に共有する話のほうが、相手の警戒をゆるめます。

    説明の前に、相手が何を期待しているかを確認します

    同じ調査では、期待する効果を新規ビジネス創出、顧客体験の創造や向上、既存製品やサービスの高付加価値化、業務プロセスの改善や改革、業務の省力化、新しい働き方の実現という6つの観点で尋ねています5。どの観点を重視しているかを参画前に確認しておくと、説明する内容の的が絞れます。

    期待する効果の観点を先に確認しておくと、説明の中で強調する材料も変わります。業務プロセスの改善を重視する相手には再現性を、業務の省力化を重視する相手には維持の仕組みを、というように重心を移していけます。

    効果が実感されにくいという前提は、コストを下げる仕事を軽く見せるものではありません。むしろ、数字の裏側を丁寧に説明できる立場を、案件の中でつくる材料になります。

    効果が実感されにくいという前提を共有したうえで、これまでの実績を数字とともに示すと、説明そのものが信頼を積む機会になります。結果だけを見せるより、経緯を含めて話すほうが、次の相談にもつながりやすくなります。

    説明できるようになると、次に問われるのは続くかどうかです。

    5. 一度下げて終わりではなく、下がった状態を保つ仕組みに値がつきます

    費用は放っておくと、再び上がります

    下げた翌月にまた費用が戻っていて、驚いた経験を持つ担当者もいます。

    一度の削減はゴールではありません。むしろ、使われなくなった設定が残っていたり、新しい機能が追加されたりするたびに、費用は静かに再び上がっていきます。

    だからこそ、下がった状態を保つ仕組みそのものに値段がつきます。監視の仕組みや定期的な見直しの流れをつくる仕事は、一度きりの削減よりも長く続きます。

    設定変更のたびに費用を見直す流れを組み込んでおくと、下がった状態を保つ作業そのものが、日々の運用に溶け込みます。特別な作業として身構える必要がなくなります。

    削減した内容をそのつど記録に残しておくことも、維持の仕組みの一部です。記録が積み重なるほど、次の契約で示せる再現性にも厚みが増していきます。

    維持の仕組みは、複雑な仕組みである必要はありません。決まった頻度で費用を確認し、変化があれば記録に残す、という単純な流れでも、続けることに意味があります。

    続く仕事なら、進め方もリモート前提で整えられます。

    6. リモートで費用の仕事を引き受けるための前提

    市場は伸びている領域です

    費用を扱う仕事は社内に閉じているのではないかと、リモートでの参画をためらう場面があります。

    総務省の同調査では、2024年の情報通信産業の名目GDPは71.7兆円となり、前年の67.5兆円から6.1%増加しました4。市場そのものが伸びている中で、費用を扱う仕事の需要も広がっています。

    数字とダッシュボードを軸に進む仕事は、オフィスにいる必要が薄い領域でもあります。Remoguで扱う案件も、90%以上がフルリモート可能です6

    参画前に整えておきたい前提

    リモートで費用の仕事を進めるときは、権限の範囲や報告の頻度を事前にすり合わせておくと進めやすくなります。請求データやダッシュボードへのアクセス権、変更を加えられる範囲、定例で共有する頻度などは案件によって異なるため、契約の初期段階で確認しておくことが土台になります。

    確認する観点内容
    権限の範囲変更を提案できる範囲か、実行まで任されるかを確認する
    報告の頻度定例の頻度と、共有するデータの形式をすり合わせる
    契約の期間削減の実行だけか、維持の仕組みづくりまで含むかを確認する

    特にダッシュボードや請求データの共有方法は、契約の初期段階で具体的に決めておくと、稼働が始まってからのやり取りがスムーズになります。ツールの操作方法よりも、誰が何を確認できるかという合意のほうが重要です。

    時差が少ない国内の案件であれば、定例のタイミングを合わせやすく、費用の変化について都度相談しながら進められます。地理的な制約が少ないことも、この種の仕事がリモートに向いている理由の一つです。

