• ノウハウ
  • |Remogu(リモグ)" />

    【生物多様性データ】自然共生サイトの案件で担うGIS管理と国際連携・必要スキル

    「民間の区域を広げてつなぐ」を示す図です。保護地域/民間の区域/OECM登録/国際DBを並べています。強調しているのはOECM登録です。

    📘 この記事でわかること

    • 30by30という国際目標の中身と、そこにOECMや自然共生サイトが位置づけられる仕組み
    • 区域データをGISで整備し国際データベースへ登録する流れと、モニタリング・可視化までの広がり
    • 地理空間データやデータ連携の経験がどう活きるかと、リモート中心でも関われる案件への関わり方

    地理空間データを扱ってきたエンジニアの中には、環境分野の案件をどう選べばよいか迷う人がいます。生物多様性の保全は、国際的な目標のもとで区域データの整備や国際データベースとの連携が動いている分野です。GISやデータ連携の経験は、こうした案件でそのまま活きる場面が増えています。この記事では、自然共生サイトという仕組みと、エンジニアが関わる領域を整理します。

    リモートワーク案件特化のエージェント|Remogu(株式会社LASSIC運営) 地理空間データ・環境データに関わるリモート案件を、条件から探す フルリモートの案件を見る

    1. 生物多様性の保全は、面積を守る30by30から動いています

    生物多様性の保全というと、個々の種を守る取組を思い浮かべがちです。しかし国際的な議論の軸は、種ごとの対策に加えて、面積そのものを健全な状態に保つ方向へと広がっています。まずこの分野の出発点になっている考え方から見ていきます。

    ネイチャーポジティブとは

    ネイチャーポジティブとは、自然を回復軌道に乗せるため、生物多様性の損失を止め、反転させることを指します1。損失を食い止めるだけでなく、失われた自然を取り戻す方向へ転じさせる考え方だという点で、これまでの保全の発想とは前提が異なります。この転換を数値目標に落とし込んだものが、30by30です。

    30by30目標

    30by30目標は、2030年までに陸と海の30%以上を健全な生態系として効果的に保全することを目指すものです2。面積という分かりやすい指標を掲げることで、各国の取組を比較しやすい形に整えています。ただし、この30%を既存の保護地域だけで満たすのは容易ではありません。

    そこで重要になるのが、保護地域以外の区域をどう取り込むかという発想です。企業や自治体が管理する森林や緑地も、条件を満たせば保全に資する区域として位置づけられます。次の仕組みを理解すると、区域データがどのように扱われているかが見えてきます。

    この分野を扱う解説記事は、制度の説明にとどまりやすく、区域データを実際にどう扱うかまでは踏み込んでいない場合があります。この記事では、区域データの整備・国際連携・モニタリングという、データを扱う立場から見た流れを軸に整理します。

    【表1】30by30を巡って押さえておきたい基本用語をまとめました。ネイチャーポジティブという理念、30by30という数値目標、そしてOECMという枠組みは、それぞれ異なる階層にある考え方です。区域データを扱う案件ではこれらの用語が混在して出てくるため、まず言葉の位置づけを整理しておくと、資料や案件の説明を読み違えにくくなります。

    用語意味位置づけ
    ネイチャーポジティブ自然を回復軌道に乗せ、生物多様性の損失を止めて反転させるという考え方1保全全体を貫く理念
    30by30目標2030年までに陸と海の30%以上を健全な生態系として効果的に保全する目標2理念を測る数値目標
    OECM保護地域以外で生物多様性の保全に資する地域を設定・管理する枠組み3目標を達成する手段の一つ
    自然共生サイト民間の取組等によって保全が図られている区域を認定する仕組み4OECMを国内で運用する仕組み
    図1:30by30目標と保護地域・OECMの関係
    30by30目標 陸と海の30%以上を健全な生態系として保全 保護地域 従来からの指定区域 法令に基づく保全 OECM 保護地域以外で保全に資する区域 民間の取り組みと連携 両方の区域を合わせて30%の達成を目指します

