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    災害時に通信をつなぐ非常時事業者間ローミングの案件と相互接続

    「切り替えてつなぎ続ける」を示す図です。自社網が被災/他社網へ切替/通話・通信を継続/緊急通報を確保を並べています。強調しているのは他社網へ切替です。他社網で継続と添えています。

    📘 この記事でわかること

    • フルローミングと緊急通報のみという2つの方式の違いと、令和7年度末頃に開始が見込まれるスケジュールの実態
    • 事業者間ローミングが発動する条件と、コアネットワークの状態や設備容量が関わる仕組みの全体像
    • 相互接続や発動制御、トラフィック制御の経験が活きる案件の関わり方と、リモートでの参画の進め方

    大規模な災害が起きるたびに、スマートフォンが圏外になる場面が報じられます。総務省の検討会では、被災した事業者の回線を他社の設備が肩代わりする「事業者間ローミング」の導入が進められており、通信インフラの設計や運用に携わってきたエンジニアには新しい案件の入り口が生まれています。相互接続やコアネットワークの知見を積んできた方にとって、この分野がリモートでどこまで関われる仕事なのか、掴みにくい面もあります。本記事では制度の中身と、フリーランスとしての関わり方を整理します。

    リモートワーク案件特化のエージェント|Remogu(株式会社LASSIC運営) 通信・モバイルネットワークのシステムに関わるリモート案件を、条件から探す フルリモートの案件を見る

    1. なぜいま通信インフラ・事業者間ローミングの案件が増えているのか

    緊急通報を支える通信の途絶えない設計が求められている

    災害で基地局が損壊すると、その地域の利用者は自社の回線につながらなくなります。総務省の検討会は、緊急通報の全体で約65%が携帯電話からの発信という点を踏まえ3、非常時にも通信を途絶えさせない仕組みづくりを進めています。1社の設備だけで途絶えを防ごうとする発想から、複数の事業者の設備を組み合わせて途絶えを防ぐ発想へと、比重が移ってきています。

    この方針の中核が、事業者間ローミングです。総務省の検討会では、一般の通話やデータ通信に加え、緊急通報受理機関からの呼び返しまで行える「フルローミング方式」による事業者間ローミングを、できる限り早期に導入する方針が示されました1。検討の対象は基地局単体の冗長化にとどまらず、事業者をまたいだ相互接続の仕組み全体に広がっています。

    この広がりに伴って、相互接続の設計やコアネットワークの運用、発動時の制御を担う案件が動き始めています。基地局の増設のような単発の工事よりも、事業者間の取り決めに沿ってシステムを組む継続的な仕事のほうが、この領域では増えています。オフィスに常駐する体制でなくても、設計書やログを介して進められる工程があり、リモートでの参画がしやすい分野といえます。

    図1:事業者間ローミングの仕組み
    被災した事業者の 基地局 他社の ネットワーク設備 スマートフォンの利用者

    図の作成:Remogu編集部。総務省の検討会資料をもとに、被災時の通信確保の考え方を整理したもので、統計データではありません

    2. 2つのローミング方式、フルローミングと緊急通報のみの違い

    通話・データ通信まで戻す方式と、緊急通報に絞る方式

    総務省の検討会は、事業者間ローミングを2つの方式に整理しました。1つは、一般の通話やデータ通信に加えて緊急通報受理機関からの呼び返しまで行える「フルローミング方式」です1。もう1つは、大規模な通信障害でコアネットワークの機能に障害が生じた場合を想定し、緊急通報だけを確保する「緊急通報のみ方式」です5

    フルローミング方式は、令和7年度の末頃に開始となる見込みで、可能な場合はスケジュールの前倒しを行う予定です2。緊急通報のみ方式は、コアネットワークに障害が生じるという重い状況を想定した追加の備えとして、導入が決まりました5。通話やデータ通信を丸ごと戻す設計よりも、命に関わる緊急通報だけを確保する設計のほうが、優先順位としては先に立ちます。

    表で見る2方式の違い

    2つの方式は、対象とする通信の範囲や想定する状況が異なります。エンジニアとして案件に関わる際も、どちらの方式を前提にした設計・検証なのかで、扱う機能やテストの範囲が変わってきます。以下の表で、対象となる通信と想定する状況、開始の見込みを整理します。

