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    フリーランスエンジニアの2割特例はいつまで?令和8年分で終わる期限と3割特例の条件

    監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

    「2割特例のあと」を示す図です。2割特例/3割特例を並べています。強調しているのは3割特例です。令和9年分からと添えています。

    📘 この記事でわかること

    • 2割特例は納める消費税を売上げの消費税額の2割にする特例であることと、個人が使えるのは令和8年分の申告までであること
    • 対象になるのはインボイスの登録で課税事業者になった人であることと、基準期間の課税売上高が1千万円を超える年は対象から外れること
    • 令和8年分の申告を最後に、その先の年にも個人が使える特例が用意されていることと、使えるかどうかには基準期間の課税売上高の要件があること

    インボイスの登録を済ませてから、消費税の申告は毎回2割特例で済ませてきました。令和8年分の申告の準備を始めたところ、2割特例は令和8年分までだと分かりました。次の年からどう申告すればよいのか、その場では判断がつきませんでした。個人事業者には、2割特例のあとに使える特例が用意されています。

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    1. 2割特例は、納める消費税を売上げの消費税額の2割にする特例です

    2割特例は、インボイスの登録をきっかけに免税事業者から課税事業者になった事業者が、消費税の申告で使える措置です1。国税庁はこれを、小規模な事業者向けの負担を軽くする措置として案内しています1。

    仕入税額控除を、売上げの消費税額の100分の80にできます

    2割特例では、仕入税額控除の金額を、売上げに係る消費税額の100分の80に相当する金額にできます1。差し引ける金額がこの割合で決まるため、納める消費税は売上げに係る消費税額の2割になります1。

    2割特例で変わるのは、仕入税額控除の金額の求め方です1。

    対象・中身・期間・手続きを一覧にしました

    2割特例の要点を、次の表にまとめます。使える期間と手続きは、このあとの節で順に確かめます。

    項目内容
    対象インボイスの登録によって、免税事業者から課税事業者になった事業者1
    中身仕入税額控除の金額を、売上げに係る消費税額の100分の80にできる点1
    使える期間令和5年10月1日から令和8年9月30日までの日の属する各課税期間4
    手続き事前の届出は不要。確定申告書に2割特例の適用を受ける旨を付記する5

    対象になるかどうかは、基準期間の課税売上高によって年ごとに変わりうるため、申告のたびに確かめます2。

    ここまでが、2割特例そのものの中身です。次に、実際に対象になるのはどのような事業者なのかを、条件ごとに確認します。

    2. 対象は、インボイスの登録で免税事業者から課税事業者になった人です

    2割特例の対象になるのは、インボイスの登録によって免税事業者から課税事業者になった事業者です1。登録とは関係なく、もともと別の理由で課税事業者になっているなら、対象に含まれません2。ここから、対象になるかどうかを分ける条件を、順番に確かめます。

    基準期間の課税売上高が1千万円を超えると対象から外れます

    基準期間とは、個人事業者の場合はその年の前々年を指します3。この基準期間の課税売上高が1千万円を超える年は、インボイスの登録をしているかどうかにかかわらず課税事業者になるため、2割特例の対象外です2。

    基準期間は前々年なので3、その年の課税売上高を待たなくても、前々年の実績で1千万円の線を確かめられます。

    課税期間を短くする特例を受けているときも対象外です

    基準期間の課税売上高が1千万円以下であっても、課税期間を1か月または3か月に短縮する特例の適用を受けているときは、2割特例の対象になりません2。

    ここまでの条件を順番に並べると、対象になるかどうかの分かれ道が見えてきます。次の図で、確認する順番を整理します。

    図1:対象になるかの分かれ道
    対象になるかの分かれ道 インボイスの登録で 課税事業者になったか はい いいえ 対象外 登録以外の理由で 課税事業者になった場合 基準期間の課税売上高が 1千万円以下か はい いいえ 対象外 1千万円を超える 場合など 2割特例の対象

