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    自治体システム標準化の案件|ガバメントクラウド移行の進め方

    「現行から共通基盤へ」を示す図です。現行システム/標準準拠/クラウド移行/本番運用を並べています。強調しているのはクラウド移行です。

    📘 この記事でわかること

    • ガバメントクラウドとは何かという定義と、標準準拠システムの移行が全国で進む制度上の背景
    • 現行システムの確認や移行計画、調達までの一連の流れと、案件で確かめておきたい実務の観点
    • マルチクラウド構成やネットワーク接続の設計と、都道府県・市区町村・事業者が連携する体制の全体像

    自治体のシステムに関わるエンジニアの間で、ガバメントクラウドという言葉を目にする機会が増えています。全国の地方公共団体が対象になる大掛かりな移行の動きとなっており、クラウド基盤やネットワーク設計の経験を持つ人材への案件が広がっています。制度の枠組みは複雑に見えますが、要点を整理すれば案件への関わり方は見えてきます。この記事では、移行が進む背景から実務で確かめておきたい観点、リモートでの関わり方までをまとめます。

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    1. ガバメントクラウド移行の案件が増えている背景

    ガバメントクラウドとは

    ガバメントクラウドとは、政府情報システムなどに共通の基盤・機能を提供するクラウドサービスを指します1。各府省や地方公共団体がそれぞれ個別に基盤を用意していた形から、共通の基盤を活用する形へと切り替える動きの中核にある仕組みです。名称だけを聞くと縁遠く感じられますが、中身はクラウド基盤の設計・構築・運用という、これまでの案件でも扱われてきた技術領域そのものです。

    この切り替えは一部の自治体だけの取り組みではなく、全国規模で足並みを揃えて進む動きです。1つの自治体の案件で終わるのではなく、同じ技術要素を扱う案件が各地で連続して立ち上がっている状況にあります。積み上げてきたクラウドの経験が、そのまま自治体案件の入口になります。

    標準化の目的と努力義務

    地方公共団体情報システムの標準化は、住民の利便性の向上及び地方公共団体の行政運営の効率化に資することを目的として進められています2。個々の自治体が独自の仕様で運用してきたシステムを、共通の仕様に揃える取り組みです。効率化という言葉だけを見ると地味な印象ですが、実際には全国の基幹業務システムを対象にした大掛かりな設計変更にあたります。

    あわせて、標準準拠システムの利用にあたってはガバメントクラウドを活用することが努力義務になっています3。義務化ではなく努力義務という言葉づかいですが、実務としては全国の自治体が同じ方向に進む前提になっています。制度の後ろ盾があるからこそ、移行案件は一時的な流行ではなく、当面続く実務の塊として案件市場に現れています。

    図1:現行システムから標準準拠システム、ガバメントクラウドへの位置づけ
    現行システムから標準準拠システム、ガバメントクラウドへの位置づけ 現行システム 自治体ごとの 個別仕様 標準準拠 システム 全国共通の仕様 ガバメントクラウド 上で稼働 共通基盤の活用 (努力義務)

    出典:デジタル庁『地方公共団体標準準拠システムのガバメントクラウド移行に係る手順書』(2025年3月)

    【表1:押さえる基本用語】自治体システムの移行に関わる案件では、制度特有の用語が頻出します。ここでは、企画書や要件定義の場面でまず押さえておきたい基本用語を整理します。標準準拠システムやガバメントクラウド、マルチクラウド構成といった言葉は、案件の技術要素を理解する起点になります。用語の意味を先に押さえておくことで、案件の説明を読んだときに、これまでの経験がどの部分に対応するかを素早く判断できるようになります。

    用語意味案件との関わり
    標準準拠システム全国の地方公共団体が共通の仕様に合わせて運用するシステム移行元となる既存システムの整理や仕様確認で登場します
    ガバメントクラウド政府情報システムなどに共通の基盤・機能を提供するクラウドサービス1移行先の基盤として、設計・構築・運用の対象になります
    マルチクラウド構成複数のクラウドサービスを組み合わせる構成4基盤ごとの設計や連携部分の検討が必要になります
    努力義務罰則を伴う義務ではなく、取り組みが求められる位置づけ3移行が全国的に進む制度上の後ろ盾になっています

