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    通信トラヒックの伸びを前提にする配信設計の見直し方

    「契約は横ばい通信量は増える」を示す図です。契約の数/通信の量を並べています。強調しているのは通信の量です。こちらが伸びると添えています。

    📘 この記事でわかること

    • 固定・移動とも契約数はほぼ横ばいであることと、それでも通信量が二桁の割合で伸び続けている実態
    • 固定より移動通信のほうが伸びが速いことと、5GとLTEの契約数が入れ替わっている流れ
    • 統計は「いつの時点の数字か」まで押さえて使うことと、伸びを前提にした設計見直しの進め方

    契約数の推移だけを見ていると、通信インフラの需要は落ち着いてきたように映ります。ところが実際に増えているのは契約の件数ではなく、1回線あたりの通信量です。前提を数年前のまま据え置いた設計は、気づかないうちに実態とずれていきます。この記事では総務省の最新統計をもとに、設計の前提をどう置き直すかを整理します。

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    1. 契約数はほぼ横ばいで、通信量は二桁で伸びています

    契約の数字だけでは見えない変化

    総務省の情報通信白書令和8年版によると、2025年末時点の固定系ブロードバンドの契約数は4,750万で、前年同期比0.6%増にとどまっています3。契約者の数だけを追っていると、需要はほぼ横ばいという印象になります。

    ところが同じ資料の別の指標を見ると、景色が変わります。固定系ブロードバンドの総ダウンロードトラヒックは、2025年11月時点で前年同月比14.6%増という二桁の伸びを記録しています1。契約数の伸びとは一桁違う動きです。

    契約の件数と、実際に流れているデータ量は別の指標です。設計の前提を契約数だけで置くと、実態より小さい需要を見込んでしまう恐れがあります。

    契約数を基準にした監視のしきい値は、通信量の伸びを織り込まないまま運用されている場合があります。基準を据え置くほど、ピーク時の余力を読み違えるリスクが積み重なります。

    伸びているのは「使い方」の量

    増えているのは回線の本数ではなく、1回線あたりの使い方です。動画視聴やクラウド利用の常時接続化など、利用の中身が変わったことで、同じ契約数でも運ぶデータ量が膨らんでいます。

    この食い違いを図に整理すると、契約数の線と通信量の線がどれだけ開いているかが一目で分かります。設計の前提を見直す出発点は、まずこの二つの線を並べて見ることです。

    設計の前提を通信量ベースに置き直す作業は、一度で終わるものではありません。次の章以降で見る固定と移動の違い、世代の入れ替わりも、同じ前提の中に組み込む必要があります。

    固定・移動・世代別といった内訳を合わせて見ることで、契約数だけでは見えなかった需要の変化がつかめます。

    図1:契約数の伸びと通信量の伸びの差
    図1:契約数の伸びと通信量の伸びの差
    +0.6% 契約数 +14.6% 通信トラヒック

    出典:総務省「情報通信白書」令和8年版をもとに作成

    次の章では、固定と移動、どちらの伸びが速いかを見ていきます。

    2. 移動通信のほうが伸びが速いです

    移動通信は固定よりも急な角度で伸びています

    移動通信の総ダウンロードトラヒックも、2025年11月時点で前年同月比17.9%増と伸びを続けています2。固定系の14.6%増と比べると、移動側のほうが伸びの角度は急です。