    稼働の開始時点で確認事項を一通りすり合わせておけば、以降は数字とドキュメントを軸にしたやり取りが中心になり、双方の負担も小さくなります。

    参画先が増えるほど、確認事項のすり合わせも慣れてきます。最初の案件で整えた進め方を、次の案件にもそのまま持ち込めるようになるのが、この仕事の続けやすさでもあります。

    図4:値がつくのは、下がった状態を保つ側です
    一度だけ下げた場合 時間とともに再び上がる 下がった状態を保つ場合 低い水準が続く

    図の作成:Remogu編集部。一度の削減と、維持する仕組みをつくった場合の違いを整理したもので、統計データではありません

    市場の伸びと仕事の続きやすさを踏まえておくと、参画後の話もしやすくなります。

    7. まとめ

    • 情報化投資は25.7兆円、設備投資の24.7%を占め、コストを下げる仕事の土台は大きく育っています13
    • 費用の中身はソフトウェアに寄っており、止めれば消える費用と資産に払う費用を分けて見ることが出発点になります2
    • 削減額・再現性・維持の仕組みという3つの材料が揃うと、成果に値段がつく説明資料になります
    • 効果が実感されにくいという前提を先に共有すると、説明は伝わりやすくなります5
    • 値がつくのは一度の削減よりも、下がった状態を保つ仕組みのほうです

    下げた金額を見せるだけでは、説明は一度で終わってしまいます。削減額よりも、下がった状態を保つ仕組みを見せるほうが、次の契約につながります。小さな案件からでも、3つの材料をそろえる習慣をつけておくと、実績は少しずつ積み上がっていきます。まずは直近で下げた実績を、3つの材料に分けて書き出すところから始めてみましょう。

    8. よくある質問

    FinOpsに関する資格や認定は必要ですか

    資格が参画の前提になっている案件もありますが、資格の有無だけで判断されるわけではありません。削減額・再現性・維持の仕組みという3つの材料を、これまでの実績として示せるかどうかが重視されます。資格は説明を補う材料の一つとして扱うとよいでしょう。特定のクラウド事業者が提供する認定を取得しておくと、実務経験を補足する材料として使える場面もあります。

    削減率の目標はどのくらいを目安にすればよいですか

    削減率の目標値は案件によって大きく異なり、一律の目安を示せる数値ではありません。目標値を決める前に、対象となる費用がソフトウェアなのか、契約の見直しで済む費用なのかを分けて確認すると、現実的な目安が見えてきます。重要なのは削減率そのものよりも、その数値が何に対する割合なのかを明確にして提示することです。

    参画前にはどこまでの権限を確認しておくべきですか

    変更を提案できる範囲なのか、実行まで任されるのかによって、仕事の進め方は変わります。請求データやダッシュボードへのアクセス権、報告の頻度もあわせて、契約の初期段階で確認しておくと、参画後のずれが少なくなります。確認を怠ると、成果を出しても評価される範囲が狭くなってしまうことがあります。

    一度費用を下げたあと、次の仕事はなくなりますか

    費用は放っておくと再び上がっていくため、下げた状態を保つ仕組みをつくる仕事は続きます。削減した内容を記録に残し、監視や見直しの流れとして仕組み化しておくと、次の契約の話にもつながりやすくなります。契約の更新時には、維持の仕組みがどれだけ機能しているかを一緒に振り返っておくと、次の話し合いも進めやすくなります。

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    ※公開中の案件数は時期によって変わります。記事中の案件の傾向は執筆時点のものです。

    出典・参考情報

    *1 総務省「令和7年度 ICTの経済分析に関する調査」図表Ⅱ-1-1-6(2026年7月24日)
    *2 総務省「令和7年度 ICTの経済分析に関する調査」図表Ⅱ-1-1-6(2026年7月24日)
    *3 総務省「令和7年度 ICTの経済分析に関する調査」図表Ⅱ-1-1-6(2026年7月24日)
    *4 総務省「令和7年度 ICTの経済分析に関する調査」図表Ⅱ-1-1-3(2026年7月24日)
    *5 総務省「国内外における最新の情報通信技術の研究開発及びデジタル活用の動向に関する調査研究」(2026年7月24日)
    *6 Remoguサイト公開情報(案件の90%以上がフルリモート可能)