• ノウハウ
  • |Remogu(リモグ)" />

    【Dify】フリーランス案件で確かめること|AIエージェントを作るときの権限と人の確認の注意点

    監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

    「Difyのフリーランス案件」を示す図です。読む/書く/実行するを並べています。強調しているのは実行するです。任せない範囲と添えています。

    📘 この記事でわかること

    • 2026年3月公表のAI事業者ガイドライン第1.2版でAIエージェントについて加わった内容と、Difyの名前が資料に出てこないこと
    • 開発者・提供者・利用者のうち案件で自分が当たる役割の確かめ方と、エージェントに渡す権限を必要な範囲にとどめる考え方
    • 人の判断を挟む場面の決め方と、打ち合わせで発注側に尋ねる順番

    問い合わせ対応のAIエージェントをDifyで組む案件の打ち合わせで、発注側から「社内のデータベースにも書き込めるようにしてほしい」と頼まれました。引き受けたい気持ちはあっても、どこまで動かしてよいのかを誰が決めるのか、その場では答えが出ません。この迷いは、Difyのフリーランス案件を受ける前に、決める順番を持っておくと、答え方が見えてきます。AIエージェントの案件は、何を任せないかを先に決めます。

    リモートワーク案件特化のエージェント|Remogu(株式会社LASSIC運営) リモートの案件を探す フルリモートの案件を見る

    1. Difyのフリーランス案件で確かめること

    打ち合わせで返事に迷う場面

    AIエージェントを組む案件では、画面を作る作業より先に、エージェントに何を許すかの話が出てきます。データを読むだけなのか、書き込むのか、外部の操作まで任せるのか。同じDifyの案件でも、この線引きで責任の重さが変わります。

    ただし、線引きの正解は案件ごとに違い、Difyの使い方を知っているだけでは決められません。決める材料は、発注側との協議と、公的な指針の考え方の2つです。後者は、この記事で順に見ていきます。

    この記事が手がかりにする資料

    手がかりにするのは、総務省が掲載しているAI事業者ガイドライン第1.2版の本編概要1と、令和7年度の更新内容をまとめた資料2の2つです。ガイドラインは、AIを開発し、提供し、利用する事業者が取り組む事項についての基本的な考え方を示すものです。法令のように守らなければ罰せられるものとは書かれていないため、案件の相談で使う物差しとして読みます。

    なお、資料にDifyという製品名は出てきません。したがって「Difyはガイドラインのこの例にあたる」とは言えず、Difyのようにエージェントを組めるツールを使う案件で、資料の考え方を当てはめて確かめる、という使い方になります。次の節では、更新で何が加わったのかを見ます。

    2. AI事業者ガイドライン第1.2版で何が加わったか

    第1.2版の位置づけ

    総務省と経済産業省のAI事業者ガイドライン第1.2版は、2026年3月31日に公表されました1。AIの開発、提供、利用にあたって必要な取組を、基本的な考え方として示す文書です。

    更新内容の資料では、AIエージェントとフィジカルAIに関する事項の追記が、更新方針の一つに挙げられています2。AIエージェントを組む案件にとっては、この追記が直接の手がかりになります。

    更新された項目と中身

    更新内容の資料から、AIエージェント案件に関わる項目を4つ取り出しました。AIエージェントとフィジカルAIの追記、新たに加わった留意事項、システム・サービスの例の追加、主体区分の補足の4つです。資料が書いているのは見出しの水準までで、各項目の細かな運用方法は本編を読んで確かめることになります。表では、資料の記述をそのまま項目ごとに並べました。

    更新の項目中身
    AIエージェント・フィジカルAI関する事項の追記が更新方針の一つです2
    新たに加わった留意事項人間の判断を介在させる仕組みの構築、最小権限設定、ハードウェア残存データへの配慮などです2
    システム・サービスの例旅行先予約・提案エージェント、自律移動ロボット、AIエージェント作成サービス等を追加しました2
    主体区分の補足アライメントやRAG等で、どの主体区分が役割を担うか不明瞭な箇所に補足説明を追加しました2