    スマートフォンやタブレットでの動画視聴、外出先でのテザリングなど、移動側の通信量の増え方が、固定回線の伸びを上回るペースにつながっています。

    在宅から出先への切り替えが増えるほど、移動側の負荷は時間帯によって変動しやすくなります。

    固定と移動、どちらか一方だけを見て設計の前提を置くと、伸びの速い側を見落とすことになります。両方の伸び率を並べて確認することが出発点です。

    固定側の監視基準をそのまま移動側に当てはめると、伸びの速さを過小評価します。系統ごとに基準を分けて置くことが、見落としを防ぐ手立てになります。

    移動側の伸びを監視の基準に組み込むかどうかは、担当する設計の範囲によって判断が分かれます。

    図2:固定と移動の伸び方の違い
    図2:固定と移動の伸び方の違い
    固定+14.6% 固定系 移動+17.9% 移動通信

    出典:総務省「情報通信白書」令和8年版をもとに作成

    規模でも移動側は大きな量を扱っています

    移動通信の総ダウンロードトラヒックは9.5Tbpsという推定値です8。伸び率だけでなく、扱っている量そのものも押さえておきたい数字です。

    固定側の推定値44.6Tbps7と比べると、移動側の規模はまだ小さく見えます。ただし伸び率では移動のほうが速く、規模と伸び率は別の軸として見る必要があります。

    移動側の伸びが続く前提で容量を見積もる場合と、横ばいの前提で見積もる場合とでは、増設の時期に対する判断が変わります。

    固定と移動、どちらの規模も把握しておくと、リソースの配分を検討する際に根拠を示しやすくなります。

    次の章では、5GとLTEという世代交代の中身を見ていきます。

    3. 5GとLTEは入れ替わっています

    世代別に見ると増減がはっきり分かれます

    携帯電話の契約を世代別に見ると、伸びと減少がはっきり分かれています。3.9〜4世代(LTE)の契約数は1億877万で、前年同期比4.1%減となりました4

    一方で第5世代(5G)の契約数は1億2,242万で、前年同期比14.3%増です5。LTEから5Gへの置き換えが進んでいることがうかがえます。

    全体の契約数がほぼ横ばいに見えても、内訳では世代交代が進んでいます。設計の前提を「いま使われている技術」で置くなら、この入れ替わりを踏まえる必要があります。

    BWAは緩やかに増えています

    BWA(広帯域移動無線アクセスシステム)の契約数は9,365万で、前年同期比3.8%増でした6。5Gほどの伸びではありませんが、着実に増えています。

    世代ごとの契約数の動きは、監視対象とする機器構成にも影響します。減少している世代向けの設備を、いつまで維持するかという判断材料になります。

    5GとLTEのどちらの契約数を基準に置くかで、想定する通信量の伸び方そのものが変わります。世代ごとの伸び率を分けて確認することが、前提のずれを防ぎます。

    世代ごとの動きを表にまとめると、どの世代が伸び、どの世代が減っているかを一覧で確認できます。

    世代契約数前年同期比
    LTE(3.9〜4世代)1億877万−4.1%
    5G(第5世代)1億2,242万+14.3%
    BWA9,365万+3.8%

    次の章では、これらの通信量が実際にどれくらいの規模かを見ていきます。

    4. 規模の目安を押さえます

    固定と移動の通信量を並べてみます

    ここまで伸び率を見てきましたが、実際の規模も押さえておきます。固定系の総ダウンロードトラヒックは44.6Tbpsという推定値です7

    移動通信の総ダウンロードトラヒックは9.5Tbpsです8。固定のほうが規模は大きいものの、前の章で見たとおり、伸びの速さでは移動が上回ります。

    規模と伸び率、どちらか一方だけでは全体像を捉えられません。両方を並べて見ることで、いま設計に反映したい優先順位が見えてきます。

    図3:規模の目安(固定と移動の通信量の関係)
    図3:規模の目安(固定と移動の通信量の関係)
    固定 44.6Tbps 移動 9.5Tbps

    出典:総務省「情報通信白書」令和8年版をもとに作成

    規模感がつかめると設計の重みが変わります

    固定と移動の通信量を同じ図で並べると、どちらにどれだけ余力を割くかを考える材料になります。

    数字の大きさだけでなく、どちらが今後も伸び続けているかという視点を重ねることが、規模の目安を読み解くコツです。

    容量計画を立てる場面では、現在の規模と伸びの速さの両方を前提として置くことで、増設の時期を見誤りにくくなります。規模の大きい固定側を優先しがちですが、伸びの速い移動側への対応が遅れると、混雑が先に表面化する可能性があります。

