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    建築物省エネ法の案件で押さえる省エネ計算とBELS

    「計算で適合を示す」を示す図です。計算/適判/確認/表示を並べています。強調しているのは表示です。表示までと添えています。

    📘 この記事でわかること

    • 建築物省エネ法が2025年4月に全面義務化された背景と、計算・データを扱う案件が増えている理由
    • 仕様基準・Webプログラム等・モデル建物法という評価方法の違いと、案件でどの知識が活きるか
    • 省エネ適判・建築確認・BELS表示までの手続きの流れと、リモートで関われる案件の探し方

    建築物の省エネ性能を計算し、データとして示す仕事が、建築の専門家だけでなく、計算・データ・システムの視点を持つ人にも開かれています。図面を読み解く力に加えて、計算ロジックを組み立てる力やデータを整える力が求められる場面が増えてきました。省エネ基準への対応は、建築業界だけで完結する仕事ではなくなりつつあります。この記事では、全面義務化の背景から評価方法、手続きの流れ、そしてリモートでの関わり方までを整理します。

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    1. なぜいま建築×IT・省エネ計算の案件が増えているのか

    全面義務化で、計算とデータの仕事が一気に広がりました

    図面を描く仕事だけでなく、省エネ性能を計算し数値で示す仕事に注目が集まっています。背景にあるのは、建築物省エネ法の改正です。2025年4月に省エネ基準への適合が全面義務化され、原則すべての新築の住宅・建築物が対象になりました1。これまで一部の建築物に限られていた省エネ計算が、案件全体に広がったということです。

    この変化は突然起きたわけではありません。2024年4月には、大規模な非住宅建築物を対象に省エネ基準(BEI)が引き上げられており2、全面義務化に向けた準備は段階的に進められてきました。設計や施工の現場では、計算の精度を上げるための体制づくりが先に始まっていたということです。

    全面義務化は、これまで対象外だった建築物にも計算作業を必要とすることを意味します。同時期に新築案件で計算や図書作成が求められる場面が増えれば、建築士だけで対応しきれない場面も出てきます。ここに、計算ロジックの実装やデータ整理を担える人材への需要が生まれています。

    図1:建築物省エネ法 全面義務化までの位置づけ
    2024年4月 大規模な非住宅建築物で 省エネ基準(BEI)が引き上げ 対応の準備が前倒しに 2025年4月 省エネ基準適合が全面義務化 原則すべての新築住宅・建築物が対象 計算・データの需要が拡大

    出典:国土交通省「建築基準法・建築物省エネ法 改正法制度説明資料」

    建築士の仕事を置き換えるということではありません。計算条件の整理や入力データの検証、計算結果を図書としてまとめる工程など、建築士と協力しながら計算・データの側面を担う関わり方が広がっているということです。IT分野で培ってきたデータ処理の力は、この協力関係の中で活きてきます。

    省エネ性能の計算が必要になる建築物は、大都市圏の大規模プロジェクトに限りません。原則すべての新築が対象になったということは、規模や地域を問わず、確認申請の手続きの中で計算書や関連データの提出が求められる場面が広がったということでもあります。

    この流れは一時的なものではなく、今後も新築のたびに計算とデータ整備が必要になる場面が続くと考えられます。単発の対応で終わる仕事ではなく、継続して関わっていける領域だといえます。

    計算・データの経験を持つ人にとって、この変化は新しい活動の場が生まれているとも言えます。建築分野の専門用語に触れながら、これまで積み上げてきたスキルを新しい領域で試す機会になります。

    この動きは、建築物全体の省エネ性能を底上げすることにもつながります。計算とデータの精度が上がるほど、評価の信頼性も高まっていきます。

    紙の図面をチェックする力よりも、計算のロジックを組み立てる力やデータを整える力のほうが、これからの案件では重みを増していきます。省エネ計算は建築士だけの仕事ではなく、計算・データ・システムの視点を持つ人にも開かれた領域になりつつあります。では、実際にどのような方法で省エネ性能は計算されているのでしょうか。次の章で、評価方法の違いを整理します。

    2. 省エネ性能を「計算で示す」評価方法(BEI・仕様基準・Webプログラム)

    仕様基準とWebプログラム、使い分けの発想を押さえます

    省エネ性能を確認する方法は一つではありません。仕様基準は、決められた仕様への適合を確認する簡易な方法です。一方でWebプログラム等は、入力条件をもとに計算し、省エネ性能を詳細に評価する方法です3。どちらを使うかによって、必要になる入力データの量も変わってきます。

    図2:省エネ性能の評価方法の違い(仕様基準・Webプログラム)
    仕様基準 決められた仕様の適合を 確認する簡易な方法 計算の手間は小さい Webプログラム等 入力条件から計算して 省エネ性能を詳細に評価 条件整理とデータ入力が要点