    表の3行目にある「AIエージェント作成サービス等」は、あくまで例の追加です。Difyがこれにあたると資料が名指ししているわけではありません。Difyのようにエージェントを組めるツールを使う案件では、この例を手がかりに、自分の案件がどの扱いになるのかを発注側と確かめる、という進め方になります。

    では、この更新を案件の打ち合わせでどう使うのでしょうか。2行目の留意事項は第4節と第5節で、4行目の主体区分は第3節で扱います。

    3. 案件で自分が担う役割

    3つの主体のうち、どこに当たるか

    ガイドラインは、AIの事業活動を担う主体を「AI開発者」「AI提供者」「AI利用者」の3つに大別して整理しています1。案件の相談では、まず自分がこの3つのどこに近い立場なのかを言葉にしておくと、権限の話に入りやすくなります。

    AI提供者は、AIシステムをアプリケーション、製品、既存のシステム、ビジネスプロセス等に組み込んだサービスとして、AI利用者などに提供する事業者を指します1。AI利用者は、事業活動でAIシステムまたはAIサービスを利用する事業者です1。主体区分そのものの詳しい説明は、別の記事で扱っています。

    Difyで組んで納めるときの確かめ方

    Difyでアプリを組んで納める案件が、どの主体に当たるのかは、案件ごとに確かめます。資料から断定できる話ではないためです。発注側が自社の業務でAIを使うだけなのか、組んだものを他社向けのサービスとして出すのか。この違いで、立場の見え方が変わる可能性があります。

    図1:ガイドラインが整理するAIの3つの主体
    AI事業者ガイドラインの3つの主体 役割は案件ごとに確かめる AI開発者 AI提供者 組み込んだ サービスを提供 AI利用者 事業活動で AIを利用 自分の案件の位置

    出典:総務省「AI事業者ガイドライン(第1.2版)」をもとに作成

    一方で、どの主体に当たるのかが決まれば、そのあとの権限の話も進めやすくなります。次の節では、役割が決まったうえでエージェントに何を渡すのかを見ます。

    4. 最小権限の考え方

    更新で加わった留意事項

    更新内容の資料には、新たに加わった留意事項として、人間の判断を介在させる仕組みの構築と並んで、最小権限設定が挙がっています2。AIエージェントに、必要な範囲を超える権限を渡さない、という考え方です。

    ただし、資料が示しているのは設定の考え方であり、Difyの機能名や設定画面の話は載っていません。ですので、ここから先は「資料の考え方を、組むエージェントにどう当てはめるか」を、自分と発注側で言葉にする作業になります。

    渡す権限を段で考える

    権限は、読む、書く、実行するの3段に分けて考えると、打ち合わせで線を引きやすくなります。問い合わせ対応のエージェントなら、まず読む段までで足りるのかを確かめ、書く段や実行する段は、必要だと言える理由が出てから渡します。

    図2:エージェントに渡す権限の3つの段
    エージェントに渡す権限の段 必要な段までにとどめる 読む データの参照 書く データの更新 実行する 外部への操作 任せる範囲が広がる

    図の作成:Remogu編集部。権限を段で考えるための整理で、統計データではありません

    冒頭の「社内のデータベースにも書き込めるように」という依頼は、この図では2段目に当たります。書き込む範囲は、全体なのか一部の項目なのか。そこまで言葉にして初めて、最小権限の話になります。

    とはいえ、権限を最小にしたまま運用が回るかどうかは、人が確かめる場面をどこに置くかにも左右されます。次の節では、その人の判断を挟む仕組みを見ます。

    5. 人の判断を挟む仕組み

    資料が挙げる仕組みの位置づけ

    更新内容の資料では、最小権限設定と並んで、人間の判断を介在させる仕組みの構築が、新たに加わった留意事項として挙げられています2。エージェントが自分で動く範囲を狭めるのが最小権限なら、動く途中で人が確かめる場面を置くのが、この仕組みです。

    ただし、資料に書かれているのは仕組みを作る、という方向までです。どの場面で人が確かめるのかまでは載っていないため、案件ごとに発注側と話し合って決めます。ガイドラインは、AIの開発・提供・利用にあたって必要な取組の基本的な考え方を示す文書です1。決まりを突きつける材料ではなく、「ここは人が確かめる場面にしておきたい」と相談を始めるための材料として使えます。

