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    iOSの保守案件で年間の稼働をどう置くか|OS更新に追従する契約と確認の手順を解説

    監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

    「iOS保守の年間の山」を示す図です。予告/検証/対応/確認を並べています。強調しているのは検証です。ここに稼働が要ると添えています。

    📘 この記事でわかること

    • iOSアプリの利用がどれほど生活の土台になっているかという実態と、そこから生まれる毎年の保守作業の正体
    • 契約に保守の型が無いまま結ばれやすいことと、発注する側にも意思決定を担う責任者が整っていない事情
    • 品質を軸に評価される保守の実務と、稼働を数えて条件に置き換えるための具体的な手順の考え方

    iOSアプリの保守は、依頼を受けた瞬間から静かに時計が動き出します。壊れたところを直すだけでなく、更新に追いつく作業が一年のどこかで発生します。契約書には「保守」という一語しか書かれていないのに、実際の稼働はその一語の中身によって大きく変わります。この記事では、毎年やってくる仕事の正体と、稼働を条件に置き換える手順を整理します。

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    1. iOSの保守で毎年やってくる仕事

    スマートフォンは特別な機材ではなく生活の手元にある

    保守の話をする前に、まず利用の実態を押さえておきます。総務省の調査によれば、世帯でスマートフォンを保有している割合は90.5%にのぼり1、すでに例外的な機材ではなく生活の前提になっています。iOSを含むスマートフォンは、もはや「持っている人もいる道具」ではありません。

    個人単位で見ても、スマートフォンの保有割合は80.5%で、しかも増加傾向が続いています2。保守を依頼する側にとって、この数字が意味するのは「使う人が減る見込みは薄い」という前提です。作ったものを畳む方向の判断は、当面は起きにくいと考えられます。

    パソコンより先に手に取られる場所に立っている

    端末の比較でも傾向は明確です。スマートフォンの利用割合は、パソコンを27.6ポイント上回っています4。仕事の道具としてパソコンを開く前に、通知や連絡はスマートフォンに届きます。iOSアプリは、利用者が最初に触れる窓口の位置にあるということです。

    この位置に立っているからこそ、iOSアプリの保守は後回しにしてよい仕事にはなりにくくなります。利用者の手元で毎日動き続けている前提を踏まえると、保守側の稼働も一時的な対応ではなく、継続して見込んでおく性質のものになります。

    毎年の追従作業が発生する理由

    iOSの保守で毎年やってくる仕事の正体は、機能追加ではなく、更新に追いつくための作業です。保守を担う側は、そのつど動作の確認や調整を行う場面を避けて通れません。具体的な更新の時期や内容は案件によって異なるため、ここでは踏み込みません。

    大切なのは、この追従作業が起きるかもしれない例外対応ではなく、毎年やってくる前提の仕事だという認識です。次の章では、この前提がどれほど動かしがたい土台の上に立っているかを、利用データから見ていきます。

    受ける側の視点に立てば、この仕事は避けられない前提であると同時に、あらかじめ数えられる仕事でもあります。曖昧なまま抱え込むか、条件として言葉にしておくか、その選択が保守の負担を大きく左右します。

    図1:予告から確認までの区間と、稼働が要る場所
    予告から確認までの区間と、稼働が要る場所 予告を確認 動作を検証 必要な調整 稼働が集中する区間

    図の作成:Remogu編集部。追従作業の流れを整理したもので、統計データではありません

    図2:通常の改修と、更新への追従が重なる時期
    通常の改修と、更新への追従が重なる時期 通常の改修 更新への追従 重なる時期

    図の作成:Remogu編集部。作業が重なりやすい時期を整理したもので、統計データではありません

    2. 止められない土台になっている

    あらゆる年代でほぼ全員が使っている

    総務省の調査では、インターネットの利用目的のうち、SNSの利用割合が81.9%と最も高い数字になっています3。連絡や情報のやり取りが、ブラウザ経由ではなくアプリ経由で完結している様子がうかがえます。iOSアプリはその窓口の一つです。

    年代別に見ても、20歳から59歳の各階層の各年齢層でスマートフォンの利用割合は9割に届いています5。特定の世代だけが使う道具ではなく、働く年代のほぼ全員が日常的に触れている前提です。保守を止めれば、影響は特定の層に限定されません。

    土台が動かないなら、保守も動かせない

    この2つの数字が示しているのは、iOSアプリを取り巻く利用の土台が、特定の流行ではないという点です。土台がここまで広く定着していると、保守を軽く扱う判断は取りにくくなります。稼働を軽視すれば、影響を受ける利用者の層はそのまま広いということになります。