    図の作成:Remogu編集部。国税庁の資料をもとに、2割特例の対象になるかどうかの確認の流れを整理したもので、統計データではありません。

    対象になるかどうかが分かったところで、次は2割特例をいつまで使えるのかを確認します。

    3. 個人は、令和8年分の申告が最後です

    2割特例は、いつまでも使える措置ではありません。国税庁の資料は、適用できる期間を「令和5年10月1日から令和8年9月30日までの日の属する各課税期間」としています4。ここでは、この期間が個人事業者にとって具体的にどの申告までを指すのかを確かめます。

    令和5年10月1日に登録したなら、令和8年分までの計4回が対象です

    免税事業者だった個人事業者が令和5年10月1日から登録を受けた場合を例にします。令和5年分(10月から12月分)の申告から令和8年分の申告までの計4回の申告が、2割特例の適用対象です7。

    この計4回のうち、最後にあたるのは令和8年分の申告です。個人事業者が2割特例を使えるのは、令和8年分の申告までです7。

    ただし、対象になる期間の中でも、条件を満たさない年はあります。基準期間の課税売上高が1千万円を超える年があれば、その年は2割特例の対象から外れます2。令和8年分までという期間の区切りとあわせて、年ごとの基準期間の課税売上高も確かめます。

    対象になる申告を、年ごとに並べました

    令和5年10月1日に登録した個人事業者を例に、2割特例の対象になる申告を一覧にしました。最初の申告は令和5年分(10月から12月分)で、そこから令和8年分まで、あわせて4回の申告が対象です7。今回の申告が何回目にあたるかを確かめる目安にしてください。

    申告2割特例の対象
    令和5年分(10月から12月分)対象(1回目)
    令和6年分対象(2回目)
    令和7年分対象(3回目)
    令和8年分対象(4回目・最後の申告)

    この並びのとおり、2割特例の対象になる申告は、令和8年分が最後です7。次の節では、この期間の間にどのような手続きが要るのかを確かめます。

    4. 届出は要らず、申告書に付記して使います

    次に、2割特例を使うための手続きを確認します。期限が近づく令和8年分の申告を前に、事前に何かを提出しておく必要はあるのでしょうか。

    事前の届出は不要で、確定申告書に付記するだけです

    2割特例の適用を受けるために、事前の届出は必要ありません。消費税の確定申告書に、2割特例の適用を受ける旨を付記することで、適用を受けられます5。

    前もって出す書類はないので、2割特例を使うかどうかは、申告のときに決められます5。

    課税期間ごとに、2割特例を使うかどうかを選べます

    2割特例を適用して申告した翌課税期間も、続けて適用しなければならないという制限はありません。課税期間ごとに、2割特例を適用して申告するかどうかを判断できます6。

    2割特例は、一般課税と簡易課税のどちらを選んでいる場合でも使えます8。簡易課税制度の適用を受けるための届出書を出していても、申告の際に2割特例を適用できます8。

    ここまでで、手続きの中身が分かりました。申告のたびにどちらを選ぶか、その関係を図に整理します。

    図2:申告のたびに、2割特例か一般課税・簡易課税かを選ぶ関係
    申告のたびに選ぶ その課税期間の 消費税の申告 2割特例を選ぶ 申告書に付記して 適用を受ける 一般課税・簡易課税 で計算して 申告する 次の課税期間の申告でも、同じように選べます

    図の作成:Remogu編集部。国税庁の資料をもとに、申告のたびに2割特例を選べる関係を整理したもので、統計データではありません。

    令和8年分の申告までは、こうして申告のたびに選べます。では、令和9年分からの申告はどうなるのでしょうか。

    5. 令和9年分・令和10年分は、3割特例があります

    令和8年分の申告までは、2割特例を使うかどうかを申告のたびに選べます。では、令和9年分からの申告はどうなるのか、気になるところです。冒頭で触れた「2割特例のあとに使える特例」として、2割特例とは別の特例が、令和9年分と令和10年分の申告に向けて用意されています9。

    令和9年分・令和10年分は、納付税額を売上税額の3割にできます

    インボイスの登録をきっかけに免税事業者から課税事業者になった個人事業者は、令和9年分と令和10年分の消費税の確定申告で、納付税額を売上税額の3割にできます9。この特例は、令和8年度税制改正で新たに設けられました9。

