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    仕入税額控除の要件とは?フリーランスエンジニアが経費で確かめる帳簿と請求書の保存と注意点

    監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

    「仕入税額控除の要件」を示す図です。帳簿/請求書等を並べています。両方を保存と添えています。

    📘 この記事でわかること

    • 仕入税額控除に帳簿と請求書等の両方が必要なことと、7年間(6・7年目はどちらか一方)保存すること
    • 3万円未満の公共交通機関や自動販売機、郵便切手による郵便、税込1万円未満の仕入れは帳簿のみの保存で認められること
    • クレジットカードの利用明細だけでは仕入税額控除ができないことと、登録番号は公表サイトで確認できること

    課税事業者になって初めての消費税の申告に向けて、経費の領収書を整理し始めました。電車代には領収書がなく、ネットで購入した機材はカードの利用明細しか手元にありませんでした。何を残しておけば仕入税額控除を受けられるのか、分かりませんでした。仕入税額控除には、帳簿と請求書等の両方の保存が必要です1。

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    1. 仕入税額控除に必要な帳簿と請求書等の保存

    帳簿と請求書等がそろって初めて認められる控除

    課税事業者になると、仕入れにかかった消費税を差し引ける仕入税額控除という仕組みと向き合うことになります。

    実際に必要なのは、区分経理に対応した帳簿と、取引の事実を証する請求書等の両方を保存することです1。帳簿だけを整えても、請求書等だけを残しても、この要件は満たせません。

    ここでいう請求書等には、適格請求書や適格簡易請求書のほか、仕入明細書等やその電磁的記録も含まれます1。

    対象となる事業者と免税事業者の扱い

    この保存のルールは、消費税を納める事業者を対象にしたものです。免税事業者は、この取扱いの対象から除かれます1。

    つまり、帳簿と請求書等の保存を考える前に、自分が課税事業者かどうかを確かめておくことが出発点になります。

    保存する2種類の書類と、それぞれの中身は次のとおりです。

    保存するもの中身
    帳簿区分経理に対応した帳簿
    請求書等適格請求書・適格簡易請求書・仕入明細書等・電磁的記録

    2. 帳簿の区分経理と4つの記載事項

    軽減税率と標準税率の区分経理

    消費税には、軽減税率(8パーセント)と標準税率(10パーセント)の2つの税率があります2。同じ帳簿の中に、税率の異なる取引が混在することになります。

    そのため、取引を税率ごとに区分して記帳するなど、区分経理と呼ばれる経理の仕方が必要です2。

    帳簿に書く4つの事項

    帳簿には、税率の区分に加えて、記載する事項が定められています。相手方の氏名または名称、取引を行った年月日、資産または役務の内容、支払対価の額の4つです2。

    この4つがそろっていない帳簿は、仕入税額控除の要件を満たしません。

    図1:帳簿に書く4つの事項
    1 相手方の氏名または名称 2 取引を行った年月日 3 資産または役務の内容 4 支払対価の額

    出典:国税庁「仕入税額控除のために保存する帳簿および請求書等の記載事項」をもとに作成

    3. 帳簿と請求書等の保存期間7年

    保存の起点は、課税期間の末日の翌日から2か月後

    実務でつまずきやすいのが、保存の起点です。帳簿と請求書等の保存は、作成した日からではなく、課税期間の末日の翌日から2か月を経過した日を起点に数えます1。

    そこから7年間、保存を続ける必要があります1。申告が終わったからといって、その場で処分してよいものではありません。

    6年目と7年目はどちらか一方の保存

    保存期間の後半、6年目と7年目については、帳簿と請求書等のいずれか一方を保存していれば足ります1。両方をそろえ続ける必要があるのは、5年目までです。

    図2:保存の期間の流れ
    課税期間の末日の 翌日から2か月後 7年間保存 6年目と7年目は どちらか一方

    出典:国税庁「仕入税額控除をするための帳簿及び請求書等の保存」をもとに作成

    4. 帳簿のみで認められる3万円未満の電車・バス代や自販機

    請求書等を受け取れない支払いの帳簿のみの保存

    とはいえ、支払いの相手から請求書等を受け取れない支払いもあります。電車やバスの運賃、自動販売機での支払いがその例です。

    3万円未満の公共交通機関による旅客の運送は、適格請求書を交付する義務そのものが免除されています。一定の事項を記載した帳簿のみの保存で、仕入税額控除が認められます1。