    出典:国土交通省「建築基準法・建築物省エネ法 改正法制度説明資料」

    Webプログラム等を用いた評価では、建物の形状や設備条件など、複数の入力項目を整理してシステムに渡す工程が発生します。入力条件を管理する仕組みや、計算結果を検証する手順を整えることは、データを扱う技術と相性の良い作業です。

    計算結果を第三者が確認する工程も欠かせません。入力条件や計算式に誤りがないかを確認する体制を整えることは、データを扱う技術者が力を発揮できる場面です。

    計算結果を扱う際は、入力ミスや条件の見落としが評価全体に影響します。データの整合性を確認するチェック体制を用意しておくことは、評価方法を問わず重要な工程です。

    評価方法の選択に迷う場面では、案件の依頼者に確認しながら進める姿勢も大切です。決められた手順に沿って計算するだけでなく、条件を確認し合う姿勢が信頼につながります。

    住宅と非住宅で、使われる評価方法の傾向が異なります

    住宅と非住宅とでは、評価に使われる方法の傾向にも違いがあります。次の表に、区分ごとに主な評価方法と、そこで求められる計算の考え方をまとめました。

    区分主に使われる評価方法特徴
    住宅仕様基準・Webプログラム等決められた仕様への適合確認、または入力条件をもとにした詳細な計算3
    非住宅モデル建物法・Webプログラム等(精緻な計算)用途ごとの簡易な評価、または建物固有の条件を反映した詳細な計算4

    住宅・非住宅で使われる評価方法の傾向を把握しておくと、案件の依頼内容から必要な計算の深さを予測しやすくなります。依頼内容を読み解く力も、計算・データを扱う仕事では欠かせない視点です。

    図面を読む力よりも、条件を整理してWebプログラムに正しく入力する力のほうが、評価の精度を左右します。計算の仕組みを理解している人ほど、入力条件の抜け漏れに気づきやすくなります。住宅・非住宅の傾向をつかんだところで、次はモデル建物法と精緻な計算の使い分けを見ていきましょう。

    3. モデル建物法と精緻な計算の使い分け

    簡易な評価と精緻な計算、案件によって求められる深さが違います

    非住宅の一次エネルギー消費性能を評価する方法の一つに、モデル建物法があります。これは、用途ごとに設定されたモデル建物を用いて計算する簡易な評価方法です4。入力項目が絞られている分、短い時間で評価できる点が特徴です。

    一方で、建物固有の条件を細かく入力して評価する精緻な計算もあります。モデル建物法よりも入力とデータ整備の量は増えますが、実際の建物の条件を反映した評価ができます。案件によって、どちらの計算方法が求められるかは変わってきます。

    どちらの計算方法を選ぶかは、案件で求められる精度や、集められるデータの量によって変わります。入力データが限られている段階ではモデル建物法が使われ、詳細な条件が揃った段階で精緻な計算に切り替える、という進め方も見られます。

    評価方法の選択は、案件のスケジュールにも関わります。モデル建物法は短い時間で結果を得やすく、精緻な計算は準備に時間がかかる一方で、建物固有の条件を反映した評価につながります。

    計算の前提条件をどう記録しておくかも、実務では重要になります。入力した数値や参照した資料を整理しておくと、後から確認や修正が必要になった際にも対応しやすくなります。

    案件によっては、複数の建物や複数の用途区分をまとめて評価することもあります。条件ごとに計算結果を整理し、抜け漏れなく管理する力も、この領域で重宝されるスキルです。

    図3:モデル建物法と精緻な計算の使い分け
    モデル建物法 用途ごとのモデル建物で 計算する簡易な評価方法 入力項目が絞られている 精緻な計算 建物固有の条件を 細かく入力して評価 入力とデータ整備の量が増える

    出典:国土交通省「建築基準法・建築物省エネ法 改正法制度説明資料」

    評価方法の全体像を比較して整理します

    ここまで見てきた仕様基準、Webプログラム等、モデル建物法の3つの評価方法を、特徴と案件で求められる視点とあわせて整理します。案件によって使われる評価方法は異なるため、全体像をつかんでおくと、担当する計算の位置づけを把握しやすくなります。

    評価方法特徴案件で求められること
    仕様基準決められた仕様への適合を確認する簡易な方法3仕様書・図面を正しく読み取る力
    Webプログラム等入力条件から計算し詳細に評価する方法3入力条件の整理・計算ロジックの理解
    モデル建物法用途ごとのモデル建物で計算する簡易な評価方法4建物用途とデータの対応付け

    3つの評価方法の特徴を押さえておくと、案件を依頼された時点で、どのくらいのデータ整備が必要になるかを見積もりやすくなります。計算の設計だけでなく、必要なデータを洗い出す力も、この領域で活きるスキルの一つです。