    規模を具体的な数値で示せると、技術者以外への説明でも前提の大きさが伝わりやすくなります。

    次の章では、これらの数値が「いつの時点のものか」という前提の置き方を見ていきます。

    5. 前提は「いつの時点の数字か」まで含めて置きます

    統計には基準となる時点があります

    ここまで見てきた伸び率は、いずれも2025年11月時点という基準のもとで計測されたものです1。同じ「14.6%増」という数字でも、いつの時点を基準にしているかで意味合いが変わります。

    設計の前提として数値を引用するときは、伸び率そのものだけでなく、その数値がどの時点を指すのかまでセットで扱う必要があります。

    時点を確認せずに数値だけを流用すると、翌年には前提が古くなっていることに気づけません。

    時点を明記する習慣は、複数人で設計をレビューする場面でも役立ちます。前提の数値がいつのものかを確認し合うことで、認識のずれを防げます。

    前提を置くときに確認したい項目

    前提を置くときに確認したい項目を整理すると、時点・対象範囲・単位の3つに集約されます。

    時点がずれていないか、固定と移動のどちらの数値かという対象範囲、Tbpsという単位のまま扱われているかを確認すると、前提の取り違えを避けられます。

    この3つを確認する習慣があるかどうかで、前提を引用した設計書の信頼度が変わります。時点を書かずに数値だけを載せた資料は、後から検証できません。

    表にまとめた確認項目を、設計を見直すときのチェックの起点にしてみましょう。

    確認項目確認する内容見落としたときに起きること
    時点数値がいつの時点の集計かを確認する古い前提のまま設計を進めてしまう
    対象範囲固定系か移動通信か、どちらの数値かを確認する別の対象の伸び率を取り違える
    単位Tbpsなど単位が揃っているかを確認する規模の大小を読み間違える

    6. 伸びを前提にすると、設計の見直し方が変わります

    前提を毎年据え置かないようにします

    通信量が二桁で伸び続けている以上、設計の前提を数年前のまま据え置くと、実態との差が年々広がっていきます。

    前提を毎年更新する運用に変えることで、伸びを織り込んだ設計に近づけます。据え置くより、更新する前提のほうが実態に合います。

    前提を更新するタイミングをあらかじめ決めておくと、白書などの統計が更新された年に合わせて、無理なく見直しの作業を組み込めます。

    前提を据え置いたまま増設を先送りすると、混雑が表面化してから慌てて対応することになりかねません。

    更新の手順を型にしておけば、担当者が変わっても同じ基準で前提を置き直せます。

    見直しの手順を型にします

    手順を図に整理すると、時点を確認する、対象範囲を確認する、最新の伸び率を反映するという3つの段階になります。

    図4:前提を更新する手順
    図4:前提を更新する手順(時点・単位・伸び率)
    時点を 確認する 対象範囲を 確認する 最新の伸び率を 反映する

    図の作成:Remogu編集部。前提を更新する手順を整理したもので、統計データではありません

    この流れを一度型にしてしまえば、次の年も同じ手順で前提を更新できます。属人的な勘に頼らずに済みます。

    前提を更新する手順を共有しておけば、担当が変わっても同じ基準で判断を引き継げます。この手順は固定と移動のどちらの設計にも共通して使えるため、世代交代など内訳の変化があっても、確認する順番自体は変わりません。

    3段階の手順は、どの担当者が実行しても同じ結果に近づくように整理したものです。

    前提を更新する力そのものが、設計を任せられるかどうかの判断材料になります。

    7. エンジニアが関われる範囲と、案件の探し方

    前提を更新する力が求められる場面

    ここまで見てきたように、通信量の伸びを前提に反映し続けるには、統計を定点観測し、時点や対象範囲を確認しながら設計を見直す力が要ります。

    この力は、配信基盤やネットワーク設計に関わるインフラエンジニア、SREといった立場で特に求められます。

    統計を読み解く力と、実際の設計に落とし込む力の両方がそろって、はじめて前提の見直しが機能します。

    決まった構成を保守するだけでなく、前提そのものを更新できる人材は、規模の大きい設計ほど重宝されます。

    参画前の面談では、過去にどの規模の通信量を前提に設計したか、前提をどう更新してきたかを尋ねられる場面があります。この記事で整理した確認の型は、そのときの説明にそのまま使えます。