    方式対象となる通信想定する状況開始の見込み
    フルローミング方式一般の通話・データ通信・緊急通報受理機関からの呼び返し被災事業者のコアネットワークが健全な場合令和7年度末頃(前倒しの可能性あり)
    緊急通報のみ方式緊急通報コアネットワークの機能に障害が生じた場合フルローミング方式とは別に追加導入が決定
    図2:フルローミング方式と緊急通報のみ方式の対象範囲
    フルローミング方式 通話・データ通信 緊急通報受理機関からの 呼び返しまで確保 緊急通報のみ方式 コアネットワーク障害を 想定した追加の備え 緊急通報の確保に特化

    図の作成:Remogu編集部。総務省の検討会資料をもとに、2方式の対象範囲を整理したもので、統計データではありません

    3. 事業者間ローミングが発動する条件

    コアネットワークが健全かどうかが分かれ目になる

    事業者間ローミングは、無条件に稼働するわけではありません。総務省の検討会は、被災事業者のコアネットワーク(加入者データベース等)の機能に障害が起きていない場合に、他の全ての事業者が設備容量の逼迫が起きない範囲で運用することを整理しました4

    この条件は、フルローミング方式が前提とする状況でもあります。被災した事業者の加入者データベースが生きていれば、他社の設備を借りても本人の契約情報に沿った通信を続けられます。逆に、コアネットワークそのものに障害が生じた場合は、通話やデータ通信を丸ごと戻す設計は成り立たなくなるため、緊急通報のみ方式が追加で用意されました5

    設計や運用の現場では、平時の増設よりも、発動条件を判定する仕組みや、容量の逼迫を避ける制御のほうが技術的な難しさを伴います。複数事業者のネットワークの状態を横断して見極める視点が、この領域の案件で求められています。

    表で見る発動条件と運用

    被災事業者の状態によって、他の事業者がどう対応するかが変わります。コアネットワークが健全かどうかを軸に、運用の姿を整理すると次のようになります。

    被災事業者のコアネットワークの状態他の事業者の運用
    健全(加入者データベース等に障害なし)設備容量の逼迫が起きない範囲で、フルローミング方式による事業者間ローミングを運用
    障害が発生緊急通報のみ方式を追加で導入し、緊急通報の確保を優先
    図3:発動条件による運用の分かれ目
    被災事業者のコアネットワークは 健全か 健全 容量の逼迫が起きない範囲で フルローミング方式を運用 障害あり 緊急通報のみ方式を 追加で導入

    図の作成:Remogu編集部。総務省の検討会資料をもとに、発動条件の考え方を整理したもので、統計データではありません

    4. 能登半島地震の検証と相互接続性試験

    実際の災害を踏まえた検証が制度の土台になっている

    総務省の検討会は、令和6年能登半島地震において事業者間ローミングを発動した場合の救済効果を検証するなど、実際の災害を踏まえた検討を重ねています6。制度を紙の上の取り決めで終わらせず、実際の被害状況に照らして効果を確かめる姿勢がうかがえます。

    検証と並んで欠かせないのが、事業者間の相互接続性です。複数の事業者の設備をまたいで通信を戻す以上、平時のうちに接続の疎通や緊急通報の呼び返しが機能するかを確認しておく必要があります。1社の設備だけを検証する試験よりも、事業者をまたいだ接続を通しで確認する試験のほうが、この制度の実効性を支えます。

    表で見る検証・試験の項目

    事業者間ローミングを実際に機能させるには、災害時の効果検証と、平時の相互接続試験の両方が欠かせません。それぞれの項目と内容を整理します。

    項目内容
    能登半島地震での発動効果検証令和6年能登半島地震で事業者間ローミングを発動した場合の救済効果を検証6
    相互接続性試験事業者間の設備をつないだ通信の疎通を平時に確認する試験
    緊急通報の呼び返し確認フルローミング方式で緊急通報受理機関からの呼び返しが機能するかを確認1
    図4:検証から相互接続試験までの流れ
    令和6年 能登半島地震での 発動効果を検証 事業者間の 相互接続性試験 緊急通報の 呼び返しを 確認

