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    フリーランスの家賃経費按分の計算方法と節税ポイント

    フリーランスの家賃按分・経費化の方法を解説するアイキャッチ画像

    フリーランスになって、「家賃って経費にできるの?」と思ったことはありませんか。答えはシンプルです。業務に使っている分だけ、経費にできます。でも、「どのくらいの割合で?」「どうやって証明する?」という疑問が次々と出てきます。

    この記事では、国税庁の公式情報をもとに、家賃按分の計算方法から税務調査への対策まで、フリーランスの方が実務で使える形で整理しました。在宅でリモート稼働する時間が長いほど、節税余地は大きくなります。

    目次

    1. 家賃を経費にできる条件とは——国税庁の根拠から整理する

    フリーランスが家賃を経費にできる条件と国税庁の根拠を示す図解

    Q. フリーランスは家賃を経費(按分)にできますか?

    はい、できます。自宅を仕事場として使っている場合、業務に使用している部分の割合を「按分」として算出し、その分を必要経費として確定申告で計上できます(国税庁タックスアンサーNo.2210・所得税基本通達45-1)※1※2。ただし、業務使用の実態がなければ認められません。

    フリーランス(個人事業主)が確定申告で計上できる「必要経費」とは、事業所得を生じるために直接必要な費用のことです(所得税法第37条)。自宅で仕事をしている場合、その家賃は「家事費」(生活費)と「業務費」(仕事に必要な費用)が混在しています。国税庁はこうした混在費用を「家事関連費」と位置づけ、業務に必要な部分については按分して必要経費に算入できると定めています※1※2

    重要なのは「実態があること」です。フリーランスエンジニアのようにリモートで稼働し、実際に自宅の作業スペースを日常的に使っている場合は、この条件を満たしやすいといえます。

    条件 内容 確認ポイント
    ①業務使用の実態 自宅の一部を仕事のために使っていること 作業スペースが設けられているか、在宅稼働の記録があるか
    ②合理的な按分根拠 業務使用割合を説明できる根拠があること 面積比・時間比などで算出し、説明できるか
    ③記録の保存 按分の根拠となる記録を保存していること 間取り図・稼働記録・賃貸借契約書など

    出典:国税庁タックスアンサーNo.2210・所得税基本通達45-1をもとに編集部整理※1※2

    「按分」とは、複数の目的に使われる費用を、それぞれの使用割合に応じて分配することです。たとえば月額10万円の家賃で、業務使用割合が30%であれば、3万円が経費として計上できます。

    2. 家賃按分の計算方法と割合の目安

    家賃按分の計算方法(面積比・時間比)と割合の目安を示す図解

    按分割合の計算方法には、代表的なものが2種類あります。「面積比」と「時間比(時間割)」です。国税庁も特定の計算方法を強制しているわけではなく、合理的な方法であれば認められます※1

    2-1. 方法①:面積比(スペース按分)

    自宅全体の床面積に占める「仕事スペースの床面積」の割合で按分する方法です。計算がシンプルで根拠として説明しやすいため、最もよく使われます。

    📐 面積比の計算例

    計算式:按分割合(%)= 仕事スペースの床面積 ÷ 自宅全体の床面積 × 100

    自宅全体:50㎡ / 仕事スペース:10㎡

    按分割合 = 10 ÷ 50 × 100 = 20%

    家賃10万円 × 20% = 2万円を経費に計上

    注意点は「仕事専用スペース」として区切られているかどうかです。リビングや寝室を兼用している場合、専用スペースとは見なされにくいため、割合を低めに設定するか、時間比と組み合わせる方法もあります。

    2-2. 方法②:時間比(時間按分)

    1日のうち仕事に使っている時間の割合で按分する方法です。在宅でフルタイムに近い稼働をしているフリーランスエンジニアの場合、面積比より高い割合になることがあります。ただし、時間比を使う場合は稼働記録(稼働報告書・カレンダー等)が根拠となります。

    ⏱️ 時間比の計算例・組み合わせ例

    計算式:按分割合(%)= 1日の業務時間 ÷ 24時間 × 100

    1日の業務時間:8時間 / 1日:24時間

    按分割合 = 8 ÷ 24 × 100 ≒ 33% → 家賃10万円 × 33% = 3万3,000円を経費に計上

    面積比×時間比の組み合わせ(専用スペースなし・自室兼用の場合):

