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    RPAの経験は次に繋がる|業務自動化エンジニアの棚卸しと3つの進路【2026】

    RPA・業務自動化案件の実態と次に足すスキルを解説するイメージ

    ロボットの設定画面を開き、業務手順どおりに処理を組む。この作業を積み重ねてRPAの案件をこなしてきた方もいるはずです。ただ、生成AIが日常の道具になったいま、同じスキルのままで次の案件に参画し続けられるのか、迷いが出ていませんか。

    案件が減っているかどうかより、積み上げてきた経験がどこまで次に繋がるかのほうが、実は大きな問題です。ツール操作の経験を、業務プロセスの設計や自動化の運用にどう広げるか。この記事では、経験を仕分ける4つの問いと、そこから見えてくる3つの進路、そして今週から手を動かせる一手を、公的データとRemoguの独自調査をもとに整理します。

    教材を探す前に、まず手元にある経験を棚卸しする。遠回りに見えて、これが一番早い道です。書き出す作業から始めてみましょう。

    この記事でわかること

    • RPAの案件で、いま求められている役割がどう変わってきたか
    • 積み上げてきた経験を仕分けるための4つの問い
    • 棚卸しの結果から見えてくる3つの進路
    • 進路ごとに、いまの案件の中で手を動かせること
    • 契約が続く関わり方と、切れやすい関わり方の分かれ目
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    1. RPAの案件で、いま何が求められているのか

    RPAの案件で問われる内容は、この数年で静かに変わっています。手順どおりにロボットを動かせることは、もはや前提にすぎません。求められているのは、業務のどこをどう自動化するかを自分で読み解き、設計できる力です。

    「設計できる力」とは、特別な資格を指すわけではありません。どの業務フローに手をつければ効果が大きいかを見極め、例外が起きたときの対応まで含めて仕組みを組み立てる力です。ツールの操作画面よりも、その手前にある業務の構造を読み解く力が問われています。

    「動かせる」から「設計できる」へ、評価される層が上がった

    IPAはAI-Enabled ICT Workforce Consortiumの予測として、9割以上のICT職種で主要スキルの過半がAIによって変化すると示しています1。RPAに限った数字ではありませんが、いまのスキルセットがそのまま通用し続けるという前提自体が崩れつつあることを示しています。

    同じ時期に、道具を使う側の裾野も広がっています。総務省の令和7年版情報通信白書によると、生成AIサービスを個人で利用した人の割合は2023年度の9.1%から2024年度は26.7%へ増え、20代では44.7%にのぼります4。指示さえ書けば手順を組み立てられる場面が増え、ツール操作そのものの希少性は下がっています。

    操作の経験よりも、設計の経験のほうが差になります。ロボットを動かす力よりも、どの業務を選び、どう例外を扱うかを決める力のほうが、これからの案件で評価されやすくなっています。

    手順を組む作業そのものは、道具の進化とともに誰でも着手しやすくなりました。その分、同じ土俵で戦う人数は増えます。積み上げてきた経験を、操作の速さではなく設計の質で示せるかどうかが、これからの分かれ目になります。

    図1:RPA案件で評価される役割の3層
    自動化ポートフォリオの運用 複数の自動化を横断管理し、優先順位や廃止を判断する 業務プロセスの設計 自動化する範囲を選び、例外処理を設計する ツール操作 指定された手順どおりにロボットを設定・実行する 評価が上がる方向

    図の作成:Remogu編集部。RPA案件で評価される役割の変化を整理したもので、統計データではありません

    需要が細っているわけではない

    では、業務を読み解ける人材を求める側の状況はどうでしょうか。IPAの同じ調査では、日本企業の85.1%でDXを推進する人材が不足していると報告されています2

    この数字が示しているのは、自動化に取り組みたい企業が減っているわけではないということです。むしろ、業務を理解して自動化の設計を担える人材が、企業の内側で不足しています。積み上げてきたRPAの経験は、ここに橋を架ける材料になります。

    不足しているのは、ツールを扱える人ではなく、業務の現場と自動化の仕組みの両方を理解している人です。現場の担当者から要件を聞き取り、例外の扱いまで詰めた経験は、この不足を埋める側の実績として扱われます。

    案件票に「RPA経験者」とだけ書かれていても、実際に求められているのは業務要件を聞き取れる人である場面があります。ロボットの構築より前の工程を担ってきた経験があるなら、その部分を具体的に伝える価値があります。