    出典:環境省『令和6年版 環境・循環型社会・生物多様性白書』をもとに作成

    保護地域だけでなく、民間の取組が生きる区域まで含めて30%を目指す発想は、区域データの扱い方にも影響します。この民間の区域を制度として位置づける仕組みが、自然共生サイトです。

    2. OECMと自然共生サイトという仕組み

    OECMを設定・管理し民間と連携

    OECMは、保護地域以外で生物多様性の保全に資する地域を指し、こうした区域を設定・管理し、民間の取組と連携した取組を推進する枠組みです3。行政だけで完結させず、民間が持つ区域を巻き込むことで、保全の対象となる面積を広げようとしている点が特徴です。

    自然共生サイトとして認定・多様な対象

    民間の取組等によって生物多様性の保全が図られている区域を「自然共生サイト」として認定する仕組みは、2023年度から始まっています4。対象には、企業の水源の森や都市の緑地など、多様な場所が含まれます5。里地里山や藻場、干潟のように性質の異なる区域が並んで認定の対象になる点も、このデータの扱いにくさであり、面白さでもあります。

    認定を受ける主体は、企業だけでなく自治体やNPOなど幅広く想定されています。区域ごとに管理の体制や記録の残し方が異なるため、データとして扱う際には、まず主体ごとの違いを把握する作業が発生します。

    認定を受けた区域は、それぞれ位置や範囲、管理の主体が異なります。区域データを扱う立場からすると、統一された形式で情報を突き合わせられるかどうかが、案件の難易度を左右する要素になります。

    【表2】自然共生サイトやOECMという仕組みを扱う際に、確かめておきたい観点を整理しました。認定区域は種類も管理主体も幅広いため、区域そのものの情報だけでなく、周辺の制度との関係まで含めて確認する姿勢が求められます。

    観点確認する内容関連する仕組み
    対象区域の範囲認定を受けた区域がどこまでを含むかを地図で確認する自然共生サイトの認定4
    対象の種類森林・緑地・水辺など、どのような場所が含まれているか多様な場所が対象5
    保護地域との重複既存の保護地域とどこが重なり、どこが重ならないか重複を除きOECMへ登録6
    管理主体との連携民間の取組主体とどのように情報をやり取りするか民間の取組と連携3
    図2:自然共生サイトの認定の枠組み
    多様な場所での保全活動 企業の水源の森・都市の緑地など 自然共生サイトとして認定 2023年度から始まった仕組み 保護地域との重複を除きOECMとして登録

    出典:環境省『令和6年版 環境・循環型社会・生物多様性白書』をもとに作成

    認定された区域は、そこで終わりではありません。区域データとして整えられたのち、国際的な仕組みへとつながっていきます。

    3. 区域データのGIS管理と国際データベース連携

    区域データをGISで整備・管理

    認定された区域の情報は、位置や範囲、周辺の土地利用などとあわせて、GIS(地理情報システム)で整備・管理されます。座標系の統一や属性項目の設計、更新履歴の管理など、地理空間データを扱ってきた経験がそのまま活きる作業が多く含まれます。

    区域データを扱う案件では、現地調査によって得られた情報を、そのままGISに取り込めるとは限りません。表記のゆれや座標系の違いを整えるところから作業が始まる場合もあり、データ整備の経験があるほど、こうした前処理の負荷を見積もりやすくなります。

    区域は森林から都市の緑地、干潟まで性質が幅広いため、同じ形式では扱えない情報も出てきます。既存のデータ基盤や解析の経験を持つ立場からは、区域ごとに異なる粒度の情報をどう標準化するかという課題として捉えると、案件の全体像がつかみやすくなります。

    OECMとして国際データベースに登録

    認定された区域は、保護地域との重複を除き、OECMとして国際データベースに登録されます6。国内で整えた区域データを、国際的な基準に沿った形式へ変換し、連携していく作業が発生する点は、他のデータ連携案件と共通する部分です。