    面積按分50%(自室全体)× 時間按分33% = 約16.5%(保守的な算出・税務リスクを抑えやすい)

    2-3. 按分割合の目安と現実的な水準

    稼働スタイル 按分方法 目安割合 備考
    専用書斎あり・フルリモート 面積比 15〜30% 書斎面積÷全体面積で算出
    専用スペースなし・リビング兼用 面積比×時間比 10〜20% 兼用のため低めに設定
    週3〜4日在宅・一部出社あり 時間比 15〜25% 在宅稼働日数ベースで算出
    副業でフリーランス・本業は会社員 時間比 5〜15% 副業時間のみを基準に計算

    按分割合に法定の上限はありません。ただし、所得税基本通達45-2では「主たる部分(50%超)が業務遂行上必要かどうか」を判定基準の一つとしており※2、50%を超えるような高い割合を設定する場合は、業務使用の実態を示す記録をより丁寧に整備しておくことが重要です。

    出典:編集部整理。

    3. 家賃以外に経費にできるもの一覧——在宅フリーランスが使える経費

    在宅でリモート稼働をしているフリーランスエンジニアが経費として計上できるものは、家賃だけではありません。業務に関連する費用であれば、同じ「按分」の考え方で経費化できるものがあります。「業務のために使った」という実態と根拠が必要です。

    費用の種類 勘定科目 按分の考え方 目安
    家賃 地代家賃 面積比 または 時間比 10〜30%
    インターネット通信費 通信費 業務使用時間比(在宅フルリモートなら高割合も可) 50〜100%
    電気代・光熱費 水道光熱費 面積比×使用時間比の組み合わせ 10〜30%
    スマートフォン料金 通信費 業務使用割合(業務専用なら全額可) 30〜100%
    PC・周辺機器(10万円未満) 消耗品費 業務専用なら全額。私用兼用なら按分 50〜100%
    PC・周辺機器(10万円以上) 工具器具備品(減価償却) 耐用年数に応じて減価償却。業務専用なら全額 耐用年数4年が目安
    書籍・技術雑誌 新聞図書費 業務関連(技術書・資格参考書等)は全額 業務関連のみ全額
    クラウドサービス・サブスクリプション 通信費 または 消耗品費 業務専用サービスは全額 業務専用なら全額
    会計ソフト・確定申告ツール 通信費 または 消耗品費 事業のために使うものは全額 全額
    交通費(クライアント訪問等) 旅費交通費 業務目的の移動は全額。私用との混在は按分 業務目的なら全額

    PCの法定耐用年数は4年(国税庁「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」別表第一)。なお、青色申告者で前々年度の事業所得が300万円以下の場合は少額減価償却資産の特例(30万円未満を即時償却)が適用できる場合があります(国税庁タックスアンサーNo.5408)。通信費については、在宅でフルリモート稼働をしているフリーランスエンジニアであれば、インターネット費用の50〜100%を業務使用として計上することも、実態に即した判断として考えられます。家族共用の回線であれば按分が必要です。

    出典:国税庁タックスアンサーNo.2210をもとに編集部整理※1

    ⚠️ 経費にできないもの・注意が必要なもの

    • 食費・飲食費(業務上の打ち合わせを伴わない日常の食事)
    • スーツ・衣服(業務専用と認定されにくい)
    • 健康保険料・国民年金(社会保険料控除の対象であり、経費ではなく所得控除)
    • 生命保険料(生命保険料控除の対象であり、経費ではなく所得控除)
    • プライベートの旅行・娯楽費(業務との関連が認められないもの)

    4. 税務調査で否認されないための記録術

    税務調査で家賃按分が否認されないための記録術を示す図解

    按分計上は「合理的な根拠があれば認められる」ものです。逆に言えば、根拠が示せなければ否認されます。税務署が問題にするのは「高い割合かどうか」よりも、「根拠を説明できるかどうか」です。

    パターン 問題点 対策
    ①根拠なく「50%」と設定している 計算プロセスが不明。主観的な割合 面積比・時間比の計算式と数値を記録・保存する
    ②毎年同じ割合で申告しているが記録がない 実態の変化を無視した形式的な計上 年度ごとに稼働状況を確認し、割合の見直しと記録を残す
    ③仕事専用スペースが存在しない 家事費との区別が困難 専用スペースの写真や間取り図を保存する。兼用なら時間比を活用
    ④按分割合が収入に対して著しく高い 実態との乖離を疑われる 稼働記録・契約内容・収入規模と按分額のバランスを確認する