    では、積み上げてきた経験のどこが、この橋渡しに使えるのでしょうか。まず必要なのは、経験を棚卸しして言葉にする作業です。

    2. まず、自分の経験を棚卸しする4つの問い

    RPAで培ったスキルを棚卸しして次の一手を書き出す場面を表すイメージ

    棚卸しと聞くと、資格の取得や新しい教材への着手を思い浮かべるかもしれません。ですが最初に必要なのは、これまでの案件で何をしてきたかを、自分の言葉で書き出す作業です。

    リクルートワークス研究所の調査を引用したIPAの資料では、日本のOJTや自己啓発の実施割合は、調査対象7か国(日本・独・仏・英・米・中・スウェーデン)の中で下位に位置づけられています3。裏を返せば、経験を振り返って言葉にする作業を自分から行う人が、そう多くはないということです。だからこそ、棚卸しを実際にやった人が差をつけられます。

    【表1】棚卸しシート

    以下は、これまで携わったRPAの案件を4つの問いで整理するためのシートです。問いに沿って書き出すと、単なる作業履歴が、案件側に伝わる実績の言葉に変わります。①どの業務を選んだか、②なぜその業務を選んだか、③壊れたときに何をしたか、④効果をどう測ったかの順に、思い出せる範囲で埋めてみてください。空欄が多い問いほど、次に埋めるべき経験が見えてきます。

    問い書き出すこと案件で効く形
    ①どの業務を自動化したか業種・部門・処理の性質(例:経理部門の請求書照合)対応できる業務範囲の説明
    ②なぜその業務を選んだか自分で対象を選定したか、指定された対象を実行したか業務を選ぶ判断への関与度
    ③壊れたときに何をしたかエラー発生時の対応、例外処理の設計や修正の経験運用・保守の設計経験
    ④効果をどう測ったか処理時間や件数など、変化を示す具体的な数字成果を数字で語れる根拠

    書き出した内容が、次の進路を決める材料になる

    4つの問いのうち、②と③に具体的な答えが出せるなら、業務を読み解く力はすでに身についています。逆に①と④しか埋まらない場合、これまでは指定された作業を正確にこなす役割が中心だったと考えられます。どちらが良い悪いという話ではなく、次にどこを伸ばすかを決めるための出発点です。

    例えば、①の業務内容は説明できても②の選定理由が空欄のままなら、対象の選び方を人に説明する練習から始めるのが有効です。逆に③の例外対応が具体的に書けるなら、その経験はすでに運用設計の実績として案件側に示せます。

    一度にすべての問いを埋めようとしなくてもかまいません。直近1年の案件を1つ選び、4つの問いに沿って振り返るだけでも、次にどこを伸ばせばよいかは見えてきます。

    4つの問いを埋め終えたら、その答えがどの進路に近いかを確かめる番です。

    3. 棚卸しから見えてくる3つの進路

    表1で書き出した内容は、大きく3つの進路につながります。どれか一つに決め切る必要はありませんが、いまどこに近いかを知っておくと、次に足すスキルの優先順位がはっきりします。

    3つの進路は、上下関係ではありません。業務の現場に近い設計を続けるか、複数の自動化を横断して管理する側に回るか、生成AIとの橋渡しに寄せるか、という方向の違いです。棚卸しで見えた強みに合わせて選ぶ進路になります。

    表1で②の選定理由や③の例外対応を厚く書けた人は進路Aに近く、④の効果測定を数字で示せる人は進路Bに近い傾向があります。①の業務理解が幅広い人は、進路Cへの橋渡しがしやすくなります。

    図2:棚卸しの結果から見えてくる3つの進路
    棚卸しの 結果 A:業務プロセス設計 自動化の対象と例外処理を設計する B:自動化基盤・運用設計 複数の自動化を横断し、優先順位と廃止を判断する C:AI組み込みへの橋渡し 生成AIの出力を業務に組み込み、検証手順を設計する

    図の作成:Remogu編集部。棚卸しの結果を3つの進路に整理したもので、統計データではありません

    【表2】3つの進路の比較

    以下は、棚卸しの結果から見えてくる3つの進路を比較したものです。中心になる仕事、活きる棚卸し項目、リモートでの進めやすさをまとめました。報酬は使う言語やツールではなく担当する工程で変わるため、全体の基準線をあわせて示します。自分がどの進路に近いかを確かめる材料にしてください。

    進路中心になる仕事活きる棚卸し項目リモート適性
    A:業務プロセス設計自動化する範囲の選定、例外処理の設計②なぜ選んだか/③壊れたときの対応高い
    B:自動化基盤・運用設計複数の自動化を横断管理し、優先順位や廃止を判断③壊れたときの対応/④効果の測定中〜高い
    C:AI組み込みへの橋渡し生成AIの出力を業務に組み込み、検証手順を設計①業務の理解/④効果の測定高い