    入場券等のように、使用の際に回収されてしまう券も対象です。適格簡易請求書の記載事項が記載された入場券等は、3万円未満の公共交通機関の運送にあたるものを除いて、帳簿のみの保存で足ります1。

    自動販売機や自動サービス機からの購入も同じ扱いです。3万円未満であれば、帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められます1。

    郵便ポストに差し出す郵便や貨物サービスも対象です。郵便切手類のみを対価とする場合に限り、帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められます1。

    帳簿のみを保存するときに書き足す事項

    そのため、帳簿のみの保存が認められる仕入れについて帳簿のみを保存する場合は、通常の記載事項に加えて書く事項があります2。帳簿のみの保存が認められるいずれかの仕入れに当たる旨と、仕入れの相手方の住所または所在地です2。

    ただし、一定の課税仕入れでは、住所または所在地の記載が不要になります2。自分の取引がどちらにあたるかは、個別に確かめます。

    4つの取引と条件は、次のとおりです。

    取引条件
    公共交通機関による旅客の運送3万円未満
    入場券等(使用の際に回収されるもの)3万円未満の公共交通機関の運送にあたるものを除く
    自動販売機・自動サービス機からの購入3万円未満
    郵便切手類のみを対価とする郵便・貨物サービス郵便ポストに差し出したもの

    5. 税込1万円未満の仕入れの少額特例

    事業の規模と期間で決まる少額特例

    帳簿のみで足りる範囲は、支払いの性質だけで決まるわけではありません。仕入れの金額そのものが少額なときにも、同じように帳簿のみで済む仕組みがあります。

    基準期間の課税売上高が1億円以下、または特定期間の課税売上高が5,000万円以下の事業者は、少額特例の対象です1。税込1万円未満の課税仕入れについて、一定の事項を記載した帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められます1。

    この扱いが対象とするのは、令和5年10月1日から令和11年9月30日までに行った課税仕入れです1。期限が区切られている点は、覚えておきます。

    前の節の4つの取引は支払いの性質で帳簿のみが認められましたが、ここでの扱いは事業の規模と仕入れの金額で決まる点が異なります。

    少額特例の3つの条件

    次の図で、少額特例が働く3つの条件をひと目で確かめられるようにしました。3つがそろって初めて、帳簿のみの保存で足ります。

    図3:少額特例が働く3つの条件
    1つ目の条件 基準期間の課税売上高1億円以下など 2つ目の条件 令和11年9月30日までの課税仕入れ 3つ目の条件 税込1万円未満の課税仕入れ

    出典:国税庁「仕入税額控除をするための帳簿及び請求書等の保存」をもとに作成

    6. カードの利用明細の扱いと公表サイトでの登録番号の確認

    請求書等に当たらないクレジットカードの利用明細書

    経費の支払いをカードで済ませると、利用明細に金額も日付も残るので、それで足りるように見えてきます。ネットで購入した機材の代金も、明細を開けば取引の内容が分かります。

    ただし、クレジットカードの利用明細書は、一般的にインボイスの記載事項を満たす書類には当たりません。明細の保存だけでは、仕入税額控除は認められません3。

    控除に使えるのは、購入先が発行する適格請求書や適格簡易請求書です。

    インボイス公表サイトでの登録番号の確認

    受け取った請求書等が正しいインボイスかどうかは、記載された登録番号で見分けます。ここで役立つのが、国税庁のインボイス公表サイトです。

    公表サイトは、受け取った請求書等の番号が、取引の時点で有効な登録番号かどうかを確かめるためのものです。有効性が確かめられれば、一義的には正しいインボイスとして扱えます3。

