ローカル5Gのネットワーク構築案件とは?自営網の設計とエリア設計の必要スキルを解説

📘 この記事でわかること
- ローカル5Gが全国向け5Gとは別の仕組みであることと、自らの敷地内に構築して使う位置づけ
- 自営が基本となる利用の想定と、構築を依頼して電気通信役務として提供を受けられる選択肢があること
- NSA構成という技術の土台と、エリア設計や自営網の運用まで無線ネットワークの経験が活きる関わり方
通信キャリアの基地局に頼らず、自分たちだけのネットワークを敷地の中に持ちたい。工場や病院、港湾、物流拠点など、現場ごとに事情の違う場所でそうした相談が増えています。携帯電話事業者による全国向け5Gサービスとは別に用意された仕組みが、ローカル5Gです1。エリア設計や基地局の構築、自営網の運用、業務システムとの連携まで、無線ネットワークの設計経験を積んできたエンジニアが関われる案件が、各地の敷地で生まれています。
1. ローカル5Gは、自分の敷地に自前のネットワークを作る仕組みです
全国向け5Gとは別の仕組み
自社ビル一棟だけで完結する通信網。そんな設計を求められたとき、従来の通信インフラの延長で考えると戸惑う場面があります。全国規模の基地局網を思い浮かべてしまうためです。携帯電話の電波が届く仕組みと、敷地の中だけで完結させる仕組みは、そもそもの発想が異なります。
ローカル5Gは、携帯電話事業者による全国向け5Gサービスとは別に用意された仕組みです1。全国の基地局に接続するのではなく、その敷地の中だけで完結するネットワークを、敷地の当事者自身が持てるようになりました。電波の届く範囲も、通信の優先順位も、その敷地の事情に合わせて決められる点が、全国向けサービスとの大きな違いです。
自らの建物・敷地内で構築し、地域の課題解決に使う
地域の企業や自治体等の様々な主体が、自らの建物や敷地内でネットワークを構築し利用できる点が核です2。用途は工場の設備制御に限らず、地域の課題解決を始め、多様なニーズに用いられることが期待されています3。全国向けの通信網の仕様に合わせるよりも、その敷地の事情に合わせて設計するほうが、案件では評価されます。港湾の荷役設備、病院の医療機器、農地のセンサー網など、敷地ごとに求められる設計は大きく異なります。同じローカル5Gという名称でも、敷地の広さや建物の構造によって、電波の飛び方も設計の難しさも変わってきます。
【表1】ここでローカル5Gに関わる基本用語を整理しておきます。全国5Gとの違いや、案件の打ち合わせでよく使われる言葉を一覧にしておくと、企画書や要件定義の場で迷わずに済みます。技術書に載っている専門用語の意味を、案件の現場で使う言葉に置き換えて確かめておくと、初めて触れる案件でも設計の土台を掴みやすくなります。用語の理解がずれたまま話が進むと、後工程の手戻りにつながるため、案件に入る早い段階でのすり合わせが有効です。クライアントとの会話で共通言語を持てているかどうかが、後の信頼にもつながります。
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 全国5G | 携帯電話事業者が提供する、全国向けの5Gサービス |
| ローカル5G | 地域の企業や自治体等が、自らの敷地内で構築するネットワーク |
| 自営 | 免許を受けた主体が、設備を自ら保有して運用する形態 |
| エリア設計 | 敷地内で電波が届く範囲を計画する設計の工程 |
| NSA構成 | 4Gの設備を基盤として動作する無線アクセスネットワークの構成 |
図の作成:Remogu編集部。総務省「ローカル5G導入に関するガイドライン」における位置づけを整理したもので、統計データではありません
この違いを最初に押さえておくと、案件の相談を受けたときに、どこまでを自分たちで設計し、どこからが電気通信事業者の領域なのかを切り分けやすくなります。切り分けが曖昧なまま進めると、後になって責任範囲の食い違いが表面化しやすくなります。
作り方には、自営で自ら整備する道と、構築を依頼する道の二つがあります。次に、その選び方を確かめていきます。
2. 自営が基本、構築を依頼する選択もある
基本的には自営目的での利用を想定
免許を取って自分たちで設備を持つのか、それとも構築ごと専門の事業者に任せるのか。ローカル5Gの案件に触れ始めると、この選択に迷う場面に行き当たります。どちらを選ぶかで、エンジニアに求められる役割の重さも変わってきます。