    特にiOSは、利用者が日常的に触れる接点であるため、保守が滞ったときの影響はより早く表面化しやすい領域だといえます。

    ここで比較のために、これまで見てきた利用実態を一つの表にまとめます。保有・利用・年代という異なる切り口から見ても、同じ結論に行き着くことが分かります。

    生活に溶け込んだ利用実態を数字で並べる

    世帯・個人・利用目的・端末比較・年齢層という5つの切り口を並べると、iOSを含むスマートフォンが例外なく生活の土台になっている様子がより具体的に見えてきます。以下の表は、ここまでに触れた数値を一覧にしたものです。

    指標数値何を示すか
    世帯でのスマートフォン保有割合90.5%生活必需品として定着している状態1
    個人でのスマートフォン保有割合80.5%(増加傾向)一人ひとりが手元に持つ前提2
    インターネット利用目的でのSNS利用割合81.9%(最高)日常的に開かれるアプリの存在3
    スマートフォンとパソコンの利用差27.6ポイント最初に触れる窓口という位置4
    20〜59歳の各年齢層での利用割合9割働く世代のほぼ全員が対象5

    利用の土台がここまで動かないとなると、次に目を向けたいのは、それを支える側——契約の設計です。

    3. 契約の側に型が無い

    契約のたびに手間がかかる

    利用の土台は動かなくても、契約の側は同じようには育っていません。IPAの調査では、システム開発の契約について、取引ごとに手間や工数がかかる点を課題として挙げる企業が多いという結果が出ています7。都度ごとに条件を決め直す負担が、保守の現場にも重くのしかかります。

    保守という言葉一つで契約を結んでしまうと、更新への追従が発生するたびに、範囲や稼働の扱いを一から相談し直すことになりかねません。型が無ければ、毎回が交渉の出発点に戻ってしまいます。

    iOSの保守に限らず、追従が必要な仕事全般に共通する構造ですが、iOSのように利用の土台が広い分野ほど、型を持たないまま契約することの重みは大きくなります。

    モデル契約そのものを知らない相手もいる

    さらに根が深いのは、モデル契約という選択肢自体が知られていない場合があるという点です。IPAの調査では、モデル契約を「知らない」とする企業が多く、認知度を高めることが課題として挙げられています13。型を提案しても、相手がその土台を持っていなければ話は進みにくくなります。

    これは保守を受ける側にとって重要な事実です。相手が型を知らないのであれば、条件を明文化する主導権は、受ける側が持たなければ交渉は始まりません。「保守」という一語のまま契約を結ぶかどうかは、この段階での判断にかかっています。

    型が無いことが積み重なる場所

    契約の型が無い状態は、単発の作業では表面化しません。しかし毎年やってくる追従作業のように、繰り返し発生する仕事にこそ、型の有無が響きます。1回目は目をつぶれても、2回目、3回目と重なるうちに、稼働と報酬のずれは大きくなっていきます。

    これを条件を明文化しないまま契約してしまうと、更新への追従が発生するたびに、同じ説明を繰り返す負担が生まれます。次の章では、この「型を知らない相手」が、もう一つの弱点——意思決定を担う窓口の不在——とどうつながっているかを見ていきます。

    図3:契約の型が無いときに何が曖昧になるか
    契約の型が無いときに何が曖昧になるか 契約に型がある場合 範囲が明確になる 費用の見通しが立つ 契約に型が無い場合 毎回範囲が揺れる 都度の交渉になる

    図の作成:Remogu編集部。契約に型がある場合と無い場合の違いを整理したもので、統計データではありません

    4. 相手も決める人を持っていない

    意思決定の窓口が定まっていない

    契約の型を知らない相手がいるという話に加えて、もう一つの弱点があります。IPAの調査では、意思決定を担う責任者を設置していない企業が約半数に上るという結果が出ています14。型を提案する相手だけでなく、決める人自体が定まっていない場面が珍しくありません。

    保守を受ける側からすると、これは二重の壁です。型を知らない相手に型を提案しても、その提案を最終的に判断する窓口が見当たらなければ、話は宙に浮いたままになります。

    二つの欠けが重なるとどうなるか

    整理すると、この二つの欠けはそれぞれ別の場面で顔を出します。契約の入り口では型の認知が問題になり、契約の途中では判断の窓口が問題になります。どちらも、受ける側が主導して埋めない限り、放置されたままになりやすい部分です。

    この二つの欠けは、片方だけを埋めても効果が薄くなります。型を示しても判断する窓口が無ければ話は止まり、窓口があっても型が無ければ話が発散します。両方をセットで捉えておくことが実務的です。