    【表3】区域データをGIS管理から国際データベース連携まで進める案件で、確認しておきたい観点をまとめました。データ形式や更新の頻度、連携の仕組みは案件によって幅があるため、着手前に確かめておくと、後工程での手戻りを抑えやすくなります。

    観点確認する内容補足
    座標系・データ形式区域データがどの座標系・形式で提供されるか既存のGIS基盤との整合を確認する
    更新の頻度認定区域の情報がどのくらいの間隔で更新されるか変更履歴の管理方法もあわせて確認する
    国際データベースとの連携方法登録・更新の手順がどこまで整えられているかOECMとしての登録6
    権限と共有範囲関係者の間でデータをどこまで共有できるか民間の管理主体との調整が関わる
    図3:区域データから国際データベースへの流れ
    現地の 区域データ 位置・範囲・状態 GISで整備・ 管理 地図・属性情報 認定情報と 結び付け 自然共生サイト台帳 OECMとして 国際DBへ 登録

    出典:環境省『令和6年版 環境・循環型社会・生物多様性白書』をもとに作成

    区域データを整えて登録した先には、それで終わらない仕事があります。認定された区域の状態を、その後も見続ける役割です。

    4. モニタリングとデータの可視化

    生物多様性の状態を継続的に把握するモニタリング

    認定を受けた区域は、認定して終わりではなく、その後も生物多様性の状態を継続的に把握するモニタリングが伴います。現地調査の記録や、センサーで取得したデータを、時系列で蓄積していく仕組みづくりが求められます。

    モニタリングの対象は、植生や生息する種の変化、周辺の土地利用の変化など多岐にわたります。データの粒度も現地ごとに異なるため、収集の仕組みを設計する段階から、地理空間データを扱ってきた経験が活きる場面が出てきます。

    データの可視化・共有

    蓄積したモニタリングデータは、関係者が状況を共有できるよう、地図や図表として可視化する工程を経ます。区域の変化を時系列で追える形に整えることで、管理する主体だけでなく、外部への説明にも使える資料になります。

    可視化の実装には、地図をベースにしたダッシュボードや、時系列の変化を示すグラフなど、いくつかの手法が使われます。特定のツールに限定されるわけではなく、既存の可視化基盤に区域データを組み込む形で進む案件も見られます。

    こうしたモニタリングと可視化の作業は、現地での調査そのものを除けば、リモートで進めやすい性質を持っています。集めたデータの整形や分析、可視化の実装は、場所を選ばない工程が中心だからです。

    図4:モニタリングと可視化の流れ
    継続的な モニタリング データの 蓄積・整理 可視化・ 共有 可視化した結果を次のモニタリング計画に反映します

    出典:環境省『令和6年版 環境・循環型社会・生物多様性白書』をもとに作成

    区域データの整備から国際連携、モニタリングと可視化まで、一連の作業はリモート中心でも十分に関われる領域です。

    5. 案件への関わり方と、選ぶ観点

    地理空間データ・データ整備・データ連携・可視化の経験が効く

    ここまで見てきたように、生物多様性データの案件では、区域データの整備や国際データベースとの連携、モニタリングデータの可視化といった工程が中心になります。GISでの座標系や属性の扱い、データ連携の設計、可視化の実装といった経験は、環境という領域を初めて扱う場合でも、そのまま持ち込める強みです。

    環境分野の専門知識よりも、区域という空間的な単位でデータを扱ってきた経験のほうが、参画の初期段階では効いてくる場面が見られます。専門用語は案件を進めながら身につけられますが、データの構造を読み解く力は、これまで積み上げてきた経験に支えられているためです。

    自分の経験がどの工程に重なるかを考えるときは、GISでの実装経験だけでなく、データ連携や可視化に携わった経験も含めて棚卸ししてみると、参画できる案件の幅が広がって見えてきます。

    リモート中心でも関われる

    区域データの整備やモニタリング結果の可視化は、現地調査を除けばリモートで進めやすい工程です。案件の90%以上がフルリモート可能です7。場所に縛られずに関われる案件が中心にあるため、環境分野への参画を検討する際の選択肢として考えやすくなります。