    出典:編集部整理。

    📁 残しておくべき記録の種類

    • 賃貸借契約書のコピー:家賃の金額・契約者名・物件情報の確認に使用します
    • 部屋の間取り図・平面図:面積按分の根拠として、仕事スペースと全体の面積を示します
    • 稼働記録・カレンダー:時間按分を使う場合、1日の業務時間を記録したものが根拠になります
    • 領収書・明細書:家賃振込の通帳記録や口座明細
    • 案件契約書:フリーランスとして事業実態があることを証明します

    白色申告の場合は法定帳簿を7年間、その他の請求書・領収書等は5年間の保存が必要です。青色申告の場合も帳簿は7年間の保存が必要です※3。デジタル保存(スキャン・PDFへの電子データ保存)も電子帳簿保存法に基づき認められています。

    按分割合の設定や経費計上の判断に迷う場合は、税理士への相談が有効です。特に収入規模が大きくなってきた場合や、経費の種類が複雑になってきた場合は、専門家に確認することで、過少計上(払い過ぎ)も過大計上(否認リスク)も避けられます。

    5. まとめ

    在宅でリモート稼働する時間が長いほど、業務使用割合は高まり、節税余地も広がります。まずは自分の稼働スタイルに合った按分割合を計算してみることが、最初の一歩です。

    📋 この記事のポイント

    • 家賃は「業務使用部分のみ」を按分して経費にできます(全額計上は原則不可)
    • 按分方法は「面積比」か「時間比」、または組み合わせ。自分の働き方に合った方法を選びます
    • 按分割合に法定の上限はありませんが、根拠の記録が不可欠。50%超えは特に丁寧な説明が必要です
    • 家賃以外にも通信費・光熱費・PC費用など、業務関連の費用は按分経費化できます
    • 税務調査への備えは「記録を残すこと」に尽きます

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    6. よくある質問(FAQ)

    Q1. 家賃を全額経費にすることはできますか?

    原則として、全額を経費にすることは認められません。家賃は「家事費」(生活費)と「業務費」が混在する「家事関連費」であるため、業務使用部分のみを按分して計上する必要があります(国税庁タックスアンサーNo.2210)※1。仕事専用のオフィスとして借りている物件であれば全額計上も可能ですが、自宅兼用の場合は按分が必要です。

    Q2. 家賃按分の割合に上限はありますか?

    法令上の上限割合は定められていません。ただし、所得税基本通達45-2では「支出の主たる部分(50%超)が業務遂行上必要かどうか」を判定基準の一つとしており※2、50%を超える割合を設定する場合は、業務使用の実態を示す記録(稼働記録・間取り図等)をより丁寧に整備しておくことが重要です。

    Q3. 副業でフリーランスをしている場合も家賃を経費にできますか?

    はい、副業収入がある場合も、その収入に対する必要経費として按分計上できます。ただし、副業にあてる時間・スペースに基づいた按分が必要です。本業の会社員としての時間を除いた、副業稼働時間のみを基準に計算します。また、事業所得と雑所得の区分によって取扱いが異なる場合もあるため、国税庁の公式情報や税理士への確認をお勧めします。

    Q4. 光熱費やインターネット費用も按分できますか?

    はい、業務のために使用している割合を按分して経費計上できます(国税庁タックスアンサーNo.2210)※1。インターネット費用は在宅でフルリモート稼働をしているフリーランスエンジニアの場合、業務使用割合が高くなることが多いです。電気代は「面積比×時間比」で算出する方法が一般的です。いずれも、根拠となる計算方法を記録しておきます。

    出典・参考情報

    ※1 国税庁「No.2210 やさしい必要経費の知識」(令和7年4月1日現在法令等)
    ※2 国税庁「所得税基本通達45-1・45-2 家事関連費(第1号・第2号関係)」
    ※3 国税庁「No.2080 白色申告者の記帳・帳簿等保存制度」(令和7年4月1日現在法令等)
    ※4 国税庁「個人で事業を行っている方の記帳・帳簿等の保存について」