    制度の枠組みが定まれば、次に問われるのは移行をどう進めるかという計画の中身です。

    2. 移行計画の立て方と、現行システムの確認

    現行システムの確認

    移行に着手する前に欠かせないのが、現行システムの棚卸しです。どの業務がどのシステムに乗っているか、どんなデータ形式で保持しているか、他システムとどう連携しているかを洗い出す作業になります。地味に見える工程ですが、ここでの見落としが後工程の手戻りに直結するため、確認作業そのものが独立した案件として切り出されている自治体もあります。

    棚卸しの精度は、後に続く移行計画の質をそのまま左右します。表面的な資料の確認だけでなく、実際の運用担当者への聞き取りを重ねて実態を把握する姿勢のほうが、書類上の情報だけをなぞる進め方よりも精度の高い計画につながります。

    移行計画の全体像

    現行の把握が終わると、移行計画の策定に移ります。スケジュールの設定、体制の整理、調達方式の検討などを一体で進める工程です。計画段階から関わることができれば、後工程の設計や構築の意図を理解した状態で仕事を進められるという利点があります。

    逆に、計画を知らないまま構築だけを任される場合は、背景の理解に時間を割く必要が出てきます。計画段階からの関わりのほうが、構築だけを担う関わり方よりも裁量の幅は大きくなる傾向にあります。案件の説明を読むときは、どの段階から関わる募集なのかを確かめておくと、経験を活かせる場面が見通しやすくなります。

    図2:現行確認から移行計画、調達、移行実施までの流れ
    現行確認から移行計画、調達、移行実施までの流れ 現行確認 棚卸し 移行計画 体制と工程 調達 事業者選定 移行 実施

    出典:デジタル庁『地方公共団体標準準拠システムのガバメントクラウド移行に係る手順書』(2025年3月)

    【表2:案件で確かめる観点】移行計画から調達までの工程では、案件ごとに求められる役割が変わります。企画書や募集内容を確認するときに、どの工程を担当するのかを見極めるための観点を整理しました。現行システムの確認だけを担う案件もあれば、計画策定から調達、移行実施までを通して関わる案件もあります。経験がどの工程に強みを持つかを照らし合わせることで、条件を協議する際の材料にもなります。

    観点確認すること想定される関わり方
    現行システムの状況業務とシステムの対応関係、データ形式、他システムとの連携棚卸しや仕様書の整理を担当
    移行計画の工程スケジュール、体制、調達方式の検討状況計画段階からの参画か、構築段階からの参画かを確認
    調達の進み方調達方式、事業者選定の時期調達支援や要件整理での関わり
    移行実施の範囲対象システムの範囲、移行後の検証方法移行作業や検証工程の担当

    計画が固まれば、実際に手を動かす場面としてクラウド基盤とネットワークの設計が動き出します。

    3. マルチクラウド・ネットワーク接続・データ移行

    マルチクラウド構成とデータ移行

    ガバメントクラウドへの移行では、複数のクラウドサービスを組み合わせるマルチクラウド構成となる場合があります4。1つの基盤に寄せる設計だけでなく、複数の基盤を前提にした設計力が問われる場面が出てくるということです。特定のクラウド事業者に精通していることよりも、複数の基盤を横断して整合性を保つ設計力のほうが評価されやすい領域といえます。

    あわせて、現行システムのデータを新しい環境へ移す作業も避けて通れません。データの形式変換や整合性の確認、移行後の検証まで、一連の流れを見通す力が求められます。データ移行の実務経験は、業種を問わず積み上げてきたものがそのまま活きる場面です。