    評価方法を理解したら、次はその計算結果がどのような手続きに使われるのかを見ていきます。

    4. 省エネ適判・建築確認とBELS(手続きとデータ)

    計算結果は、適判と確認という2つの手続きに使われます

    省エネ基準への適合義務を果たすには、省エネ適合性判定(省エネ適判)の申請と建築確認申請が必要です5。計算した結果は、これらの手続きの中で、根拠となるデータとして提出されます。

    手続きの流れを図にまとめました。計算・データ整備から適判、建築確認へとつながる流れを押さえておくと、案件の中でどの工程を担当しているのかが見えやすくなります。

    図4:省エネ適判・建築確認・BELSの手続きの流れ
    計算とデータ整備 図面・仕様の言語化 省エネ適判の申請 計算書の提出 建築確認の申請 計画通知・確認 BELS表示(任意) 任意の性能表示

    出典:国土交通省「建築基準法・建築物省エネ法 改正法制度説明資料」

    この一連の手続きでは、計算結果や図面データを、設計者・審査機関・施主など複数の関係者の間でやり取りする場面が生まれます。データの形式や提出のタイミングを整理しておくことは、手続き全体をスムーズに進めるうえで欠かせない作業です。

    計算結果や申請書類を整理し、必要なタイミングで取り出せる状態にしておくことも、この領域で求められる仕事の一つです。データの管理体制を整えることは、手続き全体の精度を高めることにつながります。

    手続きの内容と、扱うデータを表で整理します

    省エネ適判と建築確認は、それぞれ役割が異なる手続きです。あわせて、省エネ性能表示の仕組みにあたるBELSについても整理しました。どのデータが、どの手続きで必要になるのかを知っておくと、案件で求められる作業の見通しが立てやすくなります。

    手続き内容案件で扱うデータ
    省エネ適合性判定(省エネ適判)省エネ基準への適合を判定する手続き5計算書・入力条件データ
    建築確認建築物省エネ法・建築基準法に基づく確認申請の手続き5図面・計画通知データ
    BELS表示省エネ性能を広告等に表示するための仕組み6性能表示のためのデータ整備

    省エネ性能表示の推進として、販売・賃貸の広告等に省エネ性能を表示する方法等が国から告示されています6。BELSは、この表示の仕組みの一つです。設計段階の計算が、購入者や利用者に向けた表示にまでつながっているということです。

    BELSによる性能表示は、建築物を選ぶ側にとっての判断材料にもなります。設計段階で整えた計算データが、完成後の情報提供にまでつながっていく点は、この領域の仕事に関わる意味の一つといえます。

    BELS表示は任意の仕組みです。どの案件で表示を行うかは事業者の判断に委ねられています。表示を選ぶ案件では、性能を示すためのデータをあらためて整える工程が発生します。

    省エネ性能の表示は、建築物の資産価値や運用コストの見通しを示す情報にもなります。設計段階の計算が、将来にわたる情報提供の基礎になっているということです。

    こうした情報は、建築物を長く使い続けるかどうかを判断する材料としても役立ちます。数値として示された性能は、後から見直しや検証をしやすいという良さも持っています。

    5. リモート・フリーランス案件でどう関わるか(計算・データ・BIM・見極め)

    計算・データ整備・BIM連携の視点で案件と関わることができます

    建築の専門知識がないと省エネ計算の案件には関われない、と感じてしまうかもしれません。ですが実際には、計算ロジックの実装やデータの整理、BIMと計算ツールの連携など、計算・データ・システムの視点を持つ人が活きる領域が広がっています。

    省エネ計算の案件と聞くと、建築系の資格や実務経験が前提になっている、という印象を持つ人もいるかもしれません。ですが計算・データの側面に特化した関わり方であれば、これまでITやデータ分野で積み上げてきた経験を土台にすることができます。

    初めて省エネ計算に関わるときは、法令や手続きの用語に戸惑うこともあるかもしれません。ですが、計算の枠組みやデータの流れを理解していけば、これまでの経験と結びつく部分が見えてきます。

    案件によっては、経験を積んだ担当者と一緒に、計算条件の確認や入力データの整理から関わり始めることもあります。工程を一つずつ理解しながら進めることで、任される範囲を少しずつ広げていくことができます。焦らず段階を踏んで関わっていく進め方も、この領域では選びやすい形です。

    計算を自動化する仕組みづくりや、複数案件の計算結果を横断的に管理する仕組みに関わる機会も出てきます。スクリプトやツールを使った効率化の経験は、この領域でも活かせる強みです。

