在宅勤務エンジニアの今|テレワーク導入率94.3%のデータを解説
「在宅勤務、もうやめたんですか?」
去年の秋、ある会社の人事担当者から、そう聞かれました。世の中の流れは、出社回帰だといいます。けれども、エンジニアの世界は少し違いました。情報通信業のテレワーク導入率は94.3%。10社のうち9社が、いまも在宅勤務を選べる仕組みを持っています※1。
その理由を、これから一つひとつお話しします。
目次
1. 在宅勤務エンジニアを取り巻く市場の今
Q. 在宅勤務でエンジニアとして働くことは、今でも可能ですか。
A. 可能です。情報通信業のテレワーク導入率は94.3%と、全産業平均(47.3%)の約2倍にあたります※1。とくにフリーランスのエンジニア向け案件では、フルリモート(完全在宅)を前提とした働き方が広がっています。
総務省の令和6年通信利用動向調査によれば、テレワークを導入している企業の割合は47.3%でした※1。前年の49.9%から2.6ポイントの低下です。世の中の論調は、確かに「出社回帰」を指しています。
ただし、産業別に見ると、景色が変わります。情報通信業のテレワーク導入率は94.3%。金融・保険業の84.5%を10ポイント近く上回り、産業別で最も高い数値です※1。設計書もコードもチケットもすべてオンラインで完結する。場所を問わず、成果物で評価される。そういう仕事だからこそ、企業も在宅勤務を切り捨てる理由がありません。
| 産業 | テレワーク導入率 | 全産業平均との差 |
| 情報通信業 | 94.3% | +47.0ポイント |
| 金融・保険業 | 84.5% | +37.2ポイント |
| 全産業平均 | 47.3% | — |
全産業の平均は47.3%ですが、情報通信業は94.3%と47.0ポイント高い水準にあります。在宅勤務で働きたいエンジニアにとって、業種選びの重要性が増していることが読み取れます。また、テレワーク導入企業のうち「在宅勤務」を採用している企業は90.9%にのぼります※1。モバイルワーク(32.4%)、サテライトオフィス勤務(15.7%)を大きく上回り、テレワーク=在宅勤務、という構図ができあがっています。
出典:総務省「令和6年通信利用動向調査(企業編)」(2025年5月公表)※1をもとに編集部作成。
2. 在宅勤務エンジニアの働き方は3パターン
在宅勤務のエンジニアといっても、雇用形態と在宅率で大きく3つに分かれます。
| 観点 | 正社員(在宅勤務制度) | フリーランス(業務委託) | 副業 |
| 在宅率の決定者 | 所属企業の就業規則 | 案件ごとの契約条件 | 案件ごとの契約条件 |
| 報酬の決まり方 | 月給+賞与 | 月額単価(時間単価) | 時間単価または成果報酬 |
| 在宅100%の選びやすさ | 企業に依存 | フルリモート案件を選択可能 | 短時間案件のほぼ全数がリモート |
| 雇用の安定性 | 高い | 案件期間に依存 | 本業に依存 |
正社員は所属企業の制度に依存するため、企業選びの時点でフルリモート可否がほぼ決まります。フリーランスは案件ごとの契約条件で在宅率が決まるため、現時点での働き方を案件単位で組み替えられる柔軟性があります。副業は本業との両立を前提に、短時間で完結する在宅案件が中心です。自分のライフスタイルと収入のバランスに合わせて、どの形を選ぶかが最初の分岐点になります。
出典:編集部調べ(公開求人媒体・業務委託案件媒体の表示条件を整理)。
3. 在宅勤務の案件で求められるスキルと年代
💻 「在宅でできる仕事」と「在宅でできない仕事」の境目
- 在宅でほぼ完結する領域:Web開発(フロントエンド・バックエンド)・モバイルアプリ開発・クラウド構築(AWS・Azure・GCP)・データ分析・AI開発・SRE・QA・テクニカルライティング
- ハイブリッドが前提になりやすい領域:オンプレ環境のインフラ構築・製造業の組込開発・医療・金融の機微情報を扱う領域・対面でのクライアント折衝が含まれる上流工程