    ネットワーク接続方式と回線調達

    クラウド基盤とどうつなぐかというネットワーク接続方式も、移行計画の大きな要素です。選ぶ接続方式に応じて、要件の定義と通信回線事業者の調達を並行して進める必要があります5。接続方式が固まらないと要件が定まらず、要件が定まらないと調達も動けません。

    ネットワーク設計の経験がある人材には、この並行作業を見通せるという強みがあります。単発の設定作業として捉えるより、調達スケジュール全体を見据えて動くほうが、案件の中で頼りにされる場面が増えていきます。

    図3:マルチクラウドとネットワーク接続の構成
    マルチクラウドとネットワーク接続の構成 地方公共団体 庁内システム 接続 ガバメントクラウド(マルチクラウド構成) クラウド サービスA クラウド サービスB

    出典:デジタル庁『地方公共団体標準準拠システムのガバメントクラウド移行に係る手順書』(2025年3月)

    【表3:設計で確かめる観点】マルチクラウドやネットワーク接続の設計は、移行案件の中でも技術的な検討が集中する工程です。案件の説明を読む際に、どの設計要素が含まれているかを確かめる観点をまとめました。基盤の組み合わせ方、データの移行方式、接続方式の選定、回線の調達スケジュールは、それぞれ別の専門性が求められる場面です。1つの案件がすべてを含むとは限らないため、経験と照らして確認しておくことが大切です。

    観点内容経験が活きる場面
    マルチクラウド構成複数のクラウドサービスを組み合わせる設計4基盤ごとの特性を踏まえた設計経験
    データ移行方式現行システムからのデータ形式変換と整合性確認データ移行の実務経験
    ネットワーク接続方式接続方式の選定と要件定義5ネットワーク設計・構築の経験
    回線調達のスケジュール接続方式に応じた通信回線事業者の調達5調達スケジュールを見通す実務経験

    こうした技術要素を支えているのは、国・都道府県・市区町村・事業者がそれぞれの役割を持つ体制です。

    4. 体制と調達、都道府県の役割

    関係者の体制

    標準化・共通化の取り組みは、市区町村単独では完結しません。都道府県は広域自治体として、管内の市区町村における基幹業務システムの標準化・共通化の進捗管理などを担っています6。国が制度の大枠を示し、都道府県が管内の進捗を束ね、市区町村が個別の移行を実行するという、階層を持った体制です。

    事業者はその実務を支える立場として、複数の自治体をまたいで関わる場面も出てきます。1つの自治体だけを見て動くよりも、都道府県単位での進捗の足並みを意識して動くほうが、体制の中で信頼される関わり方になります。

    調達と運用管理の実務

    調達の場面でも、ネットワーク接続方式の選択と並行した進行が求められます5。仕様を固める前に接続方式の見通しを立てる必要があり、調達担当者とエンジニアの間で認識を揃える作業が発生します。

    運用管理の段階に入ってからも、複数の自治体で足並みを揃えた保守体制を維持する必要があるため、技術面の橋渡し役としての関わりは移行後も続きます。単発の構築作業として終わらず、継続的な関わりにつながりやすい領域です。

    図4:国・都道府県・市区町村・事業者の連携
    国・都道府県・市区町村・事業者の連携 国(デジタル庁) 制度の大枠を提示 都道府県 管内の進捗管理 市区町村 個別の移行を実行 事業者 実務を支える

    出典:デジタル庁『地方公共団体標準準拠システムのガバメントクラウド移行に係る手順書』(2025年3月)

    体制が階層を持つ一方で、実務そのものはリモート中心でも十分に関われる領域です。

    5. 案件への関わり方と、選ぶ観点

    クラウド移行・インフラ・ネットワーク・データ移行の経験が効く

    自治体システムの移行案件では、特定のクラウド事業者に精通していることよりも、クラウド基盤の設計・構築・運用というインフラ全般の経験が効いてきます。マルチクラウド構成の設計、ネットワーク接続方式の検討、データ移行の実務といった要素は、業種を問わず積み上げてきた経験がそのまま活きる領域です。