ローカル5Gは、基本的には自営目的での利用を想定しています4。免許を受けた主体自身が設備を保有し、自らの敷地内で運用する形が前提です。設計から構築、運用まで一貫して関わりたいエンジニアにとって、企画の初期段階から土台を組み立てる側に立てる仕組みです。要件が固まりきっていない段階から相談を受ける案件も少なくなく、上流の検討に加われる機会にもなります。
構築を依頼し電気通信役務として提供を受けることも可能
一方で、地域の企業等にネットワーク構築等を依頼し、電気通信役務として提供を受けることも可能です5。免許を持つ主体が自ら手を動かすよりも、構築と運用の実務を専門の事業者へ委ねる進め方のほうが、規模の大きい拠点や、専任の担当者を置きにくい組織では選ばれやすくなります。依頼を受ける側のエンジニアにとっては、複数の敷地の案件に横断的に関われる利点があります。
【表2】自営か、構築の依頼かは、どちらか一方に決め切る話ではありません。案件に入る前に確かめておきたい観点を整理しました。免許や運用体制、保守の担い手が変わると、エンジニアに求められる役割の重さも変わります。企画段階でこの表の項目を一つずつ相手に確認しておくと、着手後に「話が違う」という行き違いを防ぎやすくなります。役割の境界をあらかじめ言葉にしておくことが、後工程の負担を減らします。
| 観点 | 自営で構築する場合 | 構築を依頼される場合 |
|---|---|---|
| 免許 | 敷地の主体が免許を受ける | 依頼元の主体が免許を受ける |
| 設計の関わり方 | 要件定義から設計まで一貫して担う | 依頼された範囲の設計・構築を担う |
| 運用の担い手 | 敷地の主体が自ら運用する | 役務提供として運用を任される場合がある |
| エンジニアの役割 | 企画側に近い立ち位置で関わる | 構築・保守の実務を専門性で支える |
図の作成:Remogu編集部。総務省「ローカル5G導入に関するガイドライン」における位置づけを整理したもので、統計データではありません
どちらの形にも共通するのは、敷地の主体が最終的に免許を持つという前提です。エンジニアの立ち位置は、企画に近いか、実務の請負に近いかで変わりますが、求められる技術の土台は共通しています。
どちらの形を選んでも、技術の土台になるのは無線ネットワークの設計です。次に、その中心にあるNSA構成とエリア設計を見ていきます。
3. NSA構成とエリア設計という技術の土台
導入当初は4G(アンカー)を基盤とするNSA構成
無線の設計経験があっても、ローカル5G特有の構成は案件で初めて触れるという声を聞きます。全体を5G単体の網として組み立てようとすると、実際の設計と噛み合わない場面が出てきます。既存の無線LANや専用線の設計経験だけでは、想定と違う部分が出てくるためです。案件に入る前に、この構成を知っているかどうかで、初動のつまずき方が変わってきます。
5Gは導入当初、制御信号を扱う4G(アンカー)のインフラを基盤として動作する無線アクセスネットワークの構成が用いられます6。単独の5G網として構築するのではなく、4Gの仕組みを土台にした設計から入る点が実務の起点になります。この前提を押さえていないと、設計の初期段階でつまずきやすくなります。
エリア設計・基地局という無線ネットワークの実務
この構成の上で担うのが、エリア設計と基地局の実務です。敷地のどこに電波を届かせ、どこを避けるのかを図面に落とし込み、壁や設備の配置による電波の減衰を踏まえて基地局の位置を決めていきます。設計図の上だけで完結させるよりも、現地の測定を重ねて調整するほうが、実際に使える網に近づきます。免許の手続きに関わる範囲は案件によって異なり、着手前に確認しておきたい点です。工場のように金属設備が多い敷地では、電波の反射や遮蔽の影響も設計に織り込む必要があります。
【表3】NSA構成やエリア設計は、案件によって求められる深さが変わります。着手前に確かめておきたい観点を整理しました。図面上の設計にとどまるのか、現地調査や測定まで担うのか、免許の手続きに関わるのかによって、必要な経験の幅も変わってきます。この表を手がかりに、自分の経験と案件の要件がどこで重なるかを確かめてみてください。求められる範囲を早めに確認しておくと、参画後の見込み違いを減らせます。
| 観点 | 確かめること |
|---|---|