    担当する工程が上がるほど、報酬の水準も変わります。Remoguが実案件2,450件(2023年1月〜2024年2月・支払上限金額から算出)を分析した調査では、フリーランスエンジニアの平均月額報酬は約76.5万円で6、職種別ではCTO・VPoE・テックリードが約98.9万円で1位です6

    この数字はRPAに特化した集計ではなく、設計と判断を担う職種全体の水準です。RPAの単価としてそのまま当てはめるのではなく、担当する工程が上流に近づくほど、この基準線に近づいていくと捉えるのが実際的です。

    表2のA・B・Cのいずれも、指定された作業をこなすだけの関わり方から一歩進み、対象の選定や優先順位づけ、検証の判断に加わる関わり方です。この「判断に加わっているかどうか」が、基準線のどこに位置するかを分けます。

    図3:フリーランスエンジニアの月額報酬の基準線
    255075 100(万円) 76.5万円 98.9万円 フリーランスエンジニア全体 CTO/VPoE/テックリード

    出典:Remogu「職種別・言語別の月額報酬ランキング」調査(2024年/実案件2,450件・支払上限金額から算出)をもとに作成

    3つの進路のどれを選ぶにしても、次に必要なのは資格の取得ではありません。いまの案件の中で、何を積み増せるかです。

    4. 「次の一手」は学習より、いまの案件の中にある

    次に足すべきものを考えるとき、資格や教材の一覧に目が向きがちです。ですが、進路につながる経験の多くは、いま担当している案件の中に隠れています。

    新しい学習に時間を割く前に、いまの案件の中で普段より一歩踏み込んでみる方が、実績として積み上がりやすくなります。表3は、そのための具体的な行動を進路別に整理したものです。

    指定された作業だけをこなす関わり方から、一歩前に出るための行動です。大がかりな提案でなくても、小さく始めた行動が積み重なれば、任される範囲は自然と広がっていきます。

    【表3】進路別の次の一手

    以下は、3つの進路それぞれについて、いまの案件の中で今週から手を動かせることと、その先で任される範囲をまとめたものです。資格の取得や教材の学習は含めていません。すでに関わっている業務の中で、明日から変えられる行動に絞りました。近い進路の行から確認してみてください。

    進路いまの案件の中でできることその先で任される範囲
    A:業務プロセス設計例外処理の一覧を自分の言葉で作り直す自動化する対象の選定から任される
    B:自動化基盤・運用設計処理時間の削減を測る仕組みを先に作る複数の自動化の優先順位づけを任される
    C:AI組み込みへの橋渡しAIに任せた出力の検証手順を書き出す生成AIを組み込んだ設計の判断を任される

    検証できる人が、これから必要とされる

    表3のCの行が示す検証の力は、これから重要度が増していく分野です。総務省の同白書では、生成AIを利用しない理由として「正確性・信頼性に必要な確実性がない」「使い方がわからない」という回答が上位に挙がっています5。裏を返せば、AIの出力を検証し、使ってよい範囲を見極められる人が求められているということです。ツール操作で積んだ経験は、この検証作業の土台になります。

    例外処理の設計に慣れている人は、想定外の入力にどう対応するかを考える習慣がすでにあります。この習慣は、AIの出力が想定と違ったときの検証手順を組み立てる作業と、その大部分で重なります。

    資格を増やすより、いまの案件で表3の行動を1つ試してみるほうが、次の進路への近道になります。

    5. 「自動化しきったら終わり」にしないために

    RPAの案件には、他の技術にはない不安があります。自動化が完了すると、自分の仕事そのものが消えてしまうように見えることです。

    ただし、業務は自動化した瞬間で止まりません。制度が変わり、システムが更新され、扱うデータの形式も変わります。運用と改訂の設計に関わり続けている人は、そのたびに必要とされます。逆に、作って渡すだけの関わり方だと、完成した時点で契約が終わりやすくなります。

    例えば、連携先のシステムが更新されればロボットの手順も見直しが要ります。制度が変われば、判定の条件そのものを組み替える必要が出てきます。この見直しに関われる人は、自動化が完成した後も案件の中に残ります。

    図4:「作って渡す」と「運用まで入る」の関わり方の対比
    作って渡す 完成後の運用には関わらない 改訂の依頼経路を持たない 完成した時点で 契約が終わりやすい 運用まで入る 監視・修正・改訂に関わり続ける 改訂の依頼経路を持っている 業務が変わるたびに 必要とされ続ける