    場面ごとに人が確かめる点

    前の節で見た読む・書く・実行するの3段は、人が確かめる場面を決めるときの目印にもなります。段が上がるほど、エージェントの動きが業務に及ぼす範囲は広がります。そこで、3段それぞれと、権限を広げる場面について、人が何を確かめるのかを表にしました。資料が示しているのは仕組みの必要性までで、表の確認点は、打ち合わせで発注側に尋ねるための問いの形に直したものです。

    場面人が確かめる点
    データを読む読ませる範囲が、依頼の目的に必要なものに絞られているか
    データを書く書き込む範囲が決まっているか、書き込む前に人が内容を見る場面があるか
    外部へ操作する操作の内容が決まっているか、実行を止められる人がいるか
    権限を広げる広げる理由を発注側と話し合い、記録に残しているか

    たとえば、問い合わせ対応のエージェントが顧客への返信文を作るなら、送信する前に人が読む場面を置く、という決め方があります。返信文を作る段階までをエージェントに任せ、送る判断は人に残す形です。

    図3:人の判断を置く場所
    人の判断を挟む位置 処理の途中で人が確かめる 下書きの作成 読む段まで 人の確認 判断を挟む 実行・反映 書く・実行 実行の手前に置く

    図の作成:Remogu編集部。人の判断を置く位置を整理したもので、統計データではありません

    実行や反映のあとに人が見ても、すでに動いた操作は戻せない場合があります。手前に置いておけば、戻せない操作を止める余地が残ります。次は、この考え方を、ガイドラインの共通の指針に当てて見直します。

    6. 共通の指針で見直す

    10の共通の指針と7つの項目

    ガイドラインは、AIの事業活動を担う主体が取り組む事項を、10の「共通の指針」として整理しています1。各主体が取り組む事項として挙げられているのは、人間中心、安全性、公平性、プライバシー保護、セキュリティ確保、透明性、アカウンタビリティの7項目です。

    この記事で使うのは項目の名前だけで、各項目の細かな中身には踏み込みません。名前を手がかりにすると、権限や人の確認の話を一通り決めたあとで、抜けている観点がないかを見直せます。

    7つの項目を案件の問いに置き換える

    7項目は、そのままでは打ち合わせで使いにくい言葉です。AIエージェントを組む案件では、発注側に何を尋ねればその項目の見直しになるのかを、問いの形にしておくと使えます。次の表は、7項目それぞれに対応する問いを、この記事で並べたものです。資料に書かれた記述ではなく、案件の相談で使うための置き換えとして読んでください。

    指針の項目案件の打ち合わせで尋ねる点
    人間中心エージェントの判断を、人が覆せる場面がどこに用意されるか
    安全性想定外の動きをしたとき、止める手順があるか
    公平性結果に偏りが出ていないかを、だれがどう見るか
    プライバシー保護個人に関わる情報を、エージェントが読む範囲に入れるか
    セキュリティ確保エージェントに渡す認証情報を、だれがどう管理するか
    透明性エージェントが何をしたかを、あとから追える記録があるか
    アカウンタビリティ問題が起きたとき、説明する役がだれかを決めているか

    7つの問いに、その場ですべて答えが出る必要はありません。答えが出ない問いを、打ち合わせの宿題として発注側と共有できれば、受ける前に認識のずれを見つけられます。

    RAGなど役割が分かれにくい箇所の補足

    更新では、アライメントやRAG等、どの主体区分が役割を担うか不明瞭な箇所について、補足説明が追加されました2。社内の文書を読ませて答えさせる案件では、この補足が関わる場面が出てきます。

    補足の中身は、この記事では扱いません。案件の中でRAGに触れるときは、資料の該当箇所を読み、自分と発注側のどちらがどの役割を担うのかを見直す材料にしてください。次の節では、これらの観点を、打ち合わせで尋ねる順番にまとめます。