    たとえば、Webプログラムへの入力条件を整えたり、計算結果とBIMの属性データを突き合わせたりする作業は、建築の専門知識だけでなく、データを扱う力が問われる工程です。図面を描く力よりも、条件を過不足なく整理してシステムに渡す力のほうが、こうした案件では重みを増します。

    計算ツールや入力フォーマットは案件ごとに異なります。新しい仕組みに合わせてデータを整える柔軟さや、計算結果を第三者にも分かるように整理する力は、建築の実務経験の有無にかかわらず評価されやすいポイントです。

    こうした計算・データ関連の案件は、常駐が前提の仕事とは限りません。Remogu(株式会社LASSIC運営)が扱う案件は、90%以上がフルリモート可能です7。場所に縛られず、これまで積み上げてきた計算やデータの経験を活かせる環境が広がっています。

    働く場所を選べることは、計算やデータを扱う仕事にとって大きな意味を持ちます。オフィスへの移動時間を減らし、集中して計算やデータ整理に取り組める環境をつくれることは、この領域で力を発揮するうえでの後押しになります。

    計算・データの経験を積むほど、関われる案件の幅も広がっていきます。特定の分野に強みを持つ技術者として、少しずつ実績を積み上げていく道もあります。

    案件の内容や条件は時期によって変わります。まずは登録して、自分の経験に近い条件の案件がどのくらいあるかを確かめてみるのも、次の一歩になります。

    6. まとめ

    建築物省エネ法の全面義務化によって、省エネ性能を計算し、データとして示す仕事は、建築の専門家だけのものではなくなりました。仕様基準・Webプログラム等・モデル建物法という評価方法を理解し、省エネ適判や建築確認、BELSといった手続きの流れをつかんでおけば、計算・データ・システムの視点からでも案件に関わることができます。

    建築の専門知識がないと関われない、という不安は、計算・データ・システムという切り口に立てば小さくなります。積み上げてきた経験をどう活かせるかは、案件の詳細を知ることで見えてきます。この変化を追い風として捉える視点は、これから案件を選ぶうえでも参考になります。

    積み上げてきた計算やデータ整理の経験は、この領域でも通用する力です。まずは登録して、自分の経験に近い条件の案件を確かめてみましょう。

    7. よくある質問

    ここでは、この記事の内容に関連してよく寄せられる質問をまとめました。

    建築の専門でなくても関われますか

    計算・データ・システムの視点を持つ人が活きる工程が広がっています。仕様書や計算条件を正しく読み取り、データとして整理する力があれば、関われる案件はあります。建築士としての実務経験がなくても、計算やデータの側面を担う関わり方から始めることができます。

    どんなスキルが活きますか

    条件を整理して入力する力、計算ロジックを理解する力、データベースやBIMとの連携を扱う力などが活きます。図面を描く力に加えて、データを扱う視点が重視される領域です。表計算やスクリプトでの自動化に慣れている人にとっても、活かせる場面があります。

    計算やデータ整備の経験は活きますか

    他分野で培った計算・データ整備の経験も活かせる場面があります。条件を過不足なく整理し、計算結果を正しく扱う力は、省エネ計算の案件でも共通して求められます。数値を扱う仕事に慣れている人ほど、入力条件の抜け漏れやデータの不整合に気づきやすくなります。

    BIMやデータベースの経験は活きますか

    BIMの属性データや計算結果を扱うデータベースの経験は、計算とデータをつなぐ工程で活きます。設計データと計算データを結びつける視点は、これからの案件でも求められやすい力です。異なるフォーマット間でデータを整合させる経験があれば、強みとして伝えやすくなります。

    案件はフルリモートでもできますか

    先ほど触れたとおり、フルリモートで進めやすい案件が中心です。ただし、案件によって条件は異なるため、詳しい内容は登録のうえで確かめてみましょう。働く場所にとらわれず、計算やデータの経験を活かせる案件を見つける入り口として、登録から始めてみるのも一つの方法です。

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    ※公開中の案件数は時期によって変わります。記事中の案件の傾向は執筆時点のものです。

    出典・参考情報

    *1 国土交通省「建築基準法・建築物省エネ法 改正法制度説明資料」(2024年9月)
    *2 国土交通省「建築基準法・建築物省エネ法 改正法制度説明資料」(2024年9月)
    *3 国土交通省「建築基準法・建築物省エネ法 改正法制度説明資料」(2024年9月)
    *4 国土交通省「建築基準法・建築物省エネ法 改正法制度説明資料」(2024年9月)
    *5 国土交通省「建築基準法・建築物省エネ法 改正法制度説明資料」(2024年9月)
    *6 国土交通省「建築基準法・建築物省エネ法 改正法制度説明資料」(2024年9月)
    *7 Remogu(株式会社LASSIC運営)公開情報:扱う案件の90%以上がフルリモート可能