    通信量の統計を読み解き、前提を更新できる力は、特定の技術スタックに閉じない汎用的なスキルです。案件が変わっても活かせる強みになります。

    リモートでも前提の見直しに関われます

    Remoguの案件は、90%以上がフルリモート可能です9。場所に縛られず、こうした設計の見直しに関わる働き方を選べます。

    表3に整理したように、関われる技術層は基盤の監視から容量設計、上位のアーキテクチャ判断まで幅があります。まず自分の経験に近い層から、条件を確かめてみましょう。案件ごとに求められる技術層は異なるため、表3を参考に自分の強みが活きる層を確認しておくと、条件の協議がしやすくなります。

    前提を更新する経験は、案件を重ねるほど言語化しやすくなります。まずは登録して、自分の経験に合う条件を確かめてみましょう。登録すると、自分の経験に近い技術層の案件を確認できます。

    技術層主な仕事前提更新との関わり
    基盤監視・運用通信量やトラヒックの監視、障害対応伸びの兆候を早い段階で捉える
    容量設計回線やサーバーの容量計画、増設の判断前提の数値をもとに容量を見直す
    アーキテクチャ判断配信構成全体の設計方針の決定前提の更新を設計に反映する

    固定系と移動通信で伸び方は違うのか

    違います。固定系ブロードバンドの総ダウンロードトラヒックは前年同月比14.6%増1であるのに対し、移動通信は17.9%増です2。移動のほうが伸びの角度は急です。監視や増設の基準を検討する際は、この差を踏まえて系統ごとに分けて考えると前提がずれにくくなります。

    契約数が横ばいでも通信量が増えるのはなぜか

    固定系ブロードバンドの契約数は前年同期比0.6%増とほぼ横ばいです3。契約の件数ではなく、1回線あたりの使い方が変わったことで、通信量だけが二桁で伸びています。契約数だけを見て需要を判断すると、実際の負荷を過小に見積もる恐れがあります。

    5GとLTEの契約数はどう動いているのか

    LTEは1億877万で前年同期比4.1%減です4。一方で5Gは1億2,242万で前年同期比14.3%増となっており、世代の入れ替わりが進んでいます5。旧世代向けの設備をいつまで維持するかを検討する材料にもなります。

    統計はいつの時点の数字か

    この記事で扱った伸び率は、2025年11月時点を基準にしたものです1。前提として使うときは、対象の時点まで確認して扱うと安全です。毎年更新される統計なので、新しい白書が出た際には前提を置き直す必要があります。

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    ※公開中の案件数は時期によって変わります。記事中の案件の傾向は執筆時点のものです。

    出典・参考情報

    *1 総務省「情報通信白書」令和8年版 概要(2026年7月公表)(2026年7月)
    *2 総務省「情報通信白書」令和8年版 概要(2026年7月公表)(2026年7月)
    *3 総務省「情報通信白書」令和8年版 概要(2026年7月公表)(2026年7月)
    *4 総務省「情報通信白書」令和8年版 概要(2026年7月公表)(2026年7月)
    *5 総務省「情報通信白書」令和8年版 概要(2026年7月公表)(2026年7月)
    *6 総務省「情報通信白書」令和8年版 概要(2026年7月公表)(2026年7月)
    *7 総務省「情報通信白書」令和8年版 概要(2026年7月公表)(2026年7月)
    *8 総務省「情報通信白書」令和8年版 概要(2026年7月公表)(2026年7月)
    *9 Remoguサイト公開情報(フルリモート可能案件の割合)