| 構成の前提 | 4Gアンカーを基盤とするNSA構成が対象かどうか |
| 設計の範囲 | 図面上の設計か、現地調査を伴うエリア設計か |
| 基地局の実務 | 設置場所の選定から施工の立ち会いまで含むか |
| 免許との関わり | 免許手続きに関わる範囲かどうか |
図の作成:Remogu編集部。総務省「ローカル5G導入に関するガイドライン」における位置づけを整理したもので、統計データではありません
無線ネットワーク設計・エリア設計の経験を活かせる案件を見る →
エリア設計は一度組んで終わりではなく、敷地の使い方が変わるたびに見直しが発生します。設計の経験を積むほど、その見直しにも早く対応できるようになります。
作った網は、構築して終わりではありません。次に、運用と業務システムとの連携という、案件が続く先を見ていきます。
4. 自営網の運用と、業務システムとの連携
自営網の運用・監視
ネットワークを敷設した後も、案件は続きます。稼働が始まってからの運用こそ、本番になる場面もあります。導入した時点で満足せず、そこから先を見据えて設計しておくかどうかで、後の負担が変わってきます。
自営網の運用では、電波状況や通信の混雑、機器の稼働状態を監視し続ける実務が発生します。異常を検知してから対応するよりも、傾向を見ながら早めに手を打つ運用のほうが、現場の信頼につながります。監視の仕組みをどこまで自動化するかも、設計段階で詰めておきたい観点です。稼働の記録を残しておくと、後から不具合の原因を追いやすくなる利点もあります。
業務システムやIoTとの連携
運用の先には、業務システムやIoT機器との連携があります。敷地内で得られたセンサーの値や設備の稼働データを、既存の業務システムに橋渡しする設計が求められる場面です。単体のネットワーク構築だけで終わらせず、その先の活用まで見据えて設計に関わる案件も見られます。データをどこまで蓄積し、どの部門に届けるのかという整理も、連携設計の一部です。設計段階でこの範囲を決めておくと、運用開始後の追加要望にも対応しやすくなります。
図の作成:Remogu編集部。ローカル5G案件でのネットワーク運用と業務連携の関わり方を整理したもので、統計データではありません
運用と連携のどちらも、構築時の設計次第で後の手間が大きく変わります。最初の設計に、運用や連携を見据えた余地を残しておけるかどうかが、経験の差として表れやすい部分です。
こうした運用や連携の実務は、常駐でなければ担えないわけではありません。次に、リモートを中心に案件へ関わる観点を確かめていきます。
5. 案件への関わり方と、選ぶ観点
無線/ネットワーク設計・通信基盤・インフラの経験が効く
常駐が前提の案件だと思われがちなインフラ・通信系の仕事ですが、実際の関わり方は案件によって幅があります。設計や検討の工程と、現地作業が必要な工程とでは、関わり方が大きく異なります。
ローカル5Gの案件で効くのは、無線やネットワークの設計経験、通信基盤の構築経験、インフラの運用経験です。特定のベンダー機器の操作経験よりも、電波の届き方や網の構成を設計として組み立ててきた経験のほうが、案件の要件と重なりやすくなります。過去に別の無線規格や有線のインフラを設計してきた経験も、考え方の土台として活きます。敷地の制約に合わせて設計を組み立ててきた経験があるほど、案件に早く馴染みやすくなります。
リモート中心でも関われる
Remoguで扱う案件は、案件の90%以上がフルリモート可能です7。エリア設計の検討や運用の監視、業務システムとの連携設計など、現地の作業を伴わない工程はリモートで進めやすい領域です。ただし、現地調査や施工の立ち会いが必要な工程は、案件によって関わり方が異なります。自分の経験がどの工程に強みを持つかによって、関わり方の選択肢も変わってきます。
案件を選ぶときは、担当する工程の範囲と、現地対応が必要になる頻度を確認しておくと、参画後の働き方をイメージしやすくなります。設計中心か、運用まで含むかによって、必要になる移動の頻度も変わります。
無線ネットワーク設計・通信基盤の経験を活かせる案件を見る →
自分の経験がどの工程と重なるのか、案件ごとの条件を見比べてみると、関われる範囲が具体的に見えてきます。まず登録して、自分に合う条件を確かめてみるのも一つの進め方です。条件を見てから判断するのでも遅くありません。
6. まとめ