    特定の製品知識だけを深めるよりも、複数の技術要素を横断して見通す力のほうが評価されやすい案件です。これまで民間企業向けのインフラ構築に携わってきた経験も、対象が自治体に変わるだけで、求められる技術の中身は近いものになります。

    リモート中心でも関われる

    移行の実務は設計文書の作成、構成の検討、移行手順の整理など、対面での常駐を前提としない工程が中心になります。自治体システムという言葉から現地常駐を想像しがちですが、実際にはリモートで完結する関わり方が広がっています。

    Remogu(株式会社LASSIC運営)が扱う案件の90%以上がフルリモート可能です7。場所に縛られずに専門性を発揮したいという理想と、自治体システムの移行という制度に裏づけられた実務は、無理なく結びつきます。積み上げてきたクラウドとネットワークの経験を、まず自分に合う条件で確かめてみることができます。

    次に、ここまでの内容を要点として整理します。

    6. まとめ

    ガバメントクラウドは、政府情報システムなどに共通の基盤を提供する仕組みです1。地方公共団体情報システムの標準化は、住民の利便性向上と行政運営の効率化を目的としており2、標準準拠システムの利用にあたってはガバメントクラウドの活用が努力義務になっています3。この制度の後ろ盾が、各地で連続する移行案件を生み出している背景です。

    実務ではマルチクラウド構成の設計4、ネットワーク接続方式の検討と回線調達5、都道府県を含めた体制づくり6が焦点になります。特定のクラウド事業者の知識よりも、インフラ全般を横断して見通す経験のほうが評価されやすい案件です。

    移行の実務は、設計や検証を中心に対面の常駐を前提としない工程が多くを占めます。積み上げてきたクラウドとネットワークの経験を、まずは自分に合う条件で確かめてみることが次の一歩になります。

    7. よくある質問

    自治体システム標準化の案件で何をしますか

    現行システムの棚卸し、移行計画の策定支援、マルチクラウド構成の設計、ネットワーク接続方式の検討、データ移行の実務など、工程によって関わり方は変わります。1つの案件がすべての工程を含むとは限らず、得意な工程を選んで関わる案件もあります。

    どんな技術経験が活きますか

    クラウド基盤の設計・構築・運用経験、マルチクラウド構成の知見、ネットワーク接続方式の検討経験、データ移行の実務経験が活きる領域です。特定のクラウド事業者に限定した知識よりも、複数の基盤を横断して設計できる力のほうが評価されやすくなっています。

    クラウド移行やネットワークの経験は活きますか

    活きます。ガバメントクラウドへの移行では複数のクラウドサービスを組み合わせるマルチクラウド構成となる場合があり4、接続方式に応じた要件定義と回線調達を並行して進める必要があります5。この2つの経験を持つ人材は、移行案件全体を見通しやすい立場になります。

    リモートで関われますか

    関われます。設計文書の作成や構成の検討、移行手順の整理といった工程は対面での常駐を前提としません。経験に合う条件は、まず登録して確かめてみることができます。

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    ※公開中の案件数は時期によって変わります。記事中の案件の傾向は執筆時点のものです。

    出典・参考情報

    *1 デジタル庁「地方公共団体標準準拠システムのガバメントクラウド移行に係る手順書」(2025年3月)
    *2 デジタル庁「地方公共団体標準準拠システムのガバメントクラウド移行に係る手順書」(2025年3月)
    *3 デジタル庁「地方公共団体標準準拠システムのガバメントクラウド移行に係る手順書」(2025年3月)
    *4 デジタル庁「地方公共団体標準準拠システムのガバメントクラウド移行に係る手順書」(2025年3月)
    *5 デジタル庁「地方公共団体標準準拠システムのガバメントクラウド移行に係る手順書」(2025年3月)
    *6 デジタル庁「地方公共団体標準準拠システムのガバメントクラウド移行に係る手順書」(2025年3月)
    *7 Remogu(株式会社LASSIC運営)公開情報:扱う案件の90%以上がフルリモート可能