経済産業省の「IT人材需給に関する調査」では、2030年までに最大約79万人のIT人材不足が予測されています※2。IPAの「DX動向2025」では、日本企業の85.1%がDX推進人材の不足を回答しています※3。需要が伸びているのは、クラウド・AI・データサイエンス・サイバーセキュリティです。これらはいずれも在宅勤務との相性が良い領域でもあります。在宅勤務で長く働きたいエンジニアにとって、スキル選びの優先順位がそのまま、働き方の自由度につながります。
4. 在宅勤務エンジニアが「続けられる」3つの条件
在宅勤務に切り替えたエンジニアの全員が、その働き方を続けられているわけではありません。半年で出社に戻る人がいる一方で、5年、10年と在宅勤務を続けているエンジニアもいます。何が違うのでしょうか。テレリモ総研の調査※4と編集部の取材から、3つの条件が浮かび上がりました。
✅ 在宅勤務を「続けられる」3つの条件
- ① 自己管理ができる環境を整えている:専用の作業スペースの確保、業務時間と私生活の境目をつくる仕組み、定期的に体を動かす習慣。「家にいるのに、仕事ばかりしてしまう」は、在宅勤務をやめる典型的な理由の一つです
- ② 成果物で評価される案件を選んでいる:評価基準が「在席時間」ではなく「成果物」になっている案件は、在宅勤務との相性が良い。業務委託の場合は、契約書に成果物の定義と検収基準が明示されているかを確認することが重要です
- ③ 孤独感への対策をしている:定例ミーティングへの積極参加、コーワーキングスペースの活用、地域のエンジニアコミュニティへの参加など、意識的に人と会う仕組みを持っている人ほど在宅勤務を長く続けています
5. 在宅勤務の案件を見つけるルートの違い
正社員として在宅勤務できる仕事を探すなら、転職媒体の「フルリモート可」「在宅勤務制度あり」のフィルタを使うのが基本です。フリーランスとして在宅勤務の案件に参画するなら、業務委託の案件媒体や、エンジニアと案件をマッチングするエージェントの活用が中心になります。
「フルリモート」「リモートワーク可」「在宅勤務OK」。表現は媒体ごとにバラバラです。実際には週1出社が必要、月1で対面ミーティングがある、といった条件が記載されている場合もあります。条件の細部を確認することが、参画開始後のミスマッチを防ぐ唯一の方法です。
| 確認項目 | 確認すべき内容 |
| 在宅率 | フルリモートか、週○日出社か、月○回出社か |
| 出社の発生条件 | キックオフ時のみか、リリース前のみか、定例で発生するか |
| 勤務時間 | コアタイムの有無、ミーティング時間帯の偏り |
| コミュニケーション手段 | Slack・Teams・ビデオ会議の使用頻度 |
| 報酬・契約条件 | 月額単価、契約期間、検収条件、更新条件 |
「フルリモート」と表示されていても、キックオフのみ出社・定例で月1回出社、といった条件が紛れ込んでいることがあります。在宅率の表記だけで判断せず、出社の発生条件・勤務時間・コミュニケーション手段・報酬条件まで含めて確認することが、参画開始後のミスマッチを防ぎます。とくに業務委託の場合、検収条件や契約更新条件は後から交渉が難しい項目です。
出典:編集部調べ(業務委託案件の典型的な提示項目を整理)。
6. まとめ
「在宅勤務、もうやめたんですか?」と聞かれたら、こう答えてください。「いいえ、業種を選んでいるだけです」と。
📋 この記事のポイント
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7. よくある質問(FAQ)
出典・参考情報
※1 総務省「令和6年通信利用動向調査(企業編)」(2025年5月公表)
※2 経済産業省「IT人材需給に関する調査」(2019年公表)
※3 独立行政法人情報処理推進機構(IPA)「DX動向2025」(2025年6月公表)
※4 テレリモ総研(株式会社LASSIC運営)「テレワーク・リモートワーク・在宅勤務の実態調査 2025年版」