    図の作成:Remogu編集部。関わり方の違いによる契約継続の傾向を整理したもので、統計データではありません

    契約前に確認しておきたい3点

    運用フェーズに残れるかどうかは、契約前の確認で大きく変わります。次の3点は、参画前にクライアントと協議しておくと安心です。

    参画時点では構築の範囲しか示されていない案件もあります。その場合は、完成後の運用をどちらが担うのかを、契約の初期段階で確認しておくと、あとからの行き違いを防げます。

    • 運用フェーズへの関与範囲:監視・修正・改訂のどこまでを担当するか、事前に確認します。
    • 改訂の依頼経路:改訂の依頼が、誰からどの経路で来るのかを確認します。
    • 稼働形態と報酬の見直し時期:稼働形態と、業務量が変わった際に報酬を見直すタイミングを確認します。

    稼働場所についても、事前の確認が有効です。Remoguが扱う案件は90%以上がフルリモート可能で7、運用フェーズもリモートで進めやすい案件が中心です。ただし、扱うデータの機密度によっては、接続環境や作業場所の条件が定められる場合があります。ここは契約前にクライアントと協議しておくと安心です。

    6. まとめ

    この記事のまとめ

    • RPAの案件で評価される層は、ツール操作から業務設計・運用へと上がっています
    • 日本企業の85.1%でDX人材が不足しており、需要そのものは細っていません2
    • 4つの問いで経験を棚卸しすると、3つの進路のどれに近いかが見えてきます
    • 次の一手は資格の取得ではなく、いまの案件の中の小さな行動から始められます
    • 運用と改訂に関わり続ける人が、契約が続く関わり方をつくります

    棚卸しは、この記事を読み終えたあとにでも始められます。積み上げてきたRPAの経験は、次のどの進路に向けて動かせるでしょうか。

    7. よくある質問

    Q1.RPAの経験しかありませんが、案件に参画できますか。

    業務プロセス設計や自動化基盤・運用設計の進路では、RPAの経験を中心に参画できる場面があります。ただし、例外処理の設計経験や効果測定の実績があると、選べる案件の幅が広がります。まずは表1の棚卸しで、自分がどこまで担ってきたかを確認してみてください。空欄が多い問いがあれば、それが次に埋めるべき経験になります。

    Q2.生成AIの普及でRPAの仕事はなくなりますか。

    9割以上のICT職種で主要スキルの過半が変化すると予測されていますが1、これは仕事そのものがなくなるという意味ではありません。ツール操作の比重が下がる一方で、業務を読み解いて設計する力や、AIの出力を検証する力の重要度は増しています5

    Q3.どの進路が報酬に効きやすいですか。

    担当する工程が上流に近づくほど、報酬の水準は上がる傾向があります。フリーランスエンジニア全体の平均月額報酬は約76.5万円で6、設計や判断を担う職種はこの水準を上回ります。RPAに特化した単価データは確認できていないため、進路ごとの目安としてご覧ください。

    Q4.RPAの案件はリモートで進められますか。

    運用や設計を中心とした業務は、リモートで進めやすい領域です。Remoguが扱う案件は90%以上がフルリモート可能です7。ただし、扱うデータの機密度によっては、接続環境や作業場所の条件が定められる場合があります。条件は契約前に確認しておきましょう。

    Q5.経験のない進路に踏み出すには、何から始めればよいですか。

    資格の取得よりも、いまの案件の中でできることから始めるのが近道です。表3で挙げた「例外処理の一覧を作り直す」「検証手順を書き出す」といった行動は、次の進路に近い実績として積み上がっていきます。まずは表1の棚卸しで空欄になった項目を確認し、近い進路の行動を1つだけ選んで試してみてください。

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    ※公開中の案件数は時期によって変わります。記事中の案件の傾向は執筆時点のものです。

    出典・参考情報

    *1 IPA「DX動向2025(AI時代のデジタル人材育成)」ディスカッション・ペーパー(2025年10月9日)
    *2 IPA「DX動向2025(AI時代のデジタル人材育成)」ディスカッション・ペーパー(2025年10月9日)
    *3 IPA「DX動向2025(AI時代のデジタル人材育成)」ディスカッション・ペーパー(リクルートワークス研究所「Global Career Survey 2024」を引用)(2025年10月9日)
    *4 総務省「令和7年版情報通信白書」第2部「AIの総合的な進展の現状」2 AI利用の現況(2025年)
    *5 総務省「令和7年版情報通信白書」第2部「AIの総合的な進展の現状」2 AI利用の現況(2025年)
    *6 Remogu「職種別・言語別の月額報酬ランキング」調査(実案件2,450件・2023年1月〜2024年2月・支払上限金額から算出)(2024年)
    *7 Remoguサイト公開情報(フルリモート可能案件の割合)