ローカル5Gは、携帯電話事業者による全国向け5Gサービスとは別に、地域の企業や自治体等が自らの敷地内でネットワークを構築し利用できる仕組みです1。ここまでの内容を、案件に関わる前の確認事項として整理します。
- ローカル5Gは、全国向け5Gサービスとは別に、自らの敷地内でネットワークを構築し利用できる仕組みです
- 基本は自営目的の利用ですが、構築を依頼して電気通信役務として提供を受ける選択もあります
- 導入当初は4G(アンカー)を基盤とするNSA構成が用いられ、エリア設計・基地局の実務が土台になります
- ネットワークの構築後は、運用・監視や業務システムとの連携という実務が続きます
- 無線/ネットワーク設計・通信基盤・インフラの経験を活かせる案件があり、工程によってはリモートで関われます
敷地の中に自前のネットワークを作る動きは、これからも各地に広がっていきます。積み上げてきた無線・ネットワークの設計経験を、次の案件でどう活かせるか。エリア設計や自営網の運用、業務システムとの連携まで、関われる工程は一つではありません。まず登録して、自分の経験に合う条件を確かめてみることから始められます。積み上げてきた設計や運用の経験を、次に活かす場所を探すところから、案件との関わりは始まります。
7. よくある質問
ローカル5Gの案件では何を作るのですか
自らの敷地内で完結するネットワークの設計・構築が中心です。エリア設計や基地局の配置、NSA構成を踏まえた無線アクセスネットワークの構築、運用開始後の監視や業務システムとの連携まで、案件によって関わる範囲が異なります。着手前に、どの工程を担当するのかを確認しておくと安心です。案件の規模によっては、企画段階から関わることも、決まった範囲だけを担うこともあります。
どんな技術経験が活きますか
無線やネットワークの設計経験、通信基盤の構築経験、インフラの運用経験が効きます。特定の通信機器の操作経験よりも、電波の届き方や網の構成を設計として組み立ててきた経験のほうが、案件の要件と重なりやすくなります。異なる無線規格での設計経験も、考え方として活かせます。免許や電気通信役務といった制度面の理解も、案件の会話をスムーズにする材料になります。
全国5Gとの違いは何ですか
携帯電話事業者による全国向け5Gサービスとは別に用意された仕組みである点が違いです1。全国の基地局に接続するのではなく、地域の企業や自治体等が自らの建物や敷地内でネットワークを構築し利用します2。電波の届く範囲や設計の主体が、全国向けサービスとは異なります。案件を検討するときは、この位置づけの違いを踏まえて要件を確認しておくと話が早くなります。
リモートで関わることはできますか
エリア設計の検討や運用の監視、業務システムとの連携設計など、現地の作業を伴わない工程はリモートで進めやすい領域です。ただし現地調査や施工の立ち会いが必要な工程は、案件によって関わり方が異なります。担当する工程を確認しておくと、働き方の見通しを立てやすくなります。移動の頻度を先に把握しておけば、他の案件との兼ね合いも組み立てやすくなります。
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Remoguは、株式会社LASSICが運営するITエンジニア・デザイナー専門のリモートワーク案件紹介サービスです。フルリモート・ハイブリッドの案件から、スキルに合うものを探せます。
ローカル5Gの案件は、エリア設計や基地局の構築から、自営網の運用、他システムとの連携まで関わり方が幅広くあります。まずはネットワーク構築や通信基盤のリモート案件が、いまどんな条件で並んでいるかを見てみてください。
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※公開中の案件数は時期によって変わります。記事中の案件の傾向は執筆時点のものです。
出典・参考情報
*1 総務省「ローカル5G導入に関するガイドライン」(2025年)
*2 総務省「ローカル5G導入に関するガイドライン」(2025年)
*3 総務省「ローカル5G導入に関するガイドライン」(2025年)
*4 総務省「ローカル5G導入に関するガイドライン」(2025年)
*5 総務省「ローカル5G導入に関するガイドライン」(2025年)
*6 総務省「ローカル5G導入に関するガイドライン」(2025年)
*7 Remogu(株式会社LASSIC運営)公開情報:扱う案件の90%以上がフルリモート可能