    7. Difyの案件で確かめる順番

    4つを上から順に決める

    打ち合わせで尋ねる順番は、自分の役割、エージェントに渡す権限、人が判断する場面、共通の指針での見直しの4つです。順番を入れ替えると、話が行き来して決まりにくくなります。

    図4:打ち合わせで確かめる順番
    打ち合わせで確かめる順番 役割から順に決める 1 自分の役割 主体区分に照らす 2 渡す権限 読む・書く・実行する 3 人の判断の場面 確認を挟む位置 4 共通の指針での見直し 7項目で点検

    図の作成:Remogu編集部。確かめる順番を整理したもので、統計データではありません

    最初に確かめるのは、自分の役割です。ガイドラインは主体を開発者・提供者・利用者の3つに大別しています1。Difyで組んで納める案件がどこに近いのかを、発注側と言葉にしておきます。

    次に、エージェントに渡す権限を、読む・書く・実行するの3段で決めます。最小権限設定は、更新で新たに加わった留意事項の一つです2。必要な段までにとどめ、広げるときは理由を話し合います。

    3つ目は、人が判断する場面です。実行や書き込みの手前に確認を置き、だれが確かめるのかも決めます。最後に、7項目の問いで抜けがないかを見直します1。4つのうち答えが出ていないものは、受ける前の宿題として残しておきます。

    冒頭の依頼への返事

    冒頭の打ち合わせに戻ります。「社内のデータベースにも書き込めるようにしてほしい」と頼まれたとき、その場で引き受けるか断るかを決める必要はありません。「書き込む範囲と、書き込む前に人が見る場面を、先に一緒に決めましょう」と返せば、話は役割と権限の相談に進みます。

    AIエージェントの案件は、何を任せないかを先に決めます。任せない範囲が決まっていれば、任せる範囲の説明も、あとから問われたときの答えも、発注側と同じ言葉で話せます。

    Remoguでは、案件の90%以上がフルリモート可能です3。場所に縛られずに、権限や人の確認を発注側と話し合いながら進めたい人は、まず登録して、自分の経験に合う条件を確かめてみてください。

    8. よくある質問

    DifyはAI事業者ガイドラインに名前が出ていますか

    更新内容の資料に、Difyという製品名は出てきません。追加されたのは、システム・サービスの例として挙げられた「AIエージェント作成サービス等」です2。Difyがこの例に当たるかどうかは、資料からは言えません。Difyのようなツールを使う案件では、資料の考え方を手がかりに、発注側と確かめます。

    エージェントの権限は誰が決めますか

    資料には、権限を決める人は書かれていません。最小権限設定は留意事項として挙げられているだけです2。AI提供者は、AIシステムを組み込んだサービスを提供する事業者とされています1。自分が組んだエージェントを納める案件が、この立場に近いのかどうかは案件ごとに変わるため、権限を決める人も、契約や発注側の体制を見ながら打ち合わせで協議します。

    ガイドラインは守らないといけない決まりですか

    ガイドラインが示しているのは、AIの開発・提供・利用にあたって必要な取組の基本的な考え方です1。守らなければ罰せられる決まりかどうかは、この記事が使った資料には書かれていません。個別の契約や法令の義務については、案件の相談の中で発注側や専門家に確かめてください。

    リモートワーク案件をお探しの方へ

    Remoguは、株式会社LASSICが運営するITエンジニア・デザイナー専門のリモートワーク案件紹介サービスです。フルリモート・ハイブリッドの案件から、スキルに合うものを探せます。

    作るものと権限の範囲が見えたら、条件の合う案件を探してみてください。リモートの案件から探せます。

    フルリモートの案件を見る30秒で無料登録

    会員登録無料 / 案件閲覧・相談は無料

    ※公開中の案件数は時期によって変わります。記事中の案件の傾向は執筆時点のものです。

    出典・参考情報

    *1 総務省「AI事業者ガイドライン」(2026年3月・2026年10月確認)
    *2 総務省「AI事業者ガイドラインの令和7年度更新内容」(2026年3月・2026年10月確認)
    *3 Remogu(株式会社LASSIC運営)公開情報:扱う案件の90%以上がフルリモート可能