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    【Scala】データ基盤に残る理由|選ばれにくさと、それでも要る場所の見極め

    監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

    「データ基盤で残る理由」を示す図です。広く選ばれる技術/厳しい要求のある場所を並べています。強調しているのは厳しい要求のある場所です。ここで要ると添えています。

    📘 この記事でわかること

    • データマネジメントの土台は整いつつあることと、専門的な技術ほど選ばれにくいという分かれ目があること
    • つなぎ目をそろえる意識は作る側で高いことと、境界を意識した設計に取り組む企業がまだ少ないこと
    • データ活用の方針づくりが遅れている現場ほど外部への依頼が生まれやすいことと、構成管理ツールの浸透はまだ限定的なこと

    Scalaでの開発を積み重ねてきても、案件の話題はPythonやGoに集まりがちです。国内企業のデータ活用は土台の部分こそ進み始めていますが、専門性の高い技術ほど選ばれにくいという分かれ目が生まれています。広さで比べれば不利に見える経験も、つなぎ目の厳しい現場では強みに変わります。次の案件を選ぶときの見極め方を、出典に沿って整理します。

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    1. データの土台は整いはじめている

    半数まで動き出したデータ利活用

    「データを使いこなせているか」という問いに、はっきり首を縦に振れる企業ばかりではありません。ただし、まったく手つかずというわけでもなくなってきました。データの利活用に着手している企業は、全体の約半数に達しています8。整備の入口には、すでに多くの現場がたどり着いています。

    半数という数字は、裏を返せば残り半数がまだ着手していないことも示しています。土台づくりは進行中の段階であり、案件によって成熟度の差が大きいのが実情です。次に参画する現場がどちらの側にいるかで、求められる役割の重さも変わってきます。

    案件を選ぶときは、この「着手済みか、これからか」という段階を見極める視点が役立ちます。整備が進んだ現場では運用や拡張が中心になり、これから着手する現場では土台づくりそのものに関われる余地が残っています。

    施策全体でみる整備の現在地

    利活用への着手だけでなく、データマネジメントに関わる施策全体を見ても近い水準です。整備が済んでいる状態や整備中、検討段階にある企業を合わせると、全体の半数程度にのぼります1

    この数字は「進んでいる」と「これから」がおおよそ半々であることを示しています。特定の技術が一気に広がる段階ではなく、現場ごとに足並みをそろえている途中だと捉えるのが実態に近い読み方です。

    次の案件選びでは、この半々の状況を前提に置くと見え方が変わります。整備がこれからの現場では、方針づくりに近い位置で関わる機会が生まれやすく、経験を積み上げる場としても選択肢になります。

    2. 専門的な技術は選ばれにくい

    グラフデータベースは名前ほど広がっていない

    データ基盤の話題では、グラフデータベースの名前を耳にする機会が増えました。ただし実際の普及状況を見ると、全体としては導入が進んでおらず、依然として普及は限定的です2

    話題性と導入状況の間には、まだ距離があります。関心を持つ現場は増えていても、実際に基盤として組み込むところまで踏み切る企業は少数派です。案件の数として見ても、専門的な技術ほど手薄になりやすい領域です。

    この距離を理解しておくと、専門性の高い技術だけを頼りに案件の広がりを期待するのは危うい選び方だと分かります。広さで勝負するなら、より普及した領域に軸足を置く必要があります。

    SBOMやシミュレーションも同じ足踏み

    グラフデータベースに限らず、SBOMやシミュレーションといった技術についても、導入は限定的だという傾向は共通しています3

    これらの技術は、それぞれ別の目的を持つ道具でありながら、いずれも「まだ広がっていない」という点で足並みがそろっています。専門性の高い技術が一様に伸び悩んでいる構図が、調査からは見えてきます。

    案件を選ぶ立場からすると、こうした技術に強みを持つこと自体は価値がありますが、それだけで案件の量を確保しようとするのは現実的ではありません。広さでは測れない価値の置き場所を、別に見つける必要があります。