    この状況を確かめないまま契約してしまうと、更新への追従が発生するたびに、同じ説明や同じ交渉を繰り返す負担が積み重なります。相手の体制を早い段階で把握しておくことが、後の行き違いを防ぎます。

    契約の型と意思決定の窓口、それぞれの有無を並べる

    前の章で見た契約の型の話と、この章で見た意思決定の窓口の話を並べると、保守を受ける側が最初に確かめておきたい二点が見えてきます。どちらも「無いこと」が前提になりやすいため、提案は受ける側から先に出すという姿勢が現実的です。

    整っていないもの状態現場で起きること
    契約のひな型についての認知知らないとする企業が多い13型を提案しても土台が共有されない
    意思決定を担う責任者の設置設置していない企業が約半数14条件を確定できる相手が見つかりにくい

    型も窓口も整っていないなら、受ける側が言葉にして持ち込むしかありません。次の章では、そのうえで相手が何を見ているかを確かめます。

    5. 品質で見られる——評価の軸

    品質が最優先に置かれている

    契約の型や決める人が定まっていなくても、見られている軸ははっきりしています。IPAの調査では、利用する側の企業が、品質を最優先事項として捉えているという結果が示されています9。稼働の交渉が難航しても、評価の物差しは動きません。

    これは保守を受ける側にとって、むしろ手がかりになります。条件の交渉で譲れる部分があっても、品質で応える姿勢そのものは譲れない軸だと分かっているからです。交渉の的を絞りやすくなります。

    品質という軸は、稼働の交渉が難航している最中でも変わりません。だからこそ、交渉の材料を整理する際は、品質にどう応えるかを軸に組み立てると、話が通りやすくなります。

    品質は「壊れていないこと」だけでは測れない

    保守における品質は、目に見える不具合が無いことだけを指すのではありません。更新への追従が滞りなく進み、利用者が変化に気づかないまま使い続けられている状態こそが、評価される品質の中身です。

    逆にいえば、追従作業を後回しにして不具合が表面化してから対応する進め方は、品質という評価の軸そのものを損ないます。毎年やってくる仕事を計画的に進めることが、そのまま品質の証明になります。

    稼働の話と品質の話は切り離せない

    ここまでの章で見てきた「土台が動かない」「契約に型が無い」「決める人がいない」という状況は、どれも品質の話と地続きです。条件が曖昧なまま保守を進めると、優先されるはずの品質が後回しになりかねない構造があります。

    だからこそ、稼働を条件として言葉にしておくことは、品質を守るための土台にもなります。次の章では、この構造が読者側の不安としてどこに現れるかを見ていきます。

    6. 続くことへの不安はどこに出るか

    任せた後が見えにくいという不安

    IPAの調査では、外部サービスにおいてもメンテナンスや運用に対する不安を抱える企業は多いという結果が出ています10。保守を外に委託した側が感じているのは、目の前で何が起きているかが見えにくいという不安です。

    この不安は、保守を受ける側が意識しないままでいると、そのまま関係の壊れやすさにつながります。何をどこまで確認したのか、次に何をする予定なのかが伝わっていなければ、不安は解消されないまま積み重なります。

    特に保守を受ける側が個人や少人数の体制である場合、この不安はより強く出やすくなります。相手の規模に関わらず、報告の仕組みを最初に整えておくことが有効です。

    見えにくさを埋めるのは報告の粒度

    不安の正体が見えにくさであるなら、埋める方法は難しいものではありません。何を、いつ、どこまで確認したかを、都度言葉にして共有することです。稼働の内訳が見えるようになるだけで、不安の性質は変わります。

    逆に、確認の作業を内部だけで完結させてしまうと、相手側には「何もしていない期間」に見えてしまう場面があります。稼働の中身を可視化することは、条件交渉だけでなく、信頼を保つための実務でもあります。

    外部に委託したときに不安が生まれる場所を並べる

    これまで見てきた「見えにくさ」への不安を、担い方の違いで並べ直すと、受ける側が埋めたい役割がはっきりします。以下の表は、保守の担い方と、そこに生まれやすい不安の関係を整理したものです。

    観点状態意味すること
    外部サービスの保守・運用不安を抱える企業が多い10任せた後の状態が見えにくいと感じられている
    保守が止まったときの影響利用の土台が広い分、影響も広がりやすいこの記事の前半で見た利用実態と直結する

    見えにくさへの不安は、放っておいて消えるものではありません。次の章では、この不安を数字と言葉に変えて、稼働を条件として置く具体的な手順に進みます。

    7. 手で確かめる前提の現場で、稼働をどう数えるか

    手で確かめる前提が今も続いている

    IPAの調査では、DevOpsやモデルベース開発は、ベンダー企業を除くと導入している企業は少ないという結果が出ています11。自動化された仕組みで常時確認する現場より、人が手を動かして確かめる現場のほうが、今も広く残っています。