    図の作成:Remogu編集部。総務省の検討会資料をもとに、検証と試験の流れを整理したもので、統計データではありません

    5. リモート・フリーランス案件でどう関わるか

    相互接続・発動制御・トラフィック制御・相互接続試験という4つの入り口

    ここまで見てきた制度は、いずれも複数の事業者をまたいだ技術の積み重ねで成り立っています。相互接続の設計、発動条件を判定する制御、容量の逼迫を避けるトラフィック制御、そして相互接続性試験という4つの工程それぞれに、フリーランスとして関われる余地があります。1つの事業者の中だけで完結する仕事よりも、事業者間の取り決めに沿って調整する仕事のほうが、この制度が広がるほど増えていきます。

    コアネットワークや加入者データベースの運用経験、通信の疎通確認や試験の設計経験は、そのままこの領域の案件で活きます。現場に常駐して機器を触る工程だけでなく、設計書やログ、試験結果をもとに進める工程も含まれているため、稼働の場所を問わない案件が組みやすい分野です。

    Remogu(株式会社LASSIC運営)はリモートワーク案件に特化したエンジニアマッチングで、扱う案件の90%以上がフルリモート可能です7。通信インフラの相互接続やネットワーク運用に積み上げてきた経験を、拠点を変えずに次の案件へつなげる選択肢として捉えられます。

    案件の内容や条件は時期によって変わるため、まずは自分の経験がどの工程に近いかを確かめるところから始めると、次の一歩が具体的になります。

    6. まとめ

    経験を止めずに、次の案件へつなげる

    非常時の事業者間ローミングは、フルローミング方式と緊急通報のみ方式という2つの備えを用意しています1。どちらを運用するかは、被災事業者のコアネットワークが健全かどうかで決まります4。令和7年度末頃の開始が見込まれ2、令和6年能登半島地震を踏まえた検証も重ねられています6

    この制度が動き出すほど、相互接続やコアネットワーク、トラフィック制御に強いエンジニアの出番は増えていきます。積み上げてきた経験をどの案件に向けるか、Remoguに登録して自分に合う条件を確かめるところから始めてみましょう7

    7. よくある質問

    通信の専門でなくても関われますか

    通信の専門資格がなくても、ネットワークの設計や運用、試験に関わってきた経験があれば、相互接続やトラフィック制御を扱う案件の入り口になります。専門領域の深さよりも、複数の事業者をまたいだ調整に慣れているかどうかが重視される場面があります。

    どんなスキルが活きますか

    相互接続の設計、発動条件の判定ロジック、容量を見ながら制御するトラフィック管理、そして相互接続性試験の設計・実施といったスキルが活きます。単体の基地局の保守経験よりも、事業者をまたいだ仕組み全体を見渡した経験のほうが評価されやすい領域です。

    ネットワーク運用や相互接続の経験は活きますか

    コアネットワークや加入者データベースの運用、通信の疎通確認といった経験は、この制度を支える案件にそのまま活かせます。平時の運用で培った切り分けの視点は、非常時の発動条件を見極める場面でも土台になります。

    現場に行かずに関われますか

    設計書やログ、試験結果をもとに進める工程は、現場に常駐しなくても進められます。一方で、実機を伴う試験の一部は現地対応が必要になる場合もあるため、案件ごとの稼働条件を確かめることをおすすめします。

    案件はフルリモートでもできますか

    Remoguが扱う案件の90%以上はフルリモートで進められます7。通信インフラの案件も、工程によっては稼働の場所を問わずに進められるものが含まれているため、まずは自分の経験に近い案件を探してみましょう。

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    Remoguは、株式会社LASSICが運営するITエンジニア・デザイナー専門のリモートワーク案件紹介サービスです。フルリモート・ハイブリッドの案件から、スキルに合うものを探せます。

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    ※公開中の案件数は時期によって変わります。記事中の案件の傾向は執筆時点のものです。

    出典・参考情報

    *1 総務省「非常時における事業者間ローミング等に関する検討会」(2024年12月)
    *2 総務省「非常時における事業者間ローミング等に関する検討会」(2024年12月)
    *3 総務省「非常時における事業者間ローミング等に関する検討会」(2024年12月)
    *4 総務省「非常時における事業者間ローミング等に関する検討会」(2024年12月)
    *5 総務省「非常時における事業者間ローミング等に関する検討会」(2024年12月)
    *6 総務省「非常時における事業者間ローミング等に関する検討会」(2024年12月)
    *7 Remogu(株式会社LASSIC運営)公開情報:扱う案件の90%以上がフルリモート可能