    土台の広がりと専門技術の重さを並べて見る

    ここまでの数字を並べると、土台に近い施策と専門性の高い技術とで、進み方に差があることが見えてきます。半数前後まで動いている領域と、限定的にとどまる領域を、同じ表で比べてみます。

    領域状況
    データマネジメント関連の施策全体整備済・整備中・検討段階を含め全体の半数程度1
    データ利活用への着手着手している企業は約半数8
    グラフデータベース全体としては導入が進まず、普及は限定的2
    SBOMやシミュレーション導入は限定的3
    図1:土台は進むのに専門的な道具が選ばれない状態
    土台は進むのに専門的な道具が選ばれない状態 土台に近い施策 データ利活用は 約半数まで 進んでいます 専門的な道具 グラフDBや SBOMは 導入が限定的です

    図の作成:Remogu編集部。IPAの調査をもとに進み方の違いを整理したもので、統計データではありません

    表を見ると、土台に近い施策ほど半数前後まで動いており、専門性の高い技術ほど足踏みしていることが分かります。案件の広さを求めるなら土台側、専門性で勝負するなら限定的な領域という、進み方の違いをまず押さえておくと選び方が整理しやすくなります。

    3. モデリングへの重視度は低い

    重視されにくいモデリングとシミュレーション

    データ基盤の設計では、モデリングやシミュレーションといった検討の重視度が低い傾向にあります7

    重視度が低いというのは、優先順位の中でどうしても後回しにされやすいという意味です。基盤を動かすことそのものに比べると、構造をどう設計するかという議論に時間を割く余裕が持ちにくい現場が多いという実情が見えます。

    この傾向は、逆に言えばモデリングを丁寧に扱える経験がそのまま希少性につながることも示しています。重視されにくい領域だからこそ、そこに強みを持つ経験は埋もれにくくなります。

    後回しにされる領域だからこそ生まれる余地

    重視度が低い領域は、案件の数としては目立ちません。しかし、モデリングの設計判断を任せられる人材が現場に少ないという裏返しでもあります。

    次の案件を選ぶ立場から見ると、モデリングの経験を持つことは、目立たない領域だからこそ差別化の材料になり得ます。派手さはなくても、構造の整理を任せられる存在は現場にとって貴重です。

    一方で、モデリングだけに頼った案件選びは対象が狭くなりがちです。土台づくりや専門技術の話題ともあわせて、自分の経験がどの位置で活きるかを都度見極める姿勢が欠かせません。

    4. それでも要る場所——つなぎ目の厳しさ

    作る側で高まるAPIとデータ形式への意識

    専門的な技術が広がりにくい一方で、つなぎ目の整え方には根強い需要があります。APIの活用や標準的なデータの形式をそろえることは、作る側を中心に意識が高い状態です4

    つなぎ目の質は、基盤の外からは見えにくい部分です。しかし、複数のシステムをまたいでデータをやり取りする場面では、この意識の高さがそのまま品質の差になります。

    案件の会話の中でも、つなぎ目の設計に関する要求は具体的になりやすい領域です。抽象的な技術力よりも、実際に動く形式をそろえられるかどうかが問われます。

    クラウドとAPI導入は比較的進んでいる

    クラウドやAPIの導入についても、作る側を中心に比較的進んでいます5

    この進み具合は、つなぎ目を整える土台がすでに一定水準まで整っていることを意味します。土台が整っている分、そこから先の厳しい要求に応えられるかどうかが、案件選びの分かれ目になります。

    つなぎ目の厳しさに応えられる経験は、専門技術の広さでは測れない価値を持ちます。広く浅く合わせるだけでなく、厳しい要求のある現場で経験を積んできたことが、次の案件選びで効いてきます。

    意識の高まりと、これからの見極め方

    APIの活用やデータ形式への意識、クラウドの導入状況を並べると、つなぎ目まわりでは着実に土台が整ってきていることが分かります。ここまでの内容を表で整理します。

    観点状況
    APIの活用と標準的なデータ形式作る側を中心に意識が高い状態4
    クラウドやAPIの導入作る側を中心に比較的進んでいる5
    つなぎ目の設計判断案件によって求められる水準が分かれます