    7. 経費の消費税を控除する前に確かめる3点

    帳簿と請求書等の両方の有無

    申告前に確かめるのは3点です。1つ目は、帳簿と請求書等の両方が手元にそろっているかです1。

    領収書やレシートを保管していても、区分経理に対応した帳簿が伴っていなければ、この要件は満たせません。逆に帳簿だけを整えていても、請求書等が欠けていれば同じです。

    帳簿のみで認められる取引かどうか

    2つ目は、帳簿のみで足りる取引に当たるかどうかです。3万円未満の公共交通機関や自動販売機、郵便ポストに差し出した郵便切手による支払いは、帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められます1。

    税込1万円未満の仕入れも、基準期間の課税売上高1億円以下などの条件を満たす事業者であれば、同じように帳簿のみで足ります1。自分の事業がこの条件に当てはまるかを、先に確かめます。

    カード払いの利用明細以外の書類

    3つ目は、クレジットカードで払った経費について、利用明細以外の書類が手元にあるかです。利用明細書だけでは、仕入税額控除の要件を満たしません3。

    購入先から受け取る領収書やレシートが、適格請求書や適格簡易請求書に当たるかどうかを、その都度確かめておく必要があります。

    確かめること内容
    帳簿と請求書等の両方があるか区分経理に対応した帳簿と、適格請求書・適格簡易請求書等の両方を保存
    帳簿のみで認められる取引か3万円未満の公共交通機関・自動販売機、郵便切手による郵便、税込1万円未満の仕入れ
    カード払いは利用明細以外の書類があるか購入先が発行する適格請求書・適格簡易請求書などの書類

    3つの確かめ方には、順番があります。

    図4:経費の消費税を控除する前に確かめる順番
    帳簿と請求書等の両方があるか 帳簿のみで認められる取引か カード払いは利用明細以外の書類があるか

    図の作成:Remogu編集部。この記事の保存のルールを確かめる順番として整理したもので、統計データではありません

    たとえば、申告に向けて経費の領収書を整理していたときのように、電車代の記録が見当たらなかったり、カードの利用明細しか手元になかったりする支払いは、事業を続けるかぎり何度も出てきます。

    仕入税額控除には、帳簿と請求書等の両方の保存が必要です1。帳簿のみで認められる取引かを確かめ、カードで払ったものは購入時の領収書などを残します3。

    8. よくある質問

    クレジットカードの利用明細だけで、仕入税額控除を受けられますか

    クレジットカード利用明細書は、一般的にインボイスの記載事項を満たす書類に当たらないため、その保存だけでは仕入税額控除はできません3。

    電車代は、請求書等が無くても控除できますか

    適格請求書の交付義務が免除される税込価額3万円未満の公共交通機関による旅客の運送は、一定の事項を記載した帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められます1。帳簿には、帳簿のみの保存が認められる仕入れに当たる旨などを書き足します2。

    帳簿と請求書等は、何年保存しますか

    課税期間の末日の翌日から2か月を経過した日から7年間保存します。6年目と7年目は、いずれか一方を保存すれば足ります1。

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    ※公開中の案件数は時期によって変わります。記事中の案件の傾向は執筆時点のものです。

    出典・参考情報

    *1 国税庁「仕入税額控除をするための帳簿及び請求書等の保存」タックスアンサー(令和8年4月1日現在法令等)(2026年4月1日・2026年9月確認)
    *2 国税庁「仕入税額控除のために保存する帳簿および請求書等の記載事項」タックスアンサー(令和8年4月1日現在法令等)(2026年4月1日・2026年9月確認)
    *3 国税庁「インボイス制度(応用編)」国税庁 軽減税率・インボイス制度対応室の説明資料(令和8年5月)(2026年5月・2026年9月確認)