    開発手法についても、いまだにウォーターフォール型の手法が主流だという結果が示されています12。区切りごとに動く進め方が主流である以上、保守の稼働も常時ならすのではなく、区切りで積み上がるものとして数えるほうが実態に合います。

    型があると交渉は軽くなる

    契約のひな形について見ると、AIやデータの利用に関するものは、他の分野と比べて需要が比較的高いという結果も出ています8。新しい領域ほど型を求める動きがあるということは、型そのものが交渉を軽くする効果を持つことの裏づけでもあります。

    iOSの保守についても、同じことがいえます。稼働の内訳を言葉にした型を一度作っておけば、更新のたびに一からの交渉を重ねる必要はなくなります。型は、相手のためだけでなく、受ける側の負担を減らすためのものでもあります。

    この型は、一度作れば使い回せるという点でも合理的です。案件が変わっても、稼働を洗い出す枠組み自体は共通して使えます。

    条件は動くという前提で数える

    テレワークを導入している企業の割合は47.3%となり、前年に続き減少しているという結果が出ています6。働き方の条件は、一方向に進み続けるとは限りません。だからこそ、稼働の数え方も、一度決めたら終わりではなく、状況に応じて見直す前提で持っておくと安全です。

    稼働を数えるとは、追従作業にかかった時間を洗い出し、言葉にして相手に示し、合意を得るという一連の流れです。図にすると次のようになります。

    図4:稼働を数えて条件に置く手順
    稼働を数えて条件に置く手順 洗い出す 見積もる 言葉にする 合意する

    図の作成:Remogu編集部。稼働を条件に置き換える流れを整理したもので、統計データではありません

    この記事の前半で見た通り、iOSアプリの利用は暮らしの土台になっています。Remoguの案件は、案件の90%以上がフルリモート可能です。場所に縛られず、これまで積み上げてきた保守の経験を条件として言葉にできる案件を、まず探してみることから始められます。

    保守の契約に型が無いとき、何から決めればよいですか

    まず稼働の範囲を洗い出し、相手が契約の型を知らない前提に立って、受ける側から言葉にして提示するところから始めます。意思決定を担う窓口が明確でない場合は、誰が最終的に判断するのかを早い段階で確認しておくと、後の行き違いを防げます。

    毎年の追従作業は、どのくらいの負担を見込めばよいですか

    具体的な時期や頻度は案件によって異なりますが、通常の改修とは別に発生する仕事として、あらかじめ稼働の枠を確保しておくと見積もりがしやすくなります。区切りごとに進む現場が主流である以上12、区切りのタイミングで稼働を数え直す習慣が役立ちます。

    稼働の中身を、相手にどう伝えれば分かってもらえますか

    契約のひな形については、AIやデータ利用に関するものの需要が比較的高いという結果が出ており8、型を用意して示す進め方には土台があります。金額そのものの交渉は案件ごとの事情によるため、ここでは踏み込みません。まずは自分に合う条件の案件を確認しながら、感触をつかむところから始められます。

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    ※公開中の案件数は時期によって変わります。記事中の案件の傾向は執筆時点のものです。

    出典・参考情報

    *1 総務省「通信利用動向調査の結果」利用の広さ(2025年5月)
    *2 総務省「通信利用動向調査の結果」個人の側(2025年5月)
    *3 総務省「通信利用動向調査の結果」使われ方(2025年5月)
    *4 総務省「通信利用動向調査の結果」主戦場(2025年5月)
    *5 総務省「通信利用動向調査の結果」利用者の幅(2025年5月)
    *6 総務省「通信利用動向調査の結果」働き方の側(2025年5月)
    *7 IPA「2024年度ソフトウェア動向調査 簡易分析レポート」契約の負担(2025年4月)
    *8 IPA「2024年度ソフトウェア動向調査 簡易分析レポート」ひな形の需要(2025年4月)
    *9 IPA「2024年度ソフトウェア動向調査 簡易分析レポート」評価の軸(2025年4月)
    *10 IPA「2024年度ソフトウェア動向調査 簡易分析レポート」不安の所在(2025年4月)
    *11 IPA「2024年度ソフトウェア動向調査 簡易分析レポート」確認の自動化(2025年4月)
    *12 IPA「2024年度ソフトウェア動向調査 簡易分析レポート」工程の前提(2025年4月)
    *13 IPA「2024年度ソフトウェア動向調査 簡易分析レポート」相手の前提(2025年4月)
    *14 IPA「2024年度ソフトウェア動向調査 簡易分析レポート」決める人(2025年4月)