    3割特例は、2割特例とは別の特例で、対象は個人事業者です9。2割特例の条件をそのまま当てはめずに、3割特例の要件を確かめます。

    要件は、個人事業者であることと基準期間の課税売上高です

    3割特例の主な要件は3つです。個人事業者であること、基準期間の課税売上高が1000万円以下であること、インボイス発行事業者の登録を受けていることです10。2割特例のときと同じく、登録を受けているかどうかがまず前提になります。

    基準期間は、適用を受ける年の2年前を指します10。令和9年分の申告なら令和7年、令和10年分の申告なら令和8年の課税売上高が、1000万円以下かどうかで、この要件に当てはまるかが決まります10。前々年を基準にする考え方は、2割特例のときの基準期間と同じです。

    令和9年分の基準期間にあたる令和7年の課税売上高は、すでに確定しています。令和8年分の申告を待たなくても、令和9年分が課税売上高の要件に当てはまるかどうかは、いまの時点で確かめられます10。

    ここまでの年の並びを、令和5年分から令和10年分までの図で整理します。

    図3:令和5年分から令和10年分までの、2割特例と3割特例の対象年
    2割特例と3割特例の対象になる年 令和5年分から令和8年分は2割特例の対象です 令和5年分 令和6年分 令和7年分 令和8年分 令和9年分・令和10年分は3割特例の対象です 令和9年分 令和10年分

    図の作成:Remogu編集部。国税庁の資料をもとに、2割特例と3割特例の対象になる年を整理したもので、統計データではありません。

    つまり、令和8年分の申告で2割特例が終わっても、消費税の申告そのものが終わるわけではありません。要件に当てはまる人は、令和9年分・令和10年分も3割特例を使えます9。登録を受けた個人事業者なら、使えるかどうかは基準期間の課税売上高で分かれます10。

    6. 簡易課税に切り替えるときは、届出の期限が変わります

    2割特例や3割特例を使ってきた個人事業者が、その先の課税期間から簡易課税制度への切り替えを考える場面もあります。簡易課税制度の適用を受けるには、消費税簡易課税制度選択届出書を期限までに提出する必要があります11。この届出の期限は、2割特例・3割特例を受けた翌課税期間から切り替える場合、原則とは異なります11。

    原則の期限は、課税期間の初日の前日までです

    簡易課税制度の適用を受けるための原則の期限は、適用を受けようとする課税期間の初日の前日までです11。切り替えたい課税期間が決まったら、その課税期間が始まる前に届出書を出しておく必要があります。

    2割特例・3割特例のあとに切り替えるなら、申告期限までで済みます

    2割特例・3割特例の適用を受けた翌課税期間から簡易課税制度に切り替える場合は、原則より遅く、その課税期間の申告期限までに届出書を出せば済みます11。原則の期限がすでに過ぎている時期でも、この扱いなら届出が間に合います。

    たとえば、令和8年分で2割特例を受けた個人事業者が、令和9年分から簡易課税制度にするなら、令和9年分の申告期限までに届出書を出せば、令和9年分から適用を受けられます11。

    なお、2割特例を受けた課税期間の翌課税期間が令和8年9月30日以前に終わる場合は、期限がその課税期間の末日までになります11。

    簡易課税制度は、選んだら原則として2年間は続けて適用します12。1年だけを見て判断するのではなく、2年分の見通しをもとに考える場面です。

    ここまでで、2割特例が終わったあとの流れが見えてきました。次に、令和8年分の申告の前に確かめることを整理します。

    7. 令和8年分の申告の前に、3つを確かめます

    令和8年分は、個人事業者が2割特例を使える最後の申告です7。その申告の前に、確かめておきたいことが3つあります。

    確かめる3つを一覧にしました

    1つ目は、インボイスの登録によって、免税事業者から課税事業者になったかどうかです1。2つ目は基準期間の課税売上高です。個人事業者の基準期間は、その年の前々年です3。令和9年分なら令和7年、令和10年分なら令和8年の課税売上高が、1000万円以下かどうかを確かめます10。