    表からは、つなぎ目に関わる意識と導入の両方が、作る側を中心に一定の水準まで進んでいることが読み取れます。次の案件を選ぶときは、この土台の上でどこまで厳しい要求に応えられるかを、自分の経験に照らして考える材料になります。

    図2:つなぎ目をそろえる意識の高さ
    つなぎ目をそろえる意識の高さ APIの活用や 標準データ形式へ 意識が高い状態 クラウドや API導入は 比較的進行 つなぎ目の質が 問われる領域です

    図の作成:Remogu編集部。IPAの調査をもとに整理したもので、統計データではありません

    図3:広く選ばれる技術と、厳しい要求のある場所の関係
    広く選ばれる技術と、厳しい要求のある場所の関係 重視される度合い 普及の広さ 厳しい要求の場所 つなぎ目を問う開発 案件が残ります クラウドと連携 APIが広く普及 進んでいます グラフDB等 普及は限定的です モデリング等 重視度が低い状態

    図の作成:Remogu編集部。IPAの調査をもとに整理したもので、統計データではありません

    5. 境界が引かれていない現場

    モジュール性やデータモデルへの意識はまだ少ない

    つなぎ目の整え方には意識が向いていても、内部の構造まで踏み込めているとは限りません。モジュール性やデータモデルを意識した設計に取り組む企業は、依然として少ない状態です6

    特に利用する側の企業でこの傾向は強く表れています。外部とのやり取りは整えても、内部の境界線をどう引くかという設計判断まで手が回っていない現場も見られます。

    境界が引かれていない現場では、後から手を入れる範囲が広がりやすくなります。設計の初期段階で構造を整理できる経験は、こうした現場でこそ求められます。

    境界を引く経験が生きる場面

    モジュール性を意識した設計は、地味に見えても後々の変更のしやすさを左右します。境界があいまいなまま積み上がった基盤は、どこか一箇所を直すつもりが広い範囲に影響することもあります。

    次の案件を選ぶ立場からすると、境界を引く判断に関わってきた経験は、意識の低い現場ほど重宝されます。派手な専門技術よりも、地道な整理を任せられるかどうかが評価の分かれ目になります。

    境界の設計に強みを持つことは、専門的な技術の普及度合いに左右されない、自分の立ち位置を作る材料になります。

    6. 方針の遅れが仕事を生む

    方針が定まらないことで起きる遅れ

    データ利活用に関する方針をはっきりさせている企業は多くなく、対応の遅れが目立ちます9

    方針が定まっていないと、都度の判断が積み重なり、同じような検討を繰り返す場面が増えます。この遅れは、外部に相談したり依頼したりする機会をむしろ生み出す側面もあります。

    案件選びの視点で見ると、方針が固まっていない現場ほど、整理役としての関わり方が求められやすくなります。仕事の入り口は、整った現場よりもむしろこうした遅れの中にあることが多いのが実情です。

    遅れている現場と、整っている現場の違い

    方針が明確な現場では、変更の影響範囲を追いやすく、依頼する内容も具体的に切り分けられています。関わる側にとっては、役割がはっきりしている分、動きやすさがあります。

    一方、方針の整理が遅れている現場では、判断のたびに前提を確認し直す手間が発生しやすく、外部の視点を借りたいという動機が生まれやすくなります。どちらの現場に関わるかで、求められる役割の重さは変わってきます。

    方針の状態で変わる関わり方を整理する

    方針が定まっている現場と、整理が遅れている現場とでは、日々の進め方や依頼の生まれ方に違いがあります。ここまでの内容を、状態ごとに整理します。

    状態現場で起きやすいこと
    方針が定まっている変更の影響を追いやすく、依頼の切り分けも明確です
    方針の整理が遅れている対応の遅れが目立ち9、都度の判断が積み重なって、外部への依頼が生まれやすくなります