    案件ごとに求められる経験の比重は異なり、GISに強みがある案件もあれば、データ連携やダッシュボード構築が中心の案件もあります。自分の経験がどの工程に重なるかを見極めることが、参画先を選ぶ際の軸になります。

    生物多様性データの領域は、扱う対象こそ自然環境ですが、求められる作業の多くは見慣れたデータの整備・連携・可視化です。次に、記事全体で押さえておきたい点を整理します。

    6. まとめ

    生物多様性の保全は、30by30という面積の目標に向けて、保護地域だけでなくOECMや自然共生サイトのような民間の区域を取り込みながら進んでいます。

    • ネイチャーポジティブという考え方の芯にあるのは、損失を止め反転させるという発想の転換
    • 30by30という数値目標を、保護地域とOECMの両輪で目指す構造
    • 自然共生サイトの認定を経て、区域データが国際データベースへとつながる流れ
    • 認定後も続くモニタリングと可視化という、リモートで関わりやすい工程

    区域データの整備や連携、モニタリングの可視化に必要な経験は、GISやデータ連携に携わってきた実務者にとって特別なものではありません。まずは自分の経験に近い案件を探し、条件を確かめてみることが、環境分野への関わり方を具体的にする最初の一歩になります。

    7. よくある質問

    生物多様性データの案件で何を作るのか

    案件の中心になるのは、認定区域の情報をGISで整備する仕組み、区域データを国際データベースの形式に合わせて連携する仕組み、モニタリングデータを地図や図表として可視化する仕組みを作ることです。制度そのものの設計ではなく、データを整え、つなぎ、見える形にする工程が中心になります。案件によっては、区域データを関係者へ分かりやすく共有するための資料作成まで含まれる場合もあります。

    どんな技術経験が活きるのか

    GISでの座標系・属性データの扱い、異なる形式のデータを連携させる設計、可視化ツールやダッシュボードの実装といった経験が活きます。特に、異なる形式のデータをつなぐ設計経験は、環境分野に限らず評価されやすい経験です。環境分野特有の知識は、案件を進めながら補っていける部分です。

    GISの経験は活きるのか

    区域データは地理空間情報として扱われる場面が中心のため、GISの実務経験は評価されやすい要素です。座標系の統一や属性設計、地図としての可視化に携わった経験があれば、参画の初期段階から役割を持ちやすくなります。座標系や属性設計の経験がなくても、データ構造を読み解く力があれば、参画しながら身につけていける部分です。

    リモートで関われるのか

    現地調査を除けば、区域データの整備やモニタリング結果の可視化はリモートで進めやすい工程です。Remoguが扱う案件も、リモートを中心とした環境が整っています。案件ごとの条件は変わるため、気になる案件を確認しながら、自分に合う関わり方を探ることができます。

    リモートワーク案件をお探しの方へ

    Remoguは、株式会社LASSICが運営するITエンジニア・デザイナー専門のリモートワーク案件紹介サービスです。フルリモート・ハイブリッドの案件から、スキルに合うものを探せます。

    まずは地理空間データや環境データのリモート案件が、いまどんな条件で並んでいるかを見てみてください。

    フルリモートの案件を見る30秒で無料登録

    会員登録無料 / 案件閲覧・相談は無料

    ※公開中の案件数は時期によって変わります。記事中の案件の傾向は執筆時点のものです。

    出典・参考情報

    *1 環境省「令和6年版 環境・循環型社会・生物多様性白書」(2024年)
    *2 環境省「令和6年版 環境・循環型社会・生物多様性白書」(2024年)
    *3 環境省「令和6年版 環境・循環型社会・生物多様性白書」(2024年)
    *4 環境省「令和6年版 環境・循環型社会・生物多様性白書」(2024年)
    *5 環境省「令和6年版 環境・循環型社会・生物多様性白書」(2024年)
    *6 環境省「令和6年版 環境・循環型社会・生物多様性白書」(2024年)
    *7 Remogu(株式会社LASSIC運営)公開情報:扱う案件の90%以上がフルリモート可能