    3つ目は、簡易課税制度への切り替えです。切り替えるかどうかを考えているなら、届出書を出す期限をあわせて確かめます11。

    確かめること見る内容
    登録の状況インボイスの登録で、免税事業者から課税事業者になったか1
    基準期間の課税売上高令和9年分なら令和7年、令和10年分なら令和8年の課税売上高が、1000万円以下か10
    簡易課税への切り替え切り替えるなら、届出書を出す期限11

    確かめる順番を3段階に整理しました

    3つは、次の順番で確かめます。

    図4:令和8年分の申告を前に確かめる3つの順番
    確かめる順番 1. インボイスの登録で課税事業者に なったか 2. 基準期間の課税売上高が 1000万円以下か 3. 簡易課税に切り替えるなら 届出の期限を確かめる

    図の作成:Remogu編集部。国税庁の資料をもとに、令和8年分の申告を前に確かめる3つの順番を整理したもので、統計データではありません

    ここまでで、確かめる3つがそろいました。ここからは、この3つに関わる問いを取り上げます。

    基準期間の課税売上高が1000万円を超えていたら、3割特例は使えませんか

    3割特例の要件の1つが、基準期間の課税売上高が1000万円以下であることです10。超えている年は、この要件に当てはまりません。

    インボイスの登録をしていない場合も、3割特例の対象になりますか

    3割特例の要件の1つが、インボイス発行事業者の登録を受けていることです10。登録をしていなければ、この要件は満たせません。

    簡易課税に切り替える届出は、2割特例を使っている間に出しておく必要がありますか

    届出の期限は、原則は切り替えたい課税期間の初日の前日までです11。2割特例・3割特例を受けた翌課税期間から切り替える場合は、その課税期間の申告期限までに出せば済みます11。

    冒頭で触れたとおり、個人事業者には2割特例のあとに使える特例が用意されています。令和9年分・令和10年分の3割特例です9。

    3割特例の主な要件は、個人事業者であること、基準期間の課税売上高が1000万円以下であること、インボイス発行事業者の登録を受けていることです10。

    インボイスの登録をきっかけに始まった消費税の申告は、2割特例が終わっても続きます。2割特例は令和8年分の申告で終わりますが、個人事業者には令和9年分・令和10年分の3割特例があります。登録を受けた個人事業者なら、使えるかどうかは、基準期間の課税売上高で決まります。

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    ※公開中の案件数は時期によって変わります。記事中の案件の傾向は執筆時点のものです。

    出典・参考情報

    *1 国税庁「2割特例(インボイス発行事業者となる小規模事業者に対する負担軽減措置)の概要」(2026年4月・2026年9月確認)
    *2 国税庁「2割特例(インボイス発行事業者となる小規模事業者に対する負担軽減措置)の概要」(2026年4月・2026年9月確認)
    *3 国税庁「2割特例(インボイス発行事業者となる小規模事業者に対する負担軽減措置)の概要」(2026年4月・2026年9月確認)
    *4 国税庁「2割特例(インボイス発行事業者となる小規模事業者に対する負担軽減措置)の概要」(2026年4月・2026年9月確認)
    *5 国税庁「2割特例(インボイス発行事業者となる小規模事業者に対する負担軽減措置)の概要」(2026年4月・2026年9月確認)
    *6 国税庁「2割特例(インボイス発行事業者となる小規模事業者に対する負担軽減措置)の概要」(2026年4月・2026年9月確認)
    *7 国税庁「2割特例(インボイス発行事業者となる小規模事業者に対する負担軽減措置)の概要」(2026年4月・2026年9月確認)
    *8 国税庁「2割特例(インボイス発行事業者となる小規模事業者に対する負担軽減措置)の概要」(2026年4月・2026年9月確認)
    *9 国税庁「令和8年度税制改正特集」(2026年4月・2026年9月確認)
    *10 国税庁「令和8年度税制改正特集」(2026年4月・2026年9月確認)
    *11 国税庁「令和8年度税制改正特集」(2026年4月・2026年9月確認)
    *12 国税庁「令和8年度税制改正特集」(2026年4月・2026年9月確認)