    表からは、方針の状態そのものが、案件の生まれ方に直結していることが見えてきます。整った現場だけでなく、遅れている現場にも、次の一歩を見つける材料があります。

    7. 構成の把握という共通の課題

    構成管理ツールの導入はまだ限定的

    最後に、基盤全体の構成をどう把握しているかという点を見ておきます。構成管理のツールを導入している企業は、利用する側で約3割、作る側で約4割にとどまっています10

    3割・4割という水準は、構成の把握が仕組みとして定着しているとは言いにくい状態です。どこに何が置かれ、どう依存し合っているかを、人の記憶や個別の資料に頼っている現場が今も残っています。

    この状態は、これまで見てきた土台づくりの途中経過や、つなぎ目の意識の高まり、方針の遅れとも重なります。構成の把握という共通の課題が、基盤に関わるあらゆる場面の背景にあります。

    広さで選ぶか、深さで選ぶか

    ここまでの内容を通して見えてくるのは、専門的な技術の広がりだけを追いかけても、案件の数としては報われにくいという現実です。土台づくりの半ばにある現場、つなぎ目を厳しく問う現場、方針の整理が遅れている現場——それぞれに、広さとは違う形で経験の生きる場所があります。

    次の案件を選ぶときは、専門技術の普及度合いという広さの物差しだけでなく、つなぎ目や構成の把握といった深さの物差しも持っておくと、選べる案件の幅が変わってきます。案件の90%以上がフルリモート可能ですので、場所を問わずこうした現場に関わる道も開かれています。

    図4:広さで選ぶか深さで選ぶかの分かれ目
    広さで選ぶか深さで選ぶかの分かれ目 案件を選ぶとき 広さで選ぶ 専門技術と比較され 不利になりがち 深さで選ぶ 厳しい現場ほど 強みになります

    図の作成:Remogu編集部。ここまでの内容を整理したもので、統計データではありません

    Scalaの案件はこれからも残りますか

    つなぎ目の整え方や構成の把握といった、専門技術の広がりとは別の軸で評価される場面が残っている限り、Scalaに関わってきた経験が生きる案件はなくなりません。広さでは測れない厳しい要求のある現場に、経験を向けていく視点が大切です。

    専門的な技術の経験しかない場合は不利になりますか

    専門的な技術は全体としての普及が限定的なため2、その技術だけを軸に案件の数を求めると選択肢は狭くなりがちです。ただし、つなぎ目の設計や構成の把握といった周辺の経験を重ねておくことで、専門性を生かせる案件の幅を広げられます。

    次の案件を選ぶときに何を確認すればよいですか

    データ利活用や方針づくりがどこまで進んでいる現場かを確認すると、求められる役割の重さが見えてきます。整った現場か、整理が遅れている現場かで関わり方は変わりますので、面談の場で現状を尋ねておくと選びやすくなります。Remoguでは案件の90%以上がフルリモート可能ですので、まずは登録して自分の経験に合う条件を確かめてみるのも一つの道です。

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    ※公開中の案件数は時期によって変わります。記事中の案件の傾向は執筆時点のものです。

    出典・参考情報

    *1 IPA「2024年度ソフトウェア動向調査 簡易分析レポート」土台の整備(2025年4月)
    *2 IPA「2024年度ソフトウェア動向調査 簡易分析レポート」選ばれない技術(2025年4月)
    *3 IPA「2024年度ソフトウェア動向調査 簡易分析レポート」導入の限定(2025年4月)
    *4 IPA「2024年度ソフトウェア動向調査 簡易分析レポート」つなぎ目の意識(2025年4月)
    *5 IPA「2024年度ソフトウェア動向調査 簡易分析レポート」進んでいる領域(2025年4月)
    *6 IPA「2024年度ソフトウェア動向調査 簡易分析レポート」境界の不在(2025年4月)
    *7 IPA「2024年度ソフトウェア動向調査 簡易分析レポート」重視度の低さ(2025年4月)
    *8 IPA「2024年度ソフトウェア動向調査 簡易分析レポート」着手の広さ(2025年4月)
    *9 IPA「2024年度ソフトウェア動向調査 簡易分析レポート」方針の遅れ(2025年4月)
    *10 IPA「2024年度ソフトウェア動向調査 簡易分析レポート」